なかのアセットといえば、骨太エンゲージメント ~優れた倫理と優れたビジネスは同じもの~
みなさま、こんにちは。
なかのアセット運用部の山本 潤です。
公募投信の行うエンゲージメントって何?
わたしたちが投資先や投資候補先に対して行うエンゲージメント。しかしながら、「エンゲージメント」とは何でしょうか。簡単にいえば、「価値の共有と向上のためにしっかり企業と対話をしていく」ということです。
エンゲージメントをわたしたちがする意味は、それが長期的な企業価値の向上に貢献できるからで、対話がアルファの源泉になるのです。
些細な例をあげれば、余分な現金をそのまま保有していれば、経営効率はその分、犠牲になります。そうではなく、たとえばそのキャッシュを活用して企業買収を行えば、買収先の利益が上乗せされ、利益成長が加速し資産効率は改善します。
しかし、エンゲージメントとは、そのような型にはまった提案には留まらないのです。
なかのアセットのエンゲージメントは、もっと、もっと骨太なものです。
愛とリスペクトを持って
われわれの社是でもある「愛とリスペクト」。他者に接するとき、わたしたち、なかのアセットの社員は、まずは「この人が幸せになりますように」と思う習慣を身に着けようと努力しています。これは能力としてはEQと呼ばれることもあるのです。よき心を持つものは、他者に「よい心で働きかけをする」ことができるからです。理想と現実との間に大きなギャップがあることをわたしたちは知っています。そのギャップの大きさがいつも問題で、そのギャップに苦しむからこそ、人が人を急がせ、時には、他者を絶望させてしまうのでしょう。
愛とリスペクトを実践しようとすれば、わたしたち、なかのアセットの社員は、常にベストコンディションを保ち、余裕をもって社会に接し、また、自らが高い基準で生きることを実践しなければなりません。
さきほど、キャッシュの有効活用という、いささか低次元?の話をしてしまいましたが、本来のエンゲージメントとは、そのような誰にでもわかるような提案では物足りないのです。
社会には結果論が蔓延しています。株の世界では、あのとき、これを買えばよかった。基準価格が下がって損したと嘆く人の多いこと。確かに気持ちはわかりますが、数字や目標を優先する社会では、高い基準も大切な倫理観も全部、置き去りにされてしまうリスクとわたしたちは隣り合わせなのです。価値が共有されず、人類が互いに孤立した社会では人々は幸福にはなれないのです。
最初に価値を共有
目標より価値。
数字より価値。
わたしたちのエンゲージメントとは、「優れた倫理と優れたビジネスは同じ」であるという信念から生じるものなのです。
投資先や受益者と価値を共有していく普段の努力がエンゲージメント活動なのです。
企業や受益者との対話で、いきなりパフォーマンスの話をするファンドマネジャーがいますが、それは結果重視の本末転倒なスタンスです。
対話で真っ先にすべきなのは、価値の話です。
共感から始める企業価値の向上をわたしたちは以下のステップで目指しています。
ステップ1 理念や価値感をまず共有する。
ステップ2 共感すべき価値観を友達や知り合いに伝え 共感の和を広げる
ステップ3 理念や価値への共感の総和を増やし、企業価値が向上する。
骨太のエンゲージメント
繰り返しになりますが、対話で真っ先にすべきなのは、価値の話です。
骨太の対話とは、共有すべき価値について本音で話せることです。
これが対話の基本です。わたしたちはどう生きたいのか。どうありたいのか。その理想を実現するには、どうすればよいのか。どう振る舞うべきなのか。人類の利益とは何か。こうした正解のない問いかけに対する多様な価値観の間のバランスの決定こそが投資の判断なのです。わたしは、この投資判断を「価値のバランス」と呼んでいます。様々な価値の間のバランスをとること。その上で、高い基準で生きていくのが運用者というものです。投資判断とは、計算に基づく定量的なものだけではありません。投資家も企業人も、それぞれ社会に負っている責任があります。公募ファンドであれば、自らの価値観をしっかりと表明していくべきしょう。わたしたちは日本で一番、透明な運用を行っています。ただ、まだ、発展途上なので大いに奮起する必要があります。
ヤクルト本社との対話では、彼らは、必要な栄養素を添加して新商品を出したというので、わたしは、彼らに正直な懸念を伝えました。栄養素を添加して、その添加物がどのように体に吸収されるのか、吸収率が高ければよいのか、結局は、世間に流されているのではないか。結果、安易な商品開発にはならないのか。そこは心配ですと。共有すべき価値である、プロバイオティクスのすばらしさを対話によって地道に広めていく草の根の活動こそが王道なのではないかと。そう、伝えました。確かに、昨今の食品売り場は、ビタミンやミネラルの添加物だらけです。しかし、その食生活によって、現代人が健康になったという話は聞いたことがありません。
正しいことをやっているならば、堂々としていればよいのです。市場に媚びる必要はないのです。
たとえば、朝日インテックのIRの担当者は、年率の利益成長率が低すぎると欧米の一部の投資家から指摘を受けていました。わたしはその指摘は当たらないと彼らに言いました。企業価値とは年率成長率と成長期間の積。成長期間の議論をしない欧米の投資家は間違っていると。本当に御社のビジネスを深く理解している投資家を増やしていくしかない。そのためのIRです。世界中の国々に影響力のある名医が存在し、その名医との人的関係を構築しなければ、御社の製品は広がっていかない。人と人との関係は一朝一夕に構築できないのです。新興国の方々の生活水準は徐々に上がっていく。そのペースで製品需要は増えていく。しっかりと人間関係を構築していればよく、決して、拙速になってはならないのです。企業価値とは、成長期間と成長率との積です。御社が伝えるべきは、成長期間の突出した長さであるべきであり、そこを理解してもらえれば、欧米の投資家も納得してくれるはずです。なかのアセットは日本で生まれた日本の運用会社です。日本企業らしく、地道にしっかりと成長していきましょう。
このような丁寧な対話をしていくことで、わたしたち、なかのアセットは企業との信頼関係を深めていけると考えているのです。
もちろん、できることをしっかりやらないときには、緊張した対立関係の中で、企業を鼓舞することもあります。エンゲージメントとは、互いに高い基準で生きていることを確認しあうことでもあるからです。
人は、基準を勝手に緩めて、安きに流れてしまう傾向があります。そうなっては高い理想を実現していくことはできません。そうならないように、絶えず、互いに高い基準で生きていることを確認しあう作業が対話の中心であるべきです。
短期の不人気 長期の飛躍
なかのアセットの投資軸は、このような骨太のエンゲージメントのため、短期のファンドの基準価格がやや置き去りになっていることは否めません。目先ではなく、数年先のパフォーマンスを重視したポートフォリオに意図的にしています。
たとえば、需要が将来、急拡大することはわかっている。しかしながら、短期的な市況が悪い。在庫調整も長引いている。このような環境の中で、しっかりと将来を見据えR&Dを増額し、新工場を建設し、新システムを導入し、固定費が大きく上がっているのに、目先の需要は弱いというケース。株としてはダメで、状況のよいときの高値からは大きく下がってしまっているものもあります。たとえば、ロームのような会社です。
この1年2年は業績の数字としては全然ダメだが、4年先、5年先には大きく変貌しているぞという企業もあるのです。目先は不人気銘柄の代表。しかし、数年後のスター候補。こうした企業をあえて選定しているファンドはおそらく少数派でしょう。わたしたち、なかのアセットにそれができて、他のファンドができないとすれば、それはわたしたちの顧客が長期の積み立てをしてくださる長期投資家だからです。わたしたちの骨太のエンゲージメントを理解し、わたしたちの追い求める理想やわたしたちの大事にしている価値を共有してくださる、そのような顧客にわたしたちが支えられているからです。このような顧客の資産の増大戦略を、骨太エンゲージメントというプロセスによって、社会と価値を共有する運用会社でありたいと考えています。実際には、骨太のエンゲージメントは長期のアルファの源泉にもなるものだと信じています。
優れた倫理と優れたビジネスは同じ。この言葉の持つ意味をしっかりとかみしめて、企業との骨太の対話を継続していく所存です。
わたしが所属する、なかのアセットは、積み立て王子こと、中野晴啓(なかのはるひろ)さんがオーナー兼経営者として率いる長期成長株投資に特化した少数精鋭の資産運用会社です。株式運用を高度化し、国民文化に昇華していくことは、なかのアセットの社会的責務のひとつです。わたしたちは短期の株価動向に一喜一憂する態度から一線を画します。そして、確固たる長期展望に基づき、本物の長期投資の在り方を社会に対して提唱していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事は情報提供を目的として、なかのアセットマネジメント株式会社によって作成された資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。投資信託は値動きのある有価証券等に投資しますので基準価額は変動します。その結果、購入時の価額を下回ることもあります。また、投資信託は銘柄ごとに設定された信託報酬等の費用がかかります。各投資信託のリスク、費用については投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
商号:なかのアセットマネジメント株式会社(設定・運用を行います)金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3406号
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