ネットワークビジネスに勧誘された思い出 ~サシでご飯編~
新宿で男女二人組に声を掛けられ、女の方(A美)と連絡先を交換したナカニシ。
それから何日か経ったある日の事だった。
◆ご飯のお誘い
二人組のA美の方から連絡が来てご飯に誘われたのだった。
私は何の疑いもなく、その誘いに応じた。
私のおすすめの定食屋に行くことにして、当日を迎えた。
A美は私が教えたお店に行ったそうだ。
とてもいいお店だったので、是非ともナカニシからもっといいお店を聞きたいと言っていた。
A美と私はご飯を食べながらおしゃべりを楽しんだ。
テンションの高い人だったが、話が面白く、楽しい人だった。
◆A美はどんな人?
A美は、旅の演芸一座の役者をやっていたことがあり、
全国津々浦々の演芸場をめぐり、チャンバラ時代劇などを演じていたという。
激務を絵にかいたような仕事で、仲間たちと雑魚寝したり、
毎日日替わりの劇を演じたときは台本を覚えるのに苦労したが、楽しかったと彼女は語った。
私はその話に聞き入り、この人は若いのになんて立派なんだろうと感心していた。
◆その当時の私といえば…
「ナカニシさん、どんな仕事してるんですか?」とA美は私に聞いた。
当時私は結構なブラック企業に勤めており、心身は疲弊し、なかなかに貧乏だった。
実家とも仲がそれほど良くなく、貯金もゼロ。
相当ヤバい状況だった。
それを私は包み隠さず話した。
新しい挑戦をしようにも先立つものもないし、そもそも私は誰かに雇われないとやってけないくらいだらしない人間だ。
しかし、いま私を雇っている企業はブラックでどうしようもない。
そんな話をした。
A美はそうかそうか、お互い頑張ろうと励ましてくれた。
必要以上にアレコレ聞いてくることもなかった。
なんていい人なんだろう!
ほかにも色んな話をしたし、大いに盛り上がった。
定食屋のお店の人とも仲良くなっておしゃべりして、ほっこり気分でその日は終わった。
そして、初めて声をかけられたときにA美と一緒にいたB太の話は、その日は全然出てこなかったと記憶している。
A美の彼氏なのか友達なのかも定かではないのだった…。
つづく。
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