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サウナ専門家集団「TTNE」とはいったい何者なのか

序文

世間を騒がせているサウナブームの裏にTTNEありと言われてやまない(?)サウナ業界のトップ集団であるTTNEとはいったいどういった存在なのか。巷の噂では昨今サウナに関連するあらゆる分野で暗躍しているサウナ組織だという・・。今回はその謎に迫りたい。

などと、まるで闇の組織のような書き出しをしてしまったが、サウナを楽しんでいるとその名を聞かない日はないTTNEについて感想や思うところなどを散文として書き連ねてみたい、というだけである。

筆者はサウナを日常的に楽しむ一介のゆるリーマンなので、内容については完全に個人の感想であるのでご留意いただきたい。

公式HPから引用すると以下のとおりだ。

サウナー専門ブランド[TTNE]を設立。11月11日をサウナの記念日「ととのえの日」に制定(日本記念日協会認定)し、今行くべき全国のサウナ11施設を発表・表彰する「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」をスタートさせた。その後、サウナに関する医学的研究及び安全な利用に関する知識を提唱する「日本サウナ学会」を設立し、サウナ機器世界No.1シェア「Harvia」の国内正規代理店として製品販売を開始。のちに世界初の「Harvia グローバルアンバサダー」に就任。サウナ界における様々なジャンルで活動を展開しながら、日本におけるサウナのリブランディングを目指している。

https://ttne.jp/about/

サウナシュランでその名を知ったサウナーも多いと思うが、日本サウナ学会の設立やHarviaストーブの国内代理店など、冒頭で述べたとおり昨今のサウナ関連のあらゆる分野で・・、というのはあながち言い過ぎでもないだろう。

日本サウナ学会について

日本サウナ学会の理事を務める加藤容崇氏の著書「医者が教えるサウナの教科書 ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか?」はかなり有名だろう。

「サウナなんて健康に悪いに決まってる!」といった医者も多い中で丁寧に医学的な見地から様々な事例を紹介してくれるという点で日本国内におけるサウナ紹介医師の良心と感じている。

「医者」という肩書がつくと割と何でもありなところがあるので、嘘は嘘であると見抜く力は現代においてさらに重要性を増しているだろう。医者の肩書を悪用して反ワクチン思想の伝播をするものから果てはスピリチュアル路線での詐欺で捕まる者まで医者といっても千差万別なのだ。

日本は特に権威主義的な部分が大きいともいわれるが、大なり小なりどこの国でも変わらないと思う。重要なのはファクト(医学論文など)の有無をきっちりと確認することだ。

サウナ否定派の医者は肌感的には臨床医が多い気がするが、無理な入り方をしてサウナで倒れた患者を何人も診たことがあるからサウナは身体に悪い、だの心臓病の患者には絶対に禁忌だから健康な人でも身体に悪いに決まっている、だの「それってあなたの感想ですよね?」と言いたくなる記事が多い。

ちなみに、サウナの医学的な見地については筆者も以下でフィンランドの論文などを紹介しているので、参照されたく。

日本サウナ学会については社会貢献活動といっても良いレベルではないかと思うほど、非の打ち所がない素晴らしい取り組みだと思う。理事の先生も著書の宣伝ができて本が多く売れれば、世間の人々の健康への理解が上がり、サウナ施設も潤ったり数が増える、更に人々は手軽に健康になりやすくなる。

三方良しを超えた四方良しともいえる圧倒的な好循環を生み出している。圧巻の一言。

サウナシュランについて

こちらについては懐古主義的なコメントもあるが、基本的にはハイクオリティなサウナ施設を紹介するという意味で非常に意義があるもの「だった」と感じる。

年々自社プロデュースの施設のランクインが増えており、単なる自社関連施設の宣伝媒体と化している感が否めない。プロモーションも含めてのプロデュースなのだとは思われるが。

もちろんプロデュース施設の質が悪いとは言わないが、客観性を排して評価したとしても同じ結果になるかは疑問符が付くところだ。

嬉しい悲鳴というところかもしれないが、プロデュース業が好調すぎて、担当する施設が増えすぎた弊害かもしれない。あとはサウナ施設そのものがめちゃくちゃ増えているので、当初と同じ「11」施設という枠組みが国内に絞ったとしても小さすぎるとも思える。

自社プロデュースのランキングは別枠で紹介するとか、そもそものランキングをジャンル分けするとか、やりようはあると思うのだが・・・

  • ラグジュアリーサウナ(数万円以上)

  • サウナ専門施設やスパ施設のサウナ(数千円程度)

  • 銭湯サウナ(千円未満~千円台程度)

  • 大自然テントサウナ(これは個人的な好み)

上記のような部門に分けるだけでもかなり質が向上すると思う。単純に数を三倍にして33位まで紹介、とかだとランキングの意味が薄れてしまうが、一方で銭湯サウナを愛用するサウナーはスパ施設のサウナすらもあまり行かない人も多いので、それらを住み分けすることは大いに意義があると思う。

この辺はシビアだが好みも含めて単に所得の問題もあると思う。サウナーは頻繁にサウナに行って楽しみたいという気持ちを皆同じくしているので、毎週何度もサウナにイキタイ。だが、数千円の施設に毎週のように複数回訪れるのはそれなりの余裕が必要だろう。

話が脱線したが、ある種のオウンドメディアなので自社の宣伝をするのは大いに構わないのだが、やはりそれだけだと面白みに欠ける。広告ばかりのゼクシィや女性ファッション誌のようにはなって欲しくない。サウナだけをテーマにして雑誌が作れるような時代が到来しているので(これに関しては確実にTTNEの貢献も大きいと思う)、1年に1回という頻度から見ても、ボリューム感のある有意義な情報提供媒体を目指してほしいと願ってやまない。

プロデュースサウナについて

本業?ともいえるサウナのプロデュースについては確かに一定以上のクオリティは担保されているように感じるので、このおかげで良いサウナ施設が増えるのは素晴らしい。

ただ、内容については玉石混交といった感じがする。綺麗にまとまってはいるが、映えを意識しすぎて本質的でないサウナや、ガワは良くても中身が伴わない(セッティングがあまりよろしくない)サウナも散見される。

あくまでプロデュース業なのでオープン後の運営までは口を出す立場ではないと思われるものの、セッティングがブレやすかったり、コンセプトが明確でないサウナはあまり作るべきとは言えない気がする。

複数のサウナを設置している施設であれば、あえて温度を低めに設定して、その代わりゆっくり入るサウナなども当然あって良いのだが、その場合でもメディテーションサウナのようにコンセプトは明確にすべきである。

特にコンセプトがないのか、あえてわかりづらい作りにしているのかは不明だが、意匠やストーブだけを変えて温度帯がバラバラのサウナがあったりするし、その割には一般的な感覚と逆行して明るいサウナがぬるく、暗いサウナが熱い場合なども見受けられた。

逆張りやウケを狙うのも、前衛的なチャレンジと捉えれば悪くない場合もあるが、どちらかというと小手先だけで奇を衒っている感じがする。

一方で北こぶしのように意匠で攻める施設など、コンセプトも明確で施設のクオリティも素晴らしいものもある。が、少し前のプロデュースなのが若干気にはかかる。拡大路線となると全てを精鋭で見るわけにもいかないので、当然ながらある程度のパッケージ化は避けられないが。

まぁ北こぶしは海外のサウナデザインをほぼ丸っとインスパイアしているので、そういう点でも攻め過ぎたのかもしれない。規模が大きくなるにつれてそのあたりのグレーゾーンは増々厳しくなってしまうことは避けられない。

だが、既存の焼き直しではなく、前衛的でチャレンジングな施設もどんどん手掛けていってほしいものである。儲かっているのなら後から問題になっても意匠の利用交渉をして利用料を払えば良いだけだ。

更なる拡大を経て、TTNEプロデュースが隈研吾建築のくまちゃんシールのようなレッテル化しないことを祈る。誤解を避けるために補足すると、隈研吾建築は誰が見てもそれとわかる非常にわかりやすい意匠で、デザインに名前が付いていること、それ自体は偉大なことである。

しかも低予算でも請け負ってくれるという噂なので、めちゃくちゃ良心的な事務所である。ただ当然のことながら、作品にコスパではなく純粋なクオリティを求めるならば、低コストでの大量生産のようなことは実現できないのだ。

ちなみに初めてプロデュースだけでなく運営も手掛けるという暖の地獄サウナはかなり良かった。元々の冷泉浴が素晴らしいのもあるだろうが、そこに手を入れずにあるものをしっかり活かしたうえで有能なサウナをそっと添えただけ、という感じで足し引きの美学を感じた。レビューは別記事で。

総評

サウナブームの立役者という評価は揺らがないだろう。TTNEなくして今のサウナブームや日本におけるサウナ文化、サウナの隆盛はない。心からのリスペクトと感謝を伝えたい。

だが功罪ある部分も無いとは言えない。「TTNEプロデュース」という謳い文句が力を持つようになってきたからこそ、兜の緒を締めなおして欲しいところだ。拡大路線を続ける中で安易なスタンプとしてTTNEの名前が用いられることになってしまうと、思いもクオリティも無いサウナを量産することになってしまう。

サウナシュランの公共性喪失、プロデュース施設の質低下、グッズなどのライセンスビジネス拡大など、そういった未来の片鱗が既に見え始めていると感じる。

最近は知名度に胡坐をかいていると、メディアによって“作られた”ブームや文化と認識されてしまった時の大衆からのバッシングが非常に大きい時代である。

今のところメディア戦略やインフルエンサー戦略、その他のビジネス戦略についても全て順風満帆といった気がするが、もし中身が伴わないハリボテ化が進んでしまうと、何かあった時にそのまま沈没してしまう。

個人的には経営やビジネス面が良好であることは、サステイナブルな取り組みと不可分なので、儲けること自体は良いことだと思う。が、やはり儲けに走りすぎているように世間から見られると、現代の総貧困社会においては非常に具合が悪い。そんな時でも常に仕事の質が高いレベルで保たれていれば、言い分も立つというものだ。

何だかんだ言っても、日々の誠実で実直な仕事の積み重ねが資産となり、いざという時に身を助けたり更なる飛躍を助けることになるので、そういった路線を歩んで欲しいというささやかな願望を記して終えたい。

TTNEには是非これからも先頭に立って良い方向に業界を導いて行ってほしいと思う。サウナ業界の増々の発展を祈っている。


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