スズキのリコール

スズキ自動車は2件のリコールを発表した。

リコールの内容

リコールはエンジンとサスペンションの2件である。

①エンジンのリコール
対象車両:
 アルト、ワゴンR、MRワゴン、スペーシア、ハスラー
 平成24年8月~平成28年2月までに製造されたエネチャージ仕様車
 合計822,257台
 (詳細は上記の上のリンク参照)
不具合の内容:
 クランクプーリボルトのねじ谷底の形状が正しくできていない
 (ねじ谷底とは、ねじ山とねじ山の間の谷の底部分)
 多分、ナットの山とねじ谷底が接触してしまったと推定
 ➡締め付けが緩いとナットがずれてねじ谷底を摩耗させる
 ➡クランクプーリボルトが折損してガタが発生
 ➡クランク位置の読み取りにずれが発生
 ➡エンジンの状態と燃料噴射制御がずれが発生
 ➡エンジンストールが発生

②サスペンションのリコール
対象車両:
 ワゴンR、スペーシア、アルト ラパン、MRワゴン
 平成25年3月~平成27年12月までに製造された車両
 合計480,525台
 (詳細は上記の下のリンク参照)
不具合の内容:
 フロントサスペンションのコイルスプリングの鋼材に対する塗料の密着性
 が不足
 ➡使用によって塗膜がはがれる
 ➡塗膜がはがれた部分がさびる
 ➡さびることによってコイルスプリングがやせて強度が低下
 ➡コイルスプリングに衝撃が入り破損
 ➡場合によってはタイヤを破損

危険事象

①エンジンのリコール
衝突等の可能性
 エンジンストールによってブレーキブースターの機能が低下する
 ➡ブレーキが運転者にとって重く感じる等になる
 ➡通常の踏力ではブレーキが利きにくくなる
 思いっきり踏める人であれば問題は少ないが、通常のドライバーはそのよ
 うなことができないので、場合によっては衝突する可能性がある。

②サスペンションのリコール
衝突の可能性
 サスペンションの破損により安定性が失われる。
 ➡道路の凹凸で車両制御ができなくなる
 運転技能が高い人は安全に停止させることが可能性はあるが、通常の運転
 手にとっては難しいことであり、対向車や壁面に衝突する可能性がある。

経済的な影響

サスペンションのリコール費用はサスペンションのサプライヤの持ち出しとなるので、スズキ自動車に対して大きな負担とはならない。
しかしながら、エンジンのリコールはスズキ自動車がすべて負担となる上に、作業工数がサスペンションリコールよりも大きくなる(エンジンを下ろす必要性がある)のでスズキ自動車の売り上げに影響を与える可能性がある。

問題点

サスペンションのリコールに関しては、発見が難しいものである。
定期点検の過程において発見されても、何かが当たって塗膜がはがれたと考えるのが普通であるので、ある程度の数が出てこないと見つからない可能性が高い。
それに対して、エンジンのリコールは組付け現場で発見される可能性があったものである。
ナットの締め付けにおいて異常を検知することは可能であったと考える。
但し、季節工などの作業員の増加により、そのようなことに気が付く作業員が減っている昨今においては、作業員を管理する側が注意をしていく必要があるのであろう。
昔のように、作業員が異常を上げてくることが無くなってきているので、作業員を管理する側にその分の働きが必要となってきていると思われる。
正社員が組み付ける現場から非正規社員が組み付ける現場に代わってきているので、それに対応した品質管理が必要となってきているのであろう。


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