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サウナレビュー MACHIYA:SAUNA KYOTO(京都)

築160年の京町屋をリノベーションして創り上げられた一棟貸タイプの貸切サウナ。サウナ施設としてだけではなく、町屋としての空間も楽しめる素晴らしいコンセプトの施設だ。

二階建てとなっており、二階はソファが置いてある寛ぎスペースで、大画面のプロジェクターでNetflixも楽しめてしまう。

時間貸しだけでなく宿泊も可能となっているため、宿泊利用の場合にはサウナでととのった後にこちらでまったりとくつろぎ、そのまま夜は健やかな眠りに落ちるという完璧な流れが想像できる。

評価:★★★★★

サウナ

当然のことながらセルフロウリュし放題で、7種類のアロマも使い放題となっている。壁面と天井はグレーで統一されており、一見流行りのモダンサウナのような打ちっぱなしのデザインを彷彿とさせるが、実際には町屋というコンセプトを活かして漆喰で仕上げられている。

デザイン性もさることながら、サウナ自体のクオリティも素晴らしく、しっかり気持ちよく熱を感じられる構造となっている。特にセルフロウリュはラドルがサイズ含めて使い勝手が良く、好きなアロマで楽しめるので、熱も香りも自由自在で満足度が非常に高い。

座るスペースは一段のみで詰めて6人程度といったところか。だが、空間としてはベンチ以外にゆとりがあるので、閉塞感は感じない設計となっていて、その辺りも無理やりコンパクトに詰め込む昨今の都市型サウナとは一線を画す。

水風呂

大型のチラーでキンキンに冷やされており、庭スペースへと繋がる場所に設置されているので、秋冬であればしんしんとした冷たさを感じることができるだろう。

しっかりサウナで熱した後に最適なセッティングとなっている。逆にサウナタイムが短いとキツく感じるぐらいかもしれない。

その後のととのいに向けた準備としては完璧ともいえよう。長時間浸かる必要はなく、サクッとしっかり冷やすことができるので、ノンストレス。

また、手足を出しやすい形状となっており、冬場などは外気浴で爪先を冷やしすぎると痛くなってしまうので、この辺りのコントロールがしやすい点も非常にニクい。

ととのいスペース

この施設は全てにおいてハイクオリティだが、特にこのととのい椅子が最高すぎた。アンティーク感のある木製の椅子で、ロッキング機構が付いているものが2脚ある。

これが本当に素晴らしかった。

なぜ全てのサウナ施設はととのい椅子にこの機能を付けないのか、この感動を知ってしまった後には全てのサウナーが疑問を持つことだろう。

何が良いのかと言うと、この自然な揺れを感じることでととのいのタイミングで脳が揺らされる感覚を味わうことができるのだ。普段のととのいに更にブーストをかけられるといえばイメージしやすいかもしれない。

こればかりは体験してみないと良さが伝わらないかもしれない。このととのい椅子によるととのい体験のためだけにこちらのサウナを利用してみて欲しいレベルだ。この素晴らしさが伝わらないサウナーは恐らくいないのではなかろうか。

なお、庭の縁側にある1脚のみ可動するタイプではないが、こちらは完全に外気浴に集中するために設置されていると思われる。

総評

サウナに関する全てのポイントに対して非の打ち所がないクオリティでありながら、ラグジュアリーさも感じられる広々とした空間と町屋ならではの侘び寂びまで味わえる、となれば“最高”以外の評価はないだろう。

にも関わらず1人あたり1万円を切る価格で3時間という長時間の貸切が可能というコストパフォーマンスの高さも素晴らしい。東京や大阪なら遥かに閉塞感を覚える超コンパクトな貸切施設でも倍以上、場合によっては3倍以上の価格設定だろう。

町屋のリノベーションによる再活用はここ10年ほど飲食店を中心に行われてきた印象だが、サウナ利用は盲点であった。圧倒的に優れたビジネスモデルだと感じるし、タピオカ屋や高級食パン屋に類する雨後の筍のように湧いてきた短期回収型の都市型サウナビジネスとは完全に次元が異なる。

サステイナブルな視点も感じられるし、他の地域では町屋だけでなく蔵を改装して作ったサウナなども運営されているようで、やはり非常にコンセプチュアルで、しっかり考え尽くされた展開なのだろう。あらゆる面で脱帽である。

いつかサウナに関連するビジネスを興してみたいと考えているが、まさにこんなサウナを創りたいと思わせてくれた。求めていたサウナ施設が此処にあったのだ、と感じることができて感無量である。

必ず再訪したいし、他の地域で運営されているKURA:SAUNAやIE:SAUNAなどのリノベーションサウナにも今後必ず訪問するだろう。

それだけの感動を与えてくれたサウナ施設だった。本当に久々にサウナを初めて体験した時のような感動を思い出させてくれた。

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