サウナレビュー⑦ 北こぶし知床ホテル&リゾート(北海道 斜里郡)
今回はサウナシュランにも選ばれたことがある北こぶしである。冬場は曲線美を活かしたお洒落な設計のサウナ室内から流氷が見られるということで、まるで本場フィンランドのような体験を日本で疑似体験できる唯一無二のサウナ。
残念ながら筆者は冬の知床半島の凶暴性に恐れをなして夏場に訪れたため、実際の流氷は見ることができなかったので、評価はその分を割り引かざるを得なかった。
評価:★★★☆☆(夏季)
サウナ
サウナの意匠は最高にお洒落である。いわゆる日本にあるサウナでもサウナブーム以降に作られたり改装したりした施設のなかには綺麗なサウナが多くあるが、それらとは一線を画す存在だ。
多くの新規施設のサウナは率直な感想を述べると、割と無味乾燥で「今風のデザイン」であるだけのことが多い。
清潔感があったり、あえて無機質な素材などを用いることで硬質的な印象を与えたりすることでお洒落感を演出しているが、アートとは言い難い。
その点、北こぶしのサウナは明らかに造形から“デザイン”を意識していて、まだまだ日本にはなかなかないタイプのサウナである。
ただ残念ながら実はこの設計はオリジナルではなく、海外のとあるサウナ施設のデザインを踏襲したものらしい。
海外にあるようなデザインのサウナを日本にも作りたい!というコンセプトのようなので嘘は言っていないが。
本来はサ室のデザインのうち最も重要なのは大型の窓で、そこから流氷が眺められるところがポイントなので、夏場に訪問したせいか少し辛口の批評になってしまうところはご勘弁願いたい。
温度や湿度についてはよく管理されていて、ぬる過ぎず、熱過ぎずの体感温度でいずれも申し分ない。
水風呂
あまり特筆すべきポイントはなし。ライトアップされるなどお洒落な風貌とはなっているが、サウナとは異なりいわゆるイマドキな外観といった感じ。温度もそこそこでキンキンという感じではない。
外気浴
眺望は良いのだが、スペース的にはかなり厳しく、椅子の数や形状も十分とは言い難い。ただ、こちらも流氷を眺めながらととのうことができればその評価は一新されるだろう。
総評
全体的に、サウナシュランやその他訪れる方々の絶賛の評価については冬の時期の流氷があってこそ、といった部分が大きいと感じた。できれば冬場に訪問し、その真価を味わいたかったのは山々なのだが、、
ただし、サウナのデザインだけでもかなり感動するとは思う。ただ、立地も鑑みるとそのためだけに訪れる価値があるかというと、率直に言って夏季の再訪はないだろう。
本州の人間からするとレンタカーしか手段がなく、スタッドレスタイヤといっても何年前に履き替えたのかもわからないような車両で訪れるのは正直言って命に関わるので断念した。
知床半島の観光と合わせて行ってみたい、という方もいるだろうが、同様に冬場に半島を回るのはかなり手段が限られるので、現実的にはなかなか難しい。せっかく北海道を訪れるなら、他にも訪れるべき地方や施設は山ほどあるので、これまた悩ましい。
遊覧船による事故などもあったとおり、知床半島は北海道のなかでもかなり自然が残っていて、それが観光資源としての売りでもあるが、大自然の厳しさを感じる部分も強く、冬場に訪れる際は十分な注意を払ってほしい。