ゲーム会社に入りたかった、クリエイターとして生きたかった。
タイトルのままだけど、ゲーム会社に行きたかった。
子供の頃からゲームが好きで攻略本を見てはキャラクターの模写をしたり、オリジナルのキャラクターをそのゲームの世界観に合わせて描いていたりした。
よくある話だと思う、ゲームが好きでゲームクリエイターを目指すとかは。
ゲームをクリアしてスタッフクレジットが流れるたび、自分もこの中に名前を入れたいと思ったものである。結局叶わなかったが。
クリエイターを目指していたのもあり、絵を描くのが好きで美大に行った。貧乏な家庭だったので予備校は行けず、学費も全部奨学金だった。
それでも若い頃は無謀といえばいいのか、現実が見えていないこともあり自分はクリエイターになれると信じこんでいた。
大学時代はほぼ遊ばず、新聞配達や違うバイトも掛け持ちしお金を工面した。作品も作っていたが、同期と比べて下手くそではあった。たぶん美大生の中でもかなりドベだと思う。それでもクリエイターに自分はなれると信じていたので、ずっと行動していた。
行動出来なくなったのは大学4年の就職活動の後だ。
まぁ、自分でも作品が上手い人と比べて劣っている自覚はあった。(それでも当時は自分の作品に自信があったし、ポテンシャルを見てくれるかもしれないと思っていた。今見てみるとけっこう酷い。)
ポートフォリオを作成し、学校に求人が来ていたものやネットで探して説明会に行ったところに片っ端から送った。
ほとんど書類で落ちたが、面接まで呼ばれたところもあった。
面接では人事の方以外にも、デザイナーも同席しているところが多かった。…しかしある1つの面接がきっかけでゲーム業界を諦め、大学卒業時は就職先が決まらなかった。
きっかけとなった面接は圧迫面接だった。別に他の企業でもあったのだが、そこの面接だけは忘れられそうにない。
デザイナーの面接官の会話で、
「この程度の作品で応募するなんてこの業界やうちの会社馬鹿にしてるの?」
「正直向いていないと思うな~、デザイナー職じゃなくて進行管理(だったかな?)やデバックの職とかは考えてないの?」
他にも言われたが、一番印象に残っていたのはこの言葉だった。その会社は一次面接で不採用のメールが届いた。(別にそのデザイナーさんも悪気があって言ったわけではないのかもしれない、ただ当時の自分には耐えられなかった。)
自分はクリエイターになれるはず、そう思い込んでいた根拠のない自信はその後からなくなった。
他の会社の面接に行っても、なぜかこの会社での面接を思いだし涙が止まらなくなることもあった。
悔しいと思う気持ちや惨めさが強かったんだと思う。
結局在学中にゲーム会社から採用の連絡が来ることはなく、卒業して無職になった。
卒業して半年ぐらいはフリーターをやっていた、夢も叶わず脱け殻のような日々ではあった。
しかし、奨学金の返済は待ってくれない。卒業した年の10月からは返済が始まる。
お金を稼がなくてはいけない、そう思い夢をその時は封印。なにも考えず就活をしてIT企業に就職した。人手不足な業界なので、プログラミングがまるっきり出来ず、数学で0点取ったことがある自分でも就職できた。
そこの会社に居たときもゲーム会社の夢を諦められなかった。
お金を貯めつつ、初めての会社は給料が安かったのでそこより稼ぐことが出来る派遣に転職した。1年ぐらいで最初の会社は辞めたな。
派遣で仕事をしつつ、最初の時にしていなかった就職の戦略を練った。
そもそも自分は油彩画しか大学で勉強しておらず、3DCGなどが全く使えない状態ではあった。だから貯めたお金でちゃんと勉強をしようと考え、デジタルハリウッドに通った。(デジタルハリウッドを選んだのは社会人からCGの会社に行ったトハさんのブログの影響。)社会人向けの1年コースで学費は90万位、奨学金の返済もある自分にはかなり大きい金額ではあった。
それでもゲーム会社に行きたい思いでそこに通った。
フリーターをしつつ1年通い卒業、ポートフォリオも作り直し就職活動をした。結果は惨敗。それでも諦めきれず専門学校ではないけど、CGを学べるアルケミースクールという場所があったので貯金が無くなるまでそこに通い就職活動することにした。
そこでも1年位通っていたかな。ちゃんとしたカリキュラムもあったのでデジハリに居た時より実力は着いたと思う。自信もついて就職活動をしたが、今度は面接にすら呼ばれなかった。講師にはまだ半年~1年はかかるかも知れないねと言われた。そこまで頑張りたかったがなにぶんお金が尽きてしまった。
またお金を貯めつつ勉強して…色々と考えていたが、頑張ってきたことに結果が何一つ出ないので学習性無力感?燃え尽き症候群?の様な形になってしまった。
そのときは世界が灰色に見えて、何を食べても味が分からなかった。
それでも働かないわけにはいかないので、またぜんぜん関係のない職に就いた。
もう自分はアラサーだ。大学を卒業してからだいぶ立ってしまった。あれだけなりたいと考えていたゲームクリエイターにはスタートにすら立てていない。
ゲーム業界は未経験で30歳を越えてしまうと、ほとんど採用されなくなるらしい。一部例外もあるらしいがほとんどそうなんじゃないだろうか。
最近は夢が叶わなかったとしてもいいじゃないか、自分には才能がなかったんだ、下手くそだから仕方ないんだ、普通に仕事をしつつゲームをやるだけの人生でもいいじゃないかという声が自分から出てくる。
才能がないという言葉は言い訳だ!そう自分に言い聞かせ頑張ってきたから、ずっと考えてこなかったがここまでやって駄目なのは根本的に何かが向いていない可能性もあるのかもしれない。
でもこのまま普通に仕事をして生きていくのに興味がわかない。
ずっとゲーム業界に行きたいと考えていたので、最近はそれが叶わないのが自分でも気付き、心が死んでいくような気持ちになる。
ものすごく涙が出るわけではないが、あぁ…夢が叶わなかったなと思い、ずっと沈んでいた心がさらにボロボロになっていくような感覚だ。
○にたい。と思うのは若い頃からあったけど、最近は消えたいと思う事が増えた。
夢が叶わなかったけれど、別のことで花が開き幸せですといった本を読んだり、ブログを読んでいたが何の心の慰めにもならない。
自分はゲーム業界に行きたかったな。でも無理だったな。大好きな、ゲームを作ることに携われる人物になりたかったな。
そんなゲーム会社に入りたかった話。
完
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