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【週末うちの一皿】まぐろ切り落とし 小正月の元服がルーツの成人の日

あなたの週末に、お魚との「未知との遭遇」を。さかな一代の大人たちが、あなたの食卓の一皿に「魚料理」が加わることを願って、静かに連載しています。2022年初回の週末うちの一皿の投稿になります。1月も月中あたりまで過ぎると、もう正月気分はみじんもありませんね。ぼくたちの業界では、お正月に働く取引先もありますので、そんな方達の休暇期間になることも多く、お仕事的には少し落ち着いてしまいます。そして、それを過ぎると、怒涛の年度末へ向かっていきます。
さあ今回も、みなさんとの合言葉「肉料理には負けないぞ!(笑)」で行きましょう。

なににもがまんせずに

1月10日、2022年の新成人が生まれ、各地で祝福されました。昨年に続き、なかなか難しい社会状況の中で、例年のように華々しく新成人を祝うことが難しい状況、なにかと「がまん」を強いられます。しかし、さかな一代の大人たちとしては、新成人にはがまんはしてほしくない。騒いで欲しい、ということではなく、今の社会状況だからこそ、新成人には、何にもがまんせずに、多少の成人の自覚を持って、自ら生き抜いていってほしいと思っています。

今、2022年の新成人にエールを送ったところですが、2022年4月に「成人」の定義が変わりますよね。これは、長らく20歳を成人として扱ってきた日本社会が、18歳を成人年齢として扱うように変更されます。それに伴い、今年は4月1日に、19歳、18歳の方が「新成人」として扱われることになっています。扱われる、なんて何かモノのように言ってしまってスミマセン。
そんな社会からの扱いなんて、どうでも良いわけで。

今年新成人を迎えるすべての人達への、ぼくたちのアドバイスとしては、成人としての自覚を持って臨んで、、、なんて、ちょっとは書きはしましたが、そんなことはどうでも良くて、とにかくがまんしないで生きて欲しいということ(もちろん法律上は自己責任となりますが、汗)。 
大人とは何か?今でも問い続けています。さかな一代の大人たちは、まあまあいい年になる仲間もいますが、だれも失敗を恐いとは思っていません、いまだ大人になり切れない「心」を持っていると思います。それが、かっこいいんです。

小正月と元服

ところで、なんで成人の日は1月10日だったのでしょう?
もともとは1月15日が、2000年代に入るまでは半世紀に渡って「成人の日」として固定された祝日でした。今は、利便性を重視したハッピーマンデー政策で、毎年連休になるように移動しています。何を言いたいか、つまり、1月15日だからというのが大事ということです。

1月15日は、小正月と呼ばれています。正月からの一連の行事のしめくくりの時節にあたり、小正月の行事イベントには事欠きません、全国でいろんな行事がありますね。
旧暦下では、月の満ち欠に従っていたので、その年、最初の満月が1月15日の小正月でした。「月が満ちる」ことと、「人が大人になる」ことがリンクして、古くから元服の儀が行われていただことに由来しているようです。元服を迎えた子供は、文字通り、服装を改めた他、それまで名乗っていた幼名にかわり、大人の名前が与えられました。年齢こそまちまちでしたが、元服を迎えた子供は、それ以降大人として扱われたことから、現代においても小正月の1月15日が「成人の日」と定められました。
まあ、ご存じの通り今は15日じゃないんですが、個人的には、この祝日移動も利便性が故とはいえ、成人の日のような成立のストリーと日にちが切り離されてしまうのは寂しい気もします。
地元を離れた子供たちにも成人の日の祝典に出席しやすくていいじゃないの、というのもわかりますが、都市部偏重というか、むしろ積極的に都市への若年層の人口流出を図る考えあるようにも見えてしまいますね。
そういう辛さ?含め、生まれ育った地域を離れたことを実感する機会だったのでは?とも思えます。これは、あんまり祝日が関係ない、市場の人だから思うことかもしれません。

週末うちの一皿:まぐろの切落し

今日の一皿を作って、味わっていきましょう。今日は、例によって週末用に冷凍庫にストックしてあった、まぐろの切落しを味わいます。ぼくは家で食べるなら、切落しで十分満足な人です。

「庶民のマグロ」だなんて言われたりしますが、流通量一番のバチ(メバチマグロ)と双璧を成す、キハダマグロちゃんです。初競りの記事で取り上げた、マグロの王様「本マグロ(クロマグロ)」に比べて、赤身は少し薄い赤、その分油脂分が多すぎず、あっさりとした味わいでみんな大好きです。

キハダマグロ

マグロ漁は、いろいろありますが、みなさんがテレビでよく見るのは一本釣りではないでようか。マグロだけでなく、カツオやシイラなど回遊性魚類は、海に浮くものに集まる習性がありますので、これを利用した釣りです。対して、マグロの漁でポピュラーなのは、マグロはえ縄漁という漁法。幹縄と呼ばれる縄(ロープ)に、針の付いた枝縄と呼ばれる縄を付けて魚を獲ります。幹縄の長さは100km、針の数は2000本以上になることもあります。想像できますか? 海は広いですからね。
今日ぼくの食べるキハダマグロちゃんは、マグロはえ縄漁です。

ツマづくり

切落しだから、お手軽。少し、それっぽくしたいので、お刺身のツマを作っていきましょう、大根と、大葉を用意しました。包丁でかつらむきして千切りにしても良いですし、シャッシャッとスライサーを使っても良いでしょう。千切りより、少し細かく、がツマの場合いいですね。あとは、10分ほど流水にさらして、よく水を切っておきます。
大葉は、軸の部分を落としておきます。

ツマってお刺身の見栄えだけよね?って良く聞かれます。いや、見栄えだけじゃない大事な役割があるんですよ、忘れましたが。
お刺身の盛り付けでは、高低差を出すのに欠かせません。大体盛り付けのイメージを作って、それらしく配置していきます。手をお椀のようにして、そこに大根のツマを押し込み、軽く握って丸い玉を作るようにするとそれらしく置けます。
そこに大葉を乗せれば、刺身のツマのセッティングはOKです。

最後に、大葉に半分かかるように、主役のマグロの切落しを盛り付ければ完成です。
とはいえ切落しのマグロは、不揃いです。柵のお刺身を盛り付けるのとは勝手が違います。なんて言って、なにもコツはありません(笑。ぼくは、かたまりのように置く、のがいいと思っています。マグロブツもマグロ切落しの一種、あの適当さ加減がいいんです。

マグロのお刺身(キハダマグロの切落し)

■材料(3~4人分)
キハダマグロの切落し(300g)、大根・げんこつサイズ、大葉4枚、ワサビ
■作り方
ツマづくり
ツマの盛り付け
マグロの盛り付け

完成!

さかな一代 中乃のレシピ
週末うちの一皿:キハダマグロの切落し

実際300gのマグロの切落しは1人用ではもりもり。4人だとちょうど写真くらいのポーションになりますね。どうですか、ぼくの言うように盛り付けてみると、それなりに見えてくるでしょう?
ちなみに、板前の流儀では、右手前にワサビを盛りますよね。それは右利きの人が多く、盛り付の方向が右手前から食べることを軸にしているからなんですが、切落しですからそこはルーズに。お客さんが左利きの方であれば、盛り付けを逆にすることもありますよ、ぼくはそうしてました。ワサビと、盛り付けの色味を出すためにカットレモンを置くと、プロのそれらしさが出ます。ワカメなんかを添えるのもいいですね。

さあ、週末うちの一皿が完成しました。
寒い日が続くので、ぬる燗くらいに温めた日本酒で、このキハダまぐろの切落しをいただくことにしましょう。

酔いも回ってきたところで、言っておきます(笑。
新成人のみなさん、おめでとう!
お酒をたしなみながら、美味しい海の恵みをいただくと、「ああ日本に生まれて良かった。」って思えますよ。お酒もいいけど、お酒といっしょに味わうお魚はもっといい!

それから、4月に成人年齢が変わっても飲酒は20歳からは変わりません。来年からは、新成人のみなさん、乾杯!ってわけにはいきませんね、ごめんなさい。

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。「スキ!」と、また読みたいと思ったらフォローしていただけると、励みになりますし、喜びます。ご質問などありましたら、本当にお気軽な気持ちで結構ですから、さかな一代の大人たちコメントへお寄せください。

では、また次回をお楽しみに! サラバジャ。

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