好きな服で自信を持って
好きな洋服を着て、メイクをして、街に出る。なんて事のない日常。でもその日常が私には恐ろしい。
母の言いなり
生まれた時から可愛い服を着せられて。ロリータファッションと言われるもの。それを16歳ぐらいまで、文句を言わずにずっと続けた。
着れば母が喜ぶ。
私が反抗すれば母は悲しんで口を聞かなくなる。
だから良い子でいるために続けるしかなかった。
それがもういつから嫌だったのか分からない。
(ジェンダーについては今度書くけど)もしかしたら生まれた時から私は女性というものに少し疑問を感じていたのかもしれないし、あるいは後天的にそうなってしまったのかもしれない。
私には似合わないし、可愛くもない。もっと上手く着こなしている人を見て、劣等感に苛まれた。
母は私がそういう服を着てくれれば良かっただけなので、思春期になってもメイクも教えてくれないし、本当に悲惨な感じで。ロリータ服というのは洋服自体の個性がかなり強いので、メイクも髪の毛もある程度は整えないと負けてしまう。スッピンでも信じられないほどの美貌を持ち合わせてるとか...まぁそんなことはないわけで。今だったらもっと上手くできるのにと思うし、私の中ではかなり黒歴史。
自分の着たい服がわからない
その呪縛から解放されて。
でも残ったのは、無。
自分の着たい洋服がわからない。
普通に洋服を買うって何?
友達同士で洋服を買いに行く子がいるのに、私はやったことがない。
多分かっこいい服が着たかった。
でもめちゃくちゃ抽象的。
それでどうしたかというと、ゴシックファッションを着るようになった。
ある時、ポンチョコートを買ってもらった。赤で襟に黒いファーが付いていて、結構、かなりインパクトのあるやつ。欲しかったはずなんだけど。買ってから母とカフェに入って、そこで私は泣いてしまった。感情も、空気も鮮明に覚えている。
とにかくゴシック&ロリータファッションというものは値段が高い(ロリータ服で検索すると安いものもあるけど、驚愕の値段のものもある)
幼少期からそういう服の値段を把握していて、母が店員と話している間によくタグを見ていた。
汚したら終わり&大事に扱わないといけない。
子供にとってこれがどれだけ恐ろしいか...
気にしないタイプもいると思うけど、汚すと静かに怒るので私はかなり気を遣った。
(大丈夫と言いながら怒っている人が一番怖い…)
そのコートも高かった。かなり悩んで、でも店員と母に押されて買ってしまった。
いつもいつもその値段が重かった。気にしなくていいことをずっと気にしていたのは何故か。私がそんな高価なものを着るのには値しないと感じていたから。幼少期から自己価値というものがかなり低い。
何か違う。
こういうファッションを求めていたわけじゃない。そう感じてしまう私がいることを誰も気づかない。
着せたいから、服が可愛いから。
もっと普通のファッションがしたい。
私にお似合いなのはファストファッションぐらいで、そういう服を幼少期から普通に着ていれば、こんな謎の葛藤を抱くこともなかったのに。
まぁそれだけでもないけど。
今
26歳にして、自分で服を選んで、買って、やっとやりたかったファッションが分かった。
恥ずかしながら、自分だけで服を選んで買うという選択肢がここまでなかった。
母に同意を得ないと不安で、というか何もわからない(と思い込んでいた)
その...ユニクロやGUがあんなに素晴らしいものだったと...26年間気付かず過ごして(苦笑
種類が豊富で安い。
試着しても放っておいてくれるし(重要)
洋服が軽い(ゴスロリファッションは重装備すぎて死ぬほど重いし夏とか厳しい)
"シンプルイズザベスト"
この言葉に尽きる。
恐ろしいの意味
今までで一番好きな洋服を着ているというのに、外に出ると人が怖くてたまらない。
誰も見ていないことは頭の中では分かっていても、この洋服を選んでいる自分に自信がなくて。
メンズライクなファッションが好きなんだけど、私にこんな洋服似合わないよなと思いながら心が若干死んでいる。じゃあ着なければいいのにという意見はごもっともですが。
やっと見つけた私のスタイル、本当に好きな洋服たち。クローゼットで洋服を眺めてうっとりするんじゃなくて、着ている自分を好きになりたい。いつになるかわからないけど、そうなりたいから。
シンプルな服を着ていてロリータファッションに憧れる人もいれば、逆もいる。結局は自分が身に付けるものだから、自分が好きなものを着るのが一番良いというそれだけのこと。
可愛い服を着れて幸せでしょ?という言葉に悩まされてきたし、母親はそういうものだ(可愛い服を子供に着せる)と色んな人に言われた。
でも流石に度が過ぎてないかな…?
うちの親みたいなタイプはそうそういないと思うけど、着せ替え人形は程々に。
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