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終電で終点へ 小田急多摩線 唐木田駅に行ったときのこと

2018年12月8日、小田急多摩線の最終電車に乗って、終点の唐木田駅まで旅をしました。その時の記録です。

(当時のリアルタイムの実況の様子はTogetterにまとめております)


唐木田駅とは

唐木田駅は多摩市の本当に端の方にある駅で、小田急多摩線の終着駅となっています。
新宿からの直通電車も多いので小田急ユーザーならよく目にする行き先名だと思います。

多摩稲城防犯協会というところから持ってきた多摩市の地図です
タツノオトシゴを上からつぶしたみたいな形でかわいいですね


読み方は「からきだ」です。
難読っぽいけど大体の人が一回で読めるし、よく見たらそうとしか読めない少し不思議な字面をしています。
どことなく声に出して読みたい駅名でもありますよね。
人の苗字っぽくもありますし、ミステリー作品とかにいそうな気もします。
「唐木田さん…!どうしてこんなことに…!?」
とか、言ってほしいです。金田一に。


そんな唐木田駅、1990年3月に出来た比較的新しい駅だそうです。
有名人でいうと「柳楽優弥」「ローラ」「ぐんぴぃ(バキ童)」「ニコラ・ヌクル(カメルーン代表)」あたりと同じ時期に誕生しています。
ギリ若者と呼んでもいい世代ですね。

wikiには清掃工場に土地を提供した地元住民からの要望で出来た請願駅で、小田急側も車両基地を作る必要性からこの駅ができることになったと書いていますが、一次ソースが見つからないため細かいところはよくわかりません。そもそも多摩清掃工場は東京都のものなので、小田急とどこまで関連するのかよくわかりません。
とりあえず多摩ニュータウンの開発が唐木田方面まで伸びることに伴って駅ができたのは確実なようです。

東京都都市整備局のHPより
広いんですよね、多摩ニュータウン

70年代の計画では相模原の城山の方まで延伸する予定だったそうですが、相模原の米軍補給施設や町田の緑地地帯の問題もあって凍結。それらの問題が解決した90年代になっても小田急は複々線の工事に熱心で、相模原への延伸は進められることなくそのまま唐木田駅が終着駅になりました。
最近になってまた相模原市が延伸の要望を出していますが、実行される気配はありません。

同じ1990年に全線開通した京王相模原線に比べると圧倒的に利用者数が少なく、当初はお荷物路線(1990年10月6日朝日新聞神奈川版より)などと揶揄されたこともあったようです。
一時期1日の利用者が2万人を超える時期もありましたが、現在では1万3000人ほどに落ち着いています。




うーん、なんかあんまりポジティブな情報が出てきませんねぇ
でも逆にこういう駅の方がワクワクしてきます。
好奇心さえ持っていれば、どんな場所でも必ず新たな発見と驚きを見つけられますから。
とても楽しみですね!!


いざ唐木田

(いざ鎌倉的なノリ)

今回は新宿駅からスタート
0時9分発、1時20分唐木田着の電車で向かいました。

唐木田行きの最終は各駅停車なんですよね。日中はほとんど急行なんでてっきり最終も急行だと思ってました。
この当時は小田急の各駅停車に乗ったの初めてで、謎の駅でおなじみの南新宿に止まった時は不思議とテンションが上がりました。
下北沢に行く時ぐらいしか使ったことなかったですからね。

唐木田と新宿って大した距離じゃないんですけど(南栗橋とかに比べたらね!)、各停だと29駅71分もかかっちゃうんですねぇ。


住宅街通るんで最終でも割と人の出入りは多いです、千歳船橋とか祖師ヶ谷大蔵ではかなり人が降りましたし、多摩センターでもかなり降りました。

これは勝手な偏見というか僕が乗った時だけなのかもしれませんが…小田急の乗客はどこか心が荒んでいる気がします。祖師谷でサラリーマンが殺し屋みたいな顔をしながらドアの前の乗客を吹っ飛ばして降りていきました。
こういう人でも家では優しいパパだったりするから人間は分かりません。いつでもだれの前でも笑顔でいるなんて無理ですもんね。


そんなこんなで唐木田駅到着。
唐木田まで行ったのは30人程度
でしょうか?
車内の写真は撮ってないのですが、とにかくガラガラだった記憶があります。


とりあえず駅は綺麗です

予定より10分ほど遅れて唐木田駅到着

12月なので降りた瞬間めちゃめちゃ寒かった

降りる乗客の少なさに対して、寝てる人の割合がとにかく高い…!
寝てる人の大半はシンプル寝過ごしでしょう、駅員さんが頑張っておられました。
唐木田の駅員さんが毎日これやってると思うと本当に働くこと、生きていくことの大変さを感じます。

駅はきれいです

唐木田駅の出入り口は一か所だけ
割とワイドで使いやすそうで、なかなかいい感じです。
駅前もなかなかに綺麗。

駅前がロータリーではなく遊歩道、おしゃれ

まさに90年代に出来たニュータウンといった感じで、昭和のごちゃついた感じは全くありません。
深夜だから人がいなくてなんか気持ちもいい。
どことなくスタイリッシュで、なんとなくクリスタルで、それとなくハネムーンな駅前です。

そうは見えないと思いますが、これタクシー乗り場の写真です。
写真の撮り方が下手でよく分からんことになりました。

12月初頭のややせわしない時期だったのですが、タクシー乗り場もとくに並んではおらず、待っていればすぐに来るような状況でした。
寒い時にはありがたいですね。
寝過ごしったぽい人たちは次々とタクシーに乗り込んでおりました。


お店としては駅前にはとりあえずコンビニがありました

ファミマ

駅前を見る限りこのコンビニ以外に何にもないですし、こういった新興住宅街に深夜までやっているお店があるとはあまり思えないのですが、
そこはこれまでに南栗橋や森林公園や国府津に行ってきたナカオタクヒコ。
どうにかなるさ、とお気楽です
(ヨッシーアイランド)。



今回割と軽く書いてますけど、ぶっちゃけ駅前の絶望度に関して言えば森林公園と大差ありません。

心の余裕があるのは結局のところまだ都内だからでしょう。
最悪多摩センターまで歩けばいいですから。
都内の駅間の短さ、プライスレス。


それではいつも通り、深夜の終点駅の散策としゃれこみましょう。


深夜1時30分、もう誰も起きてない唐木田周辺

いやー…
タイトルの通りですよ。本当に。
住宅街の深夜1時45分。
誰ともすれ違いません。町全体が寝てます。
そりゃそうですわ、寝ますよこんな時間。
「夜まで開いてるお店」とかそんな次元じゃないです。


商店街もなく(でかいホームセンターはあります)。
駅前数10mの通りにお店が点々と並んでいる程度です。

よく見るとマンションの一階部分にお店が入ってるのが分かります。

まさに…
純度100%の住宅地駅!

でも大丈夫です。最悪多摩センターまで歩けばいいですから。

どこ見回しても他人の家なんであんまり写真も撮れません。
駅前の最寄り病院に内科や歯科と並んで脳神経外科があったのでその写真だけは撮りました、珍し!

名字も結構珍しい

特に目的地はないので、近くに大妻女子大学の多摩キャンパスがあったので行ってみました。
市ヶ谷以外にも大妻女子大のキャンパスあったんですね。

暗くてわかりにくいですが多摩キャンパスです
入り口にはあんまり意味なさそうな柵が置いてありました

こんだけ駅に近いと便利そうだなぁ、と思ったんですが
多摩キャンパスができたのは1988年で唐木田駅の開業が1990年なんで、2年間は多摩センターからバス通学してたんですかねぇ。
駅が出来ることを見越して大学を誘致してるはずなんですが。

っていうか、大学がこんな近くにあってもう30年経ってるのにこんなに飲食店ができないことあるんですね。
いや、多摩センターまで歩けばいいから別にいいのか。


大妻女子大学は大通りに面してるんですが、大通り沿いのショッピングモール的な場所はやや離れた場所にあるみたいです。

デカい道

この道路は「南多摩尾根幹線道路」というらしいです。
漢字9文字連続というかっちょいい字面。
「等加速度直線運動」みたいな
「警視庁警備部警護課第四係」みたいな
「探偵 神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件」みたいな
声に出しても読みたい素敵な名前ですね!


このまま西に行けばショッピングモール的な場所があったらしいんですが、今回はもう多摩センターまで歩くことにしました。

我ながら駅前散策を諦めるのが早い気がしますが…

この時、普通に冬ですからね。
寒いかったんです。わかってください。
いうて30分ぐらいは歩いてますからね。



乾いた風を浴びながら多摩センターへ

多摩センターへの道は一本道です。

マンション群、団地的なにおいもしつつ高級感も漂う

多摩センターまでは1.5キロほど、歩くと20分ぐらいですが道は広いので特に問題はありません。
余裕で歩けるでしょう。

歩いてると駅近くにはコメダ珈琲もありました。
多摩センター方面に行くと飲食店も多少あるみたいですが、深夜どころか22時台で終了する店だらけなので、この時間は真っ暗です。

本当に暗くてなんだかわからないと思いますが、コメダ珈琲です。


何回も書きますけど、唐木田は普通の住宅街です。
特筆すべきものは何もありません。
ただただ12月の乾いた空気が僕の体に突き刺さります。

こういう時は余計な不安や心配事を頭をよぎって、答えの出ない考え事をしてしまいます。
仕事のこととかお金のこととか将来のこととか、なんなんでしょうかこの気持ちは。
他に終電で終点に行く人がほとんどいないので、誰にも共感してもらえないのですが。

夜のとばりの中、キリンジのエイリアンズを頭の中で流しながらとぼとぼと歩きます。



まぁ10分も歩かないうちに道中にこんな看板があったりするので、そんな感傷的な感情も吹っ飛びますが。
2013年からずっと使ってんの?

色褪せ方を見ると多分本当に使ってる、気に入ってるんだろうなぁ
確かに林先生はそろそろ髪を切った方がいいんじゃないかと思える状態で出てることがよくある



多摩センターがはっきり近づいてくるとこんな看板も見えてきます。

ハローキティズタウンなんだ

「サンリオの街」じゃなくて「ハローキティにあえる街」なんですね。

さすがキティさん、サンリオのドンですね。
さっきまでキリンジの繊細な音楽が頭の中に響いていましたが、今度はゴッドファーザーの重厚なテーマが脳内に流れてきました。
サンリオの顔はプリンでもシナモンでもマイメロでもなくキティです。

こんなキャンペーンもやってました。
キティさんはお優しい

工事現場のガードまでキティさん

チャーミーキティにも見えるけど、多分キティで会ってると思う

これそのまんま「ハローキティガード」という名前で一般販売されてるそうです。

ちなみに全然関係ないキリンのガードもありました。

名称はキリンガード、ストレートな名前が愛らしい

彩を加えたかったのかもしれませんが、これは全部キティちゃんでよかった気がします。
市じゃなくて業者が用意してるものでしょうから、単純に数が足りない分をキリンでカバーしてるのかもしれません…


…いやこれはマジでどうでもいいか
深夜でやることないとマジで意味わからないこと考えてしまうな



サンリオの街・多摩センター

そこから5分ほど歩くとあっさり隣駅の多摩センターに到着しました。
つってもこの時点で2時30分ぐらいなんですが。

大きな町ですが、ド深夜なのでやや控えめです
商業施設がたくさん入っております

唐木田とは打って変わって完全なる都市です。
本当にニュータウンは役割がはっきりしてますねぇ。

ここまで来るとどうにでもなります。

こちらはモノレールの入り口
3路線乗り入れてるので駅規模もかなり大きい

多摩センターも1974年完成の比較的新しい駅で、先ほど唐木田駅を綺麗だと書きましたが、こちらもかなり綺麗な街並みです。


そして何よりサンリオの駅です。

駅がもうこれ
駅降りたらこれ

ピューロランドができたのはテーマパークが乱立しつつあった1990年。
多摩センター駅がここまでサンリオになったのは2016年かららしいです。
他のテーマパークが次々と潰れる中で見事に生き残ってますね。



駅前はビルも多いだけあってちゃんとネットカフェもあります。

色々入ってるビルの5階
2024年現在もまだこの自遊空間は存在するようです

流石は多摩センター。
居酒屋系も多いです。

おちあい横丁
落合と聞くと常に落合博満を思い浮かべてしまいます

深夜までやってる店はあまりなかったんですが、ほろ酔いの若い男女が歩いてたのでどっかでいい感じで飲める店があるんでしょうか。

そりゃまぁこんだけ店あればどこか開いてることでしょう。
唐木田にちょっと分けてあげればいいのに。


ちなみにさっきのサンリオ激推しの駅の表部分の裏にはキャバクラがあって、深夜の2時30分でも客引きが結構いました(写真は撮れてません)。
サンリオに押されて裏側に行っちゃったんでしょうか?


あと全然関係ないですが、どこにでもあるきぬた歯科の看板が見たことないタイプでなんかキモかったです。

看板としては正しいのかもしれないけど…




駅前を多少うろついた後は深夜のサンリオピューロランドにも行ってみました。

夜は本当に真っ暗です

屋内型なので中も見えないのですが、メルヘンな雰囲気はこれだけでも伝わってきます。

前述したとおり90年代の前半のテーマパーク乱立時代の初期に生まれた建物で、バブル崩壊後はずっと苦しい経営を続けていました。

この立派な建物をバブルの遺構で終わらせなかったサンリオには頭が下がります。
ズタボロの大赤字だった大分のハーモニーランドですら親会社サンリオで買い取って経営続けてましたからね、テーマパーク事業に関する意地を感じます。

調べてみると90年代のサンリオの経営は結構ギリギリで、女子高生の間で起きたキティちゃんの再ブームなどでなんとか経営を続けていたようです。

もし何かボタンの掛け違えがあれば危なかったのかもしれません。
ボロボロのスーツを着た辻社長が、誰もいなくなったピューロランドからサンリオグッズを持ち出して街中で売りさばきながら生きながらえる
そんな全裸監督みたいな世界線ももしかしたら存在したのかもしれません。
そうなったらタイトルは間違いなく「いちごの王様」ですね。


ともかくサンリオが守り切ったこのメルヘンの要塞のおかげで、今の多摩センターがあるといっても過言ではありません。




さて、そんなことをしていてたもう午前3時です。
そろそろ駅前のネットカフェにでも入って休みましょう。





駅に戻る途中
サンリオとは全然関係のない、ロバート秋山さんの演じる子役「上杉みち」のキーホルダーが落ちていました。

なんでだよ



帰宅

多摩センター駅からそのまま帰宅します。

きゃわ

小田急の電光掲示板もサンリオ仕様。
駅のサンリオ化が2016年なので、当時の人気四天王「キティ」「シナモン」「プリン」「マイメロ」に見送られて電車に乗りこみます。
今ならポチャッコとクロミも入るかな?
僕の好きだったラナバウツはおそらく一生入りません。


感想

唐木田駅だったはずなんですが、後半多摩センターの話になってしまいました。
多摩センターも京王線相模原線の終点になってるんでね、一粒で二度おいしい回でしたね。

唐木田に関しては何もできないです。
行ったのコロナ前ですけど、その当時からお店なんか全然開いてないですし、ここで4時間過ごすのは無理でしょう。
ひたすら歩き回るにしても限界があります。一応24時間のコインランドリーはありますけど、それだけです。
西も東も住宅街で南は森です。北の多摩センターに行くしかありません。

絶望感はあるんですけど、歩き回れる範囲が狭いですし家はとにかくたくさんあるんで恐怖感はないです。道は広いので住宅街だけど解放感もあります。
誰も歩いていない知らない町という、非日常感を味わいたいならおすすめ(おすすめ?)。
冒険感はそんなにないかな?

今後があるとしたら南多摩尾根幹線道路の発展待ちでしょうか?
行ったのは2018年なんですけど、6年経ってもあまり駅前は変わってないようですし、ここはもうこういう駅なんだと思います。

多摩センターに関しては上の方に書いた通りなので省略しますね。
今回は唐木田駅ですし。


まとめ


最後に、勝手な基準で選んだ小田急多摩線唐木田駅の「終電で終点」としての評価です。

都心からの遠さ ★★★☆☆
駅前の絶望度  ★★★★☆
人気のなさ   ★★★★☆
治安の悪さ   ★☆☆☆☆
朝の迎えにくさ ★★★☆☆

合計15点

都心からの遠さ
多摩市の端っこでほぼ町田、相模原なので★3つ。
最終が各停で停車駅が多いので、もっと先の橋本とかより遠く感じます。

駅前の絶望度
駅前はもう真っ暗なんですが、駅がきれいだしコンビニはあるので★4つですかね。でも住宅地なら最高評価に近いかも。

人気のなさ
人は全く歩いてないんですが、家は多いので★4。
誰もいない住宅街って異世界みたいでドキドキしちゃう。

治安の悪さ
治安に不安を感じる要素は何一つありません。★1

朝の迎えにくさ
唐木田は何にもなくても多摩センターまでは一本道なので、そこまで朝が迎えにくいわけではないです。★3


以上が唐木田駅のまとめでした。


次回は東急東横線からのみなとみらい線、元町・中華街駅です。
間に『・』が入っているのがポイントです。
「矢野・兵動」みたいな駅名ですね。

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