2017年 34冊目『CEOを育てる』
ラム・チャランの名著ですね。先日研究論文のアドバイス時に読むように指示を受けた本です。
ドッグイヤーをつけた部分を残しておきます。
■最大の潜在能力を秘めた人材「CEO細胞」を持っている。
1:ビジネスの大きな流れや仕組み、儲けのツボを心得ている
2:人を動かす能力があり、実行をためらわない
3:複雑であいまいな状況を、大局的に異なる観点から見る
■リーダーシップやリーダシップ開発における深刻な勘違い
・後継者問題は、リーダーシップ開発プロセスそのものに端を発している
・深刻なリーダー不足は、まぎれも無くリーダシップ開発の根本的欠陥の現れである
・大企業のリーダの素養を持っている人はほんの一握りで、出世階段の10段中10段で実力を示させるという試練が必要
・企業は、数字を出せるかどうかは見ているが、次のリーダを出せるかは見ていない
・リーダの育成を、その能力がない下位リーダに任せている
・個々の才能やニーズに目を向けず、すべてのリーダに同じ期待をかけ、ジョブローテーションを行っている
・開発資源を、大勢のリーダ候補に分散させすぎている
■参考すべき内容
・一人ひとりに応じた育成を促す徒弟制度:自社製CEO後継者候補プール
・GEのジャック・ウエルチは22万5000人の従業員から、4名の本命、6名の可能性あり、12名の大穴を選定し、7年かけ3名に絞った。後継者のジェフ・イメルトは大穴の1人で44歳で後継者になった。
・ちなみにウエルチは、退職のため送別会まで開いてもらっていた。そこで上級幹部を彼が引き留めてGEに残った。
。ウエルチは毎年、リーダに取組んでほしい課題や活動をまとめた手書きのメモを本人に送っていた。
・コルゲートの国際人事担当上級副社長は、3万6000人の従業員のうち、グローバル・ハイポテンシャル500名を常時、面倒を見ている。
・同社のリーダー選抜育成プロセスは、ローカル、リージョナル、グローバルの3つのレベルで行われる。
・リーダーシップ、文化の理解と成果を重視
・候補者から落ちる理由は、変化への対応、家族問題!!
・80年代にIBM,ゼロックス、GMに業界模範のリーダシップ開発プログラムがあったが、必要なリーダは生まれなかった。
※急激なビジネス変化を度外視していた。
・GE,J&J、コルゲートは変化を予測し、状況に対処できる幹部育成に成功している。
・GEリーダシップ選抜基準
1成功を顧客視点で判断する外部志向
2戦略を具体的行動に落とし込み、決断し、優先順位を示すことのできる明晰な思考
3人やアイデアに対してリスクを負う勇気と想像力
4人間関係を築き、忠誠心と責任感を生み出してチームを活性化する包容力
5変化を引き起こす自信につながる深い専門性
・ふつうは仕事にふさわしい人材を探す。徒弟制度モデルでは、個々のリーダに合わせて仕事を作る、探す。
・損益計算書を作る責任のあるマーケティングのポジションを与える
→複数の絡み合った不確定要素を把握し、コントロールしようとするようになる。また異分野の人と協働する訓練になる。
・難しいのは、仕事はできるが成長が止まったリーダにそのポストを明け渡させること。
・数字を達成するだけではリーダの職務を全うしたとは言えない。リーダを育てるのも仕事のうち。
・ジェフ・イメルトは175名のトップリーダのリストを毎日見る。
・優秀なリーダになれるかどうかは、その人の優れた資質にかかっている。資質がなければマイナス面などどうでもよい。
・トムソン式リーダ成長軌道の追跡手法:成長×時間で年齢・タイトル・内容を記載
・コルゲートのリーダ育成ストーリ
1変化に合わせて人材発掘、選定基準を見直す。
2現在のニーズかつ将来に必要になる能力を身に着けられる職務につける
3厳密なFBを行い、成長を促進する
4リーダの認知度を高め、他のリーダに人となりを知ってもらう
5信賞必罰(罰:育成経路を見直す)
6パイプラインを常にチェック
7定期的にCEOと2,3階層下のリーダ候補のコミュニケーションを作る
・人事部門はすべてのリーダに、自分以外のリーダを育てることが重要な任務であることを自覚させる
・パイプラインのチェック方法
1ダイバシティ:年齢、性別、専門分野
2外部志向人材がいるか
3段階的変化を追及するリーダと変革的変化をものともしないリーダーのバランス
4イノベーションを目指すリーダがいるか
6生え抜きに加えて新参者がいるか
7個人の成長と組織の成長
・CEOの仕事は量的にも質的にも他のどんな仕事とも異なる:例 洞察力
・同じCEOは二人といない
・CEOも欠点を持ったひとりの人間である
・一流のCEOに共通にある、並みのCEOにないのは、知的優位性である。
→山のような数字から、課題や問題を正確に見極め、定性的な知見を引き出す
→同僚や部下の才能がどのような場面で活かされるのか的確に見極める
・任期の5年前に後継計画をスタートすべきである
・社外後継者が良い場合
→経営再建
→信頼性回復
→組織文化の改革
→戦略の大幅な方向転換
・取締役会は新CEOをサポートし、見守る
■参考になる会社:
・GE,コルゲート、ノバルティス、トムソン、DTEエナジー、ウェルポイント、テクストロン、P&G
▼前回のブックレビューです。