バイオリンを楽しむヒント〜指を弦上に残す気遣い
ヴァイオリンではほとんどの曲に移弦があります。
移弦以外の場合でも、指で弦を押さえた状態(弦を締めている)状態から開放に移る時によくある症状と原因をお話しします。
弓で弦を擦る、指で弦をはじく、どちらの場合も擦り終わった瞬間、弾き終わった瞬間(自分の動作が終わった瞬間)、弦はどうなっているでしょうか?
弦の振動は残ります。
残った振動は、段々と減衰していきます。
もしも、「いいえ、動作と同時に弦の振動が止まっています」と言う場合、動作が間違っています。
弦の振動を無理やり止める力が働いているか、そもそもの弦の振動が小さすぎるはずです。
前者の場合、上から押さえつける弓のブレーキ(多くの場合右手人差し指起因)で止まっているとそうなります。
弦に振動がない状態で、指を上下させただけでも、指を弦から離した時に大きな音がする場合は、指側を弦に強く押し当てすぎでしょう。
指先で弦の振動を感じられない状態です。
ここまでの説明で、弦から指を離すときの余計な音の原因はわかりました。
次に、その予防手段を考えましょう。
指で弦を締めすぎている場合は、それを緩めに調節するしかありません。
より大きな問題は、弦から指を離すタイミングです。
初歩のお稽古では、「指で押さえた弦を弓で弾く」と頭や身体にインプットしがちです。
ところが、フォームの安定、和音の残響といったステップに入ると、「その時に鳴らしていない弦も押さえる」ということが必要になります。
それに近いことです。
移弦では、直前に鳴らした弦の振動が減衰し、収まって(次に鳴らす弦の音が発音できてから)直前に鳴らした弦から指を離すことが大切です。
右手の移弦が先で、左手が前の弦から解放されるのは少し後、です。
動画では、A線からE線へのスラー、G線からD線へのスラーを例として挙げてみました。
やはり、太いG線の❌の場合はハッキリと音が聞こえてくるのが伝わるでしょうか?
お習字で、余計なところにポトンと墨が落ちてしまうと残念ですよね。
これ、小さなことに見えますが同じことです(汗)
忙しい移弦であっても、クリアに仕上げるために、気遣いを大切にしていきたいものです。