市場って何をするところ?1400万人都市「東京」の食を支える豊洲市場
こんにちは! さかな一代の中乃一です。とうとう、夏休みの宿題を終えていない良い子のみんなは、本当にラストスパートですね! 前回の巨大冷凍庫のしくみのお話が、note教育さんの#夏の自由研究に集まった記事紹介に取り上げていただきました! 「知的好奇心が刺激される!」なんて過大な評価をいただき、ありがとうございます。まだご覧になられていない方は、ぜひそちらもご覧ください。
さて、夏の自由研究特集の2つ目「市場ってなにをするところ?」を、わかりやすく紹介していきましょう。良い子のみんな、準備はいいかな?
中央卸売市場(ちゅうおうおろしうりしじょう)は、ぼくたちがいつも食べている、魚介類や野菜、果物などの生鮮食料品や、ぼくたちを楽しませてくれる季節の花を取引するところです。豊洲市場も、中央卸売市場の一つです。
東京都が開いている中央卸売市場の1つ豊洲市場には、1「品物をあつめる」、2「値だんをきめる」3「多くの品物を必要なところへ分ける」、の3つの機能があります。
品物を集める
豊洲市場には毎日たくさんの食品が、大型トラックで運ばれてきます。全国各地、海外からも、いろいろな食品があつめられます。このように、ぼくたちの必要な食品をあつめるのを集荷と呼び、市場の仕事の一つです。集まってくる食品は「大量多品目」、つまり、まだまだ一般のお家はおろか、普通の小売店さんでは多すぎる量で、それはそれはものすごい種類の品物が集まります。それが、最終的には小売店さんで扱える量で、必要な品物「少量多品目」に組み替わって市場を通過していきます。
値段を決める
豊洲市場では、開市日の早朝に開かれる、魚のせりに、卸売業者と、仲卸業者、売買参加者が集まります。卸売業者は、魚を豊洲市場に送ってくれた生産者さんの代理、仲卸業者、売買参加者は、みなさん消費者の代理です。良いものをなるべく高く売りたい側と、良いものをなるべく安く買いたい側で、せりが行われます。多くの場合、卸売業者の人が、安い値段から高い値段へと値段をよみあげていきます。集まっている仲卸業者、売買参加者たちが、値だんをつけていき、一番高い値段をつけた業者に魚が売られます。この売り買いの方法がせりですね。その日の集荷が少なかったら、みんなが欲しがったら、またその逆もあるし、こうして公平に値段が決っていくんです。みんなにわかりやすい体験で言えば、ネットオークションでしょうかね! 市場で値段を決める方法はこのほかに、入札、相対売があります。
多くの品物を必要なところへ分ける
豊洲市場で取り引きをすませた食品は、仲卸業者の人たちによって店舗に運ばれ、豊洲市場へ買い出しに来た飲食店さんや小売店さんに渡ります。また、売買参加者の人たちによって、スーパーマーケットなどたくさんの品物をあつかう店や魚屋さんさんなどの小売業者、さらに食品を加工して販売する製造業者さん、大量に食品を使う学校、病院などへと運ばれていきます。せりなどを通じた一連の市場の流れのなかで、消費者のみなさんが買いやすい「少量多品種」へ組み変わっていくわけですが、これを分荷と呼び、市場の果たす重要な機能です。
そして、魚屋さんなどの小売店に品物がならべられ、そこではじめてぼくたちは、すきな魚を自由に買うことができます。
このように豊洲市場は、食物を作る生産者さんと、食べる消費者さんをむすぶ大切な役割りを果たしています。
1400万人都市東京の食を支える豊洲市場を例に、市場の仕組みを説明してみましたが、どうでしたか? さかな一代の商品も、豊洲市場のおかげでみなさんにお届けすることが出来ています。みなさんの「欲しい」が形になるネット通販サイトです。どんどん更新されていきますので、ぜひ見て行ってくださいね。
東京の魚市場の歴史 ”さかな一代” 安部小次郎著 1969年発刊より
市場法によって実施された今日の築地市場は、日本橋魚河岸時代にくらべ、あらゆる面で近代化されているが、その大部分の構成、機能は、日本橋魚河岸時代の継続である。在来その短所は、その設備のみにならず売買取引の内容についても不満とする点が多く、市場内取引者の濫立、同業者間の激しい競争は、幾百年来の商業道徳を破壊する傾向がある。売買取引の信用は、他面市場に対する出荷の円滑を欠く要因になり、又、当業者を増加させ、これがまた、商品の価格に反映する。
新法の目的とする市場は、これらの弊害を改め、売買機会を改善し、取引方法を合理的なものとし、公正な手段によって、日常品の価格を決定せしめ、生産者および消費者の利益を保護すると同時に、他方当業者の地位を安定し、生活必需品、卸売機関の健全な発展を遂げようとするものであった。
以上は1969年に安部小次郎翁が、日本橋魚河岸から築地市場への移転当時を回顧して綴った記録です。日本橋魚河岸から築地市場への市場移転は、ハードウエアの更新とともに、運営にまつわるソフトウエアの整備と対となるものでした。こうして、発展を遂げた築地魚市場は、2018年10月に豊洲に再移転し、2021年の現在、さらなる発展が期待されています。
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