『山本直純と小澤征爾』〜天&才〜
以前、ダヴィンチWEBでこちらの本をレビューしました。
萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命 (幻冬舎新書)
少女マンガの革命『萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命』マンガ よりもドラマチックな出会いと別れ
少女漫画に革命を起こした、二人の偉大な漫画家の奇蹟を綴った本です。
手塚治虫や赤塚不二夫が居住していた「トキワ荘」のように、少女漫画家たちにも「大泉サロン」という住まいがありました。萩尾望都先生と竹宮惠子先生が暮らした大泉サロンには、山田ミネコ先生、ささやななえこ先生、伊東愛子先生ら、その後活躍する漫画家たちが多数出入りしていたそうです。
大泉サロンが誕生する経緯や、そこでの暮らし、また、手塚治虫らビッグネームたちとの交流など、1970年代の漫画家たちのあれやこれやが書かれています。
私は、それぞれ代表作を読んだくらいで、すごく詳しいわけではないのですが、出会っては別れていく人々の様子は、ドラマティックで何度読んでもグッときます。
Amazonのレビューの中に「これは朝ドラになる」と言ってる人がいて、たしかに題材になりそうだなと思いました。
時代を作る天才同士が、ほんの一瞬、同じ場所に集結して、運命を交差させていくというシチュエーションって、ときめきますよね。
パリの……なんか、芸術家が集まったモンマルトルみたいな……やつとかです。
もっと身近な例(?)でいうと、『ONE PIECE』でゴールドロジャーの処刑場に、その後の七武海の面々他、主要メンバーが集っていたというエピソードは、燃えますよね。
最近読んだ『山本直純と小澤征爾』も熱い一冊でした。
今月亡くなられた指揮者の小澤征爾さんと、その盟友である山本直純さんの人生を追った一冊です。
この本を読むと、日本のクラシック史が、二人の天才の熱い友情によって作られてきたのだということがわかります。
「お前は世界に出て、日本人によるクラシックを成し遂げろ。俺は日本に残って、お前が帰って来た時に指揮できるよう、クラシックの土壌を整える」
山本直純さんが、ヨーロッパに旅立つ小澤征爾さんに送った言葉です。
熱くないですか? どんな少年漫画。
私はクラシック音楽のことはまったくわかりませんが、なんとなく第九が聴きたくなりました。
ゴールドロジャーのくだりに共感した人は、ぜひ読んでみてほしいです。きっと燃えると思います。