2021年 71冊目『P&G式勝つために戦う戦略』
8月の中尾塾の課題図書です。
元P&Gで今回総合電機メーカのCIOになった方が講師でそのお薦めでした。
かなり学びが多い本でした。
P&Gはずっとイケテイル会社のイメージでしたが、ダメなタイミングがあり
トップ交代で、売上2倍、利益4倍、市場価値を倍にした企業復活の秘訣を
そのCEOと経営学者が明らかにしたものです。
マイケル・ポーターやピーター・ドラッガーも具体的に大きな影響を及ぼしたようです。
ドッグイヤーした個所を残しておきます。
戦略
ある企業を業界において独自のポジションに位置づけ、それによって、競争相手に対して、持続可能な優位性やより優れた価値を生み出すもの
自社に問うてみる
①勝利を定義しているか?それは明確か?
②どこで戦うかを定義しているか?(どこで戦わないかをはっきり決めているか)
③選んだ戦場でどうやって勝つか、どこまで具体的に決めているか?
④戦場、戦法で勝つにはどのような能力群が必要で、身に着けているか?
⑤経営システムや方法は、4つの戦略的選択を支援しているか?
戦略の核心は勝利であるべき
5つの選択、1つの枠組み、1つのプロセス
戦略とは調和し統合された5つの選択である
※戦略的選択カスケード(滝)
1勝利のアスピレーション(憧れ)
2戦場選択
3戦法選択
4中核的能力
5経営システム
1つの枠組み
戦略的論理フロー
1つのプロセス
リバース・エンジニアリング
悪手の例
①戦略をビジョンと定義する
②戦略を計画と定義する
③中長期的な戦略が可能であることを否定してしまう
④戦略を旧来の方法の改善と定義する
⑤戦略をベストプラクティスと定義する
選択カスケードの統合
1 勝利のアスピレーションは何か?
2 どこで戦うか←正しい戦場
3 どうやって勝つか←勝つために必要な一連の能力
4 どんな能力が必要か←勝てる独特の資質
5 どんな経営システムが必要か←支援システム
アスピレーション:金銭ではなく、まず人々から始めると良い←顧客創造
・スタバのミッション
顧客ごとに、一杯の飲み物ごとに、店舗の進出地域ごとに、人間的精神を鼓舞し、育むこと
・ナイキ
すべてのアスリートにインスピレーションとイノベーションをもたらす
・マクドナルド
顧客が一番好きな店であり、食事の方法であること
スマホ会社は、人々がいつどこにいても結びつけるビジネスをしている
→スマホを製造している会社と答えてしまう
→リクルートでも大幅に成長した事業は顧客から考え直していた!
敵と味方を明確にする
・誰が最も大切か
・誰が最大の敵か
どこで戦うか(戦場)
消費者に対しての深い知見から見直す
P&Gのペーパータオル
→自社では強度と吸水性に自信があった
3種類の顧客
1 強度と吸水性の両方を重視 80%シェア
2 やわらかい手触り重視 シェアほとんど無
3 価格重視+強度(吸水性は無視)同上
→3種類の製品を投入
3つの危険な誘惑
1 選択不能
2 避けられないつらい選択から逃れようとする
3 現状を変えられないと受け入れる
可能性ある候補を集め、そこから選択する
地域、顧客、製品、流通、製造段階
→相互に補完し、顧客ニーズに合致するように選択
→どこで戦わないかを選択
どう戦うか(戦法)
戦法は2つ 低コスト戦略か差異化戦略
低コスト
・コストやコスト構造の組織的理解
・たゆまないコスト削減
・順応しない顧客を犠牲に標準化
差異化戦略
・顧客についての深い統合的理解
・強烈なブランド理解
・イノベーション
戦場選択と戦法戦略は相互に補完し補強しあう
強みを活かす
自社の強みを理解する
P&Gの場合
ブランドビルディング
消費者知見
消費者中心の効果測定
イノベーション
市場攻略能力
規模
広告代理店との関係
などがとても強い
管理するシステム
→これを準備しない企業が多い
・戦略を立案・レビューするシステム
→戦略会議は何であり、何ではないかを明確化
アイデア会議ではなく、今後3~5年の成長戦略目標をどうやって達成するか議論
→会議の仕方を変えた
→事前に資料を読み、
議題を絞り、3つ以内に絞る。
その際にいパラグラフのメモと1通の手紙を事業部トップにFBし
その議題を元に会議
アサーティブ・インクワイアリ(人の考えを率直に求めながら、自分の考えをはっきり主張する)
「私の考えはこうですが、ご意見はありますか?」
枠組み構造 OSMG
Objective:目的
Strategy:戦略:戦場選択、戦法選択
Mesure:測定:重要指標
Goal:目標
WPI(調整購買以降度)
技術的な性能+美的な魅力、デザイン、触り心地、外見などなど
P&Gでは (顧客を創造する)ためにも顧客を中心においた
戦略論理フロー
1 業界分析:セグメンテーション、構造
2 消費者価値分析:流通チャネル、最終消費者
3 相対的ポジション分析:中核的能力、コスト
4 競争他社分析:予測(我々の行動に対しての動き)
5 戦略的選択:戦場と戦法選択
SWOTや5Fも活用
議論での有効な質問
どの選択肢が正しいかではなく、「その選択肢が有効であるためにはどのような条件がそろわなくてはいけないか」
→対立から調和になり、真の理解に進む
戦略の6つの罠
①総当たり戦略
②ドン・キホーテ戦略(勝ち目がない戦場)
③ウォータールー戦略(複数の戦場で複数の敵と戦う)
④八方美人戦略(取捨選択しない)
⑤見果てぬ夢戦略(アスピレーションしか作らない)
⑥月替わり戦略(5つの選択に独自性が無い)
勝てる戦略の6つの証拠
1競争企業と似ても似つかない活動システムを持っている
2あなたを絶対的に信頼する顧客がいるいる一方で、肩入れしない非顧客がいる
3競争相手も彼らなりのやり方で高収益を得ている
4競争相手以上に継続的に投下できる経営資源がある
5競争相手同士が攻撃しあっている
6消費者が新技術、製品、サービスを求める際に真っ先にあなたを思い浮かべる