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阪急電車で残火を抱えて。

あんまり正直に言うと
誰のことかわかってしまう。

それは良く無いので、少し脚色しながら書く。

今は自宅に帰る阪急電車の中。
秋空だけどジャケットを着ると汗ばむ。
そして夜や明け方は人肌が恋しくなる。
そんな季節だ。

一人の女性と出会った。

本当に偶然で、多分、運命が交わるのは、
後にも先にもあの一瞬しかなかったのだろう。

一目で恋に落ちた。

声も聞いていないし、顔も見えなかった。
一見すると男の子のような服装。
なのに強烈に惹かれてしまった。

この感覚は随分昔にも一度だけあった。
多分、私にとっては運命の人だと、
今でも思っている。

他愛も無い話を彼女とした。
お互い間違いなく惹かれあっていた。
浮かれていたし、身体が、心が、魂が、
お互いを求めていたと思う。

少なくとも私はそうだった。

一つになりたい。
そして直ぐに一つになった。

あんなに愛されたことなかった。
あんなに一つになることを求められたことはなかった。そして私も求めた。

心が満たされた。人生でこんなにも満たされたことはなくて泣きそうになった。

このまま永遠に、たとえそれが何であろうとも彼女と一緒になりたかった。いや、今でもまだその想いは変わらない。

でも、その想いは恐らく叶わないのだろう。
向こうも私のことを忘れてしまった。
いや、もう捨ててしまったのだろう。

それでも、私はまた出会いたいし、
10年後、20年後でもいい。
一緒になれるのであれば、全霊で伝える。

そのために1日1日大事にして生きようと
思った。

また何かの誰かの気まぐれで会えたなら、
今度はもう離さない。

自分の人生とそして色々な人々の人生を大事にしたい。

それくらい強い強いそしてどうしようも無い思いだ。自己を消さないとみんなを燃やし尽くす、
小さくて消えない火。

残火だ。

続きます。

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おまけ。
■本日のBGM

歌手:小谷美沙子
曲:こんな風にして終わるもの

もう25年くらい前の曲。
大好きな曲ばかりのアルバム「うたき」より。
このアルバムは本当に情念とそれが消化される名作中の名作。

恋の特効薬として最適です。
辛い恋で苦しむ全ての女性に捧げたいです。

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