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「Jeep島で迎えた20歳の誕生日から5年! 的石紗季」

場所というのは
思いと結びついて、
意味をもつ。
「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。」角田光代

5年前、ミクロネシア連邦の無人島ジープ島で20歳の誕生日を迎えた隊員Saki

今は社会人2年目。2015年10月のジープ島の旅をvoicyラジオで語ってもらった。

かつて「地球探検隊」の旅で学生貸切となったのは、2005年3月のアラスカ・オーロラの旅だけだった。実に10年ぶりの学生貸切の旅となった。アラスカ・オーロラの旅は、当時学生アルバイトをしていたスタッフみなが同行して集客したのに対して、ジープ島の旅は学生メアリーがリーダーとなって全国から学生を集めた。学生に交じって一人引率の先生のように俺は同行した。後にも先にも、1人の学生が参加者を集めて満席にしたのは、この旅だけだ。

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学生リーダー、メアリーのコメントを綴ったnoteは、下記をクリック!

「誕生日をジープ島で過ごしたい!」と参加したのが当時19歳だったSaki。
「泳げなかった私が、野生のイルカと一緒に遊べたのが一番の思い出」という。イルカと泳ぐ以外にも、砂浜で寝る。島にかかる虹を見る。満天の星を見る。貝殻でフォトフレームをつくる。すべての夢を実現させた。

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そんなSakiの言葉で印象的だったのが、
「誰かを信頼するのに過ごした時間は関係ない」
見ず知らずの人が集まって、すぐに打ち解けたのだ。旅仲間のミクが作成した動画を見ると、そのSakiの思いがわかると思う。

5年経った今でも旅で知り合った仲間たちと頻繁に会っているという。

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ジープ島での誕生日サプライズ、旅仲間のこと、1年の留学・世界を旅したこと、世界中の友達から学んだこと、家族のこと、Story.jp (ストーリーズ)で入選したこと、次なる夢・・・リアルを語ってくれた。ありがとう、Saki。

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年末年始に放送したSakiとのvoicyラジオ対談、フォローして聴いてほしい。

隊員SakiのStory.jp (ストーリーズ)入選作品

そして、今、執筆中で3日後17日(日)に出版予定の「これが世界の見方を変える旅だ!ミクロネシアの無人島JEEP ISLAND」のために、5年経った今だから語れることを綴ってもらった。紙面の都合上、kindle版には一部しか載せられなかったからnoteには全文掲載する。

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わたしが地球探検隊への参加を決めて、隊長、そして13人の大学生メンバーと出会ったのは5年前。当時わたしがまだ19歳で、Jeepでちょうど20歳の誕生日を迎えるという節目でした。

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Jeepは本当に小さな島でした。直径が34メートルしかない。一周歩くのなんてあっという間で、全員どこにいるかがすぐにわかってしまう。周囲には遠くに他の小さな島が点々と見えるだけなので、ともすれば大きすぎる海と空の存在に足がすくんでしまいそうになりました。Jeepに吹く風は穏やかで暖かく、わたしたちは気づけば朝から晩まで水着で過ごしていました。突然のスコールに子どものようにはしゃいでは、雨上がりの海にかかる大きな虹に心を震わせて。

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夜も小屋には戻らず、やわらかな砂の上で繰り返す波の音を聴きながら寝ました。時計も電波もないから、時間は太陽と月の位置でなんとなく感じるだけ。「ここにはなんにもない。でも、なんでもある。」何度もわたしたちはそう言いながら、美しいものに触れ、いろんな感覚や感情をシェアしました。

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Jeepでの最高の経験のひとつは、イルカと泳いだことでした。実はわたしは泳げなくて、底の見えない真っ暗な海が恐ろしかったけれど、隊長やみんなに潜り方を教えてもらって、イルカの群れがいるなかで勇気を出して潜水できました。そしたら手が触れられるくらいの距離にイルカがやってきて、「遊ぼう」と言ってくれてるみたいで愛おしくて、とてもうれしかった。いきものが大好きだから、かけがえのない経験になりました。

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そんなJeepで過ごせただけで大満足の誕生日だったなのに、それに加えて、みんなからのお祝いのおかげで忘れられない日になりました。誰にも誕生日であることを言ってなかったんです。多大なお金と時間をかけて、自分のためにこんなに遠くまできたみんなに、わたしの誕生日を押し付けたくなかったから。みんながそれぞれ主役であるべきで、わたしだけが注目されてしまっては良くないと思っていました。でも実は、みんな誕生日のことを知っていて、わたしに内緒でお祝いを準備してくれていたんです。サプライズで、一人ひとりが日本からプレゼントを持ってきてくれていました。わたしと会ったこともないのに!嬉しくて涙が出ました。わたしが喜ぶと、みんなも心から喜んでくれて。見返りを求めず、純粋に誰かに幸せを与えられる彼らを、心から尊敬しました。0時になった瞬間は、おめでとうって胴上げしてもらいました。人生初胴上げ、降るような星空の下で。ノリで逆立ちもしました。笑  いまでも、思い返せばたちまち笑顔になってしまう、宝物のような時間です。これから先の人生、そんな思い出はいくつできるだろう? 幾つになっても、思い出も、みんなのことも、ずっと大切にします。

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地球探検隊の旅から学ばせてもらったことが2つあります。

1つめ。あのころ、わたしは旅に行くといつも自分の個性の無さに悩んでいました。旅のメンバーの中で、自分はどういう役回りをしたらいいのか? から始まり、自分ってどう見られてるんだろう、「いなくてもいい」って思われてないかなって、すごくネガティヴ。自分ならではの個性や人に負けないところを一生懸命探して、”わたしがここにいてもいい理由” を必死に作っていました。劣等感、たらたら。せっかく海外に行っても、異文化ではなくメンバーの中の自分に悩んでばかりでした。でも、地球探検隊の旅は違いました。小さな島で、みんなの行動はぜんぶ丸見えだけれど、誰がなにをしてても、誰もなにも言わない。みんな心の動くままに過ごしてる。ルールもない。忖度もない。無理して合わせない。比較も否定もない。それは無関心ではなく、ただお互いを受け入れている。そんな中だったから、自分の役回りも、人からどう見られているかも、自然と気にしなくて済むようになりました。笑いたい時に笑って、泣きたい時に泣いて、泳ぎたい時、踊りたい時、寝たい時、ぜんぶ自由に、わたしの心が動くままに行動できました。

これは、わたしのカチカチに固めた殻を破ることができたかけがえのない経験だったと、いま振り返って実感します。それができたのは、なにより隊長がまず「心の動くままに」朝からビールを飲み、ハンモックでお昼寝して、椰子の木を仰ぎ、筋トレを始めては大声でワハハと笑っていたから。そして、それにつられて柔らかに自分を解放していったみんながいたから。

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2つめ。人を信頼するのに必要なのは、一緒に過ごした時間の長さじゃないって初めて知りました。これまで、信頼度と付き合いの長さは比例すると思っていて。だから現地集合で出会ったみんなとは、正直、仲良くなることすら期待していなかった。でもJeep2日目の深夜、わたしは親友や恋人にすら言えていなかった悩みを、会って2日のみんなに話していました。気づけばみんなのことを心から信頼していて、一緒にいることに安心していたんです。みんなの言動、行動が、本当にありのままで、素直で、嘘がなくて。そんなみんなを見ていたら、わたしも心まで丸裸になっていました。信頼に必要なのは時間ではないと分かってから、わたしの人生はいっそう時間から開放されて、少し豊かになりました。

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みんなとは、あれから5年たった今でも、頻繁に連絡をとっています。東京にいる人はよく会うし、遠くに住んでいる人も、気軽に連絡を取れる仲です。みんなもう大学生ではなくて、就職したり、結婚したり、子どもを授かったり。それぞれ違う環境に身をおいているけれど、でも心に同じ思い出を共有しているから、「これからも大丈夫」というおおらかな気持ちになります。

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大学に入ってから、インド、フィリピン、と旅に出て、3回目の旅がJeep。そこでぐっと自分の殻を破れたのがきっかけで、その半年後にはオーストラリアで1年間の海外生活をしました。その後、世界をぐるりと一周し、そして今も、旅をしています。
Saki

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Sakiありがとう。
また5年後、つまりSakiが30歳になった時、一緒に10年ぶりにジープ島で誕生日を祝えたらいいね。次回、俺は6歳になった息子と美香と一緒にジープ島に行くつもりだ。その時はSakiに家族が増えているかもしれないね。また、一緒に旅しよう!

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 出会いというのは、いつだってそれほど劇的じゃない。...
 それは平凡な日常の中に紛れ込んでいる。
 その出会いが輝きを持つのは、ずっと後になってからだ。
  「夜明けの街で」 東野圭吾


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