あんまり怒らないでほしい2
見ず知らずの人に怒られがちな話、ふたつめ。
とある12月、千代田線に乗っていたらピンクのワンピースに女優帽的なお帽子にサングラスに素足にサンダルの女性が乗ってきた。
見るからに怪しい。
でも、割と空いてたので今なら怪しいさんも座席選び放題チャンスだよ。
知ってたよ、こうやってわたしの前に立つんだよね。
わたしを凝視する怪しいさん、なんか口元が動いてるからウォークマンをそっと止めてみた。
「…からき…なかも……んだよ…」
千葉から来た田舎者の癖に生意気だと言われてる。
「…てんのか…オイ…のかよ…」
聞いてんのか、オイ聞いてんのかよと言われてる。
よくわからないけど聞いた方がいいみたいだからイヤホンを外した。
「おい!ブス!テメェの事だよ!千葉から来た田舎者め!お前生意気そうな顔してるな!お前みたいな性格の悪そうなブスが大嫌いなんだよ!」
さっきまでの消え入りそうな呟きはどうしたんだ。
そんなに大声でわたしがブスなことを車両中に晒さなくてもいいじゃないか、頼むから落ち着いてくれ。
「よく聞こえなかったのでもう一回お願いします!」
もういっそのこと、煽って殴らせて、公の機関に引き摺り出させてやろうと思った。
「テメェじゃねぇよ!!!!!」(発狂)
「テメェじゃねえっつってんだろ!ブス!」
わたしではないけど、それでもわたしはブスらしい。
その後怪しいさんはわたしが溜池山王で降車するまでわたしを罵倒し続けたのは言うまでもない。
わたしは罵声のシャワーの中、怪しいさんを見つめていた。
溜池山王で降車して「なんだよ、殴ってきたら即通報したのに。」と思ったのも束の間。
怪しいさん、ついてきた。
怒らないでほしいっていうか、ゾッとした話だった。
ただ、20%くらいはわたしが悪いのは分かっている。
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