CBDオイルが買えなくなります
CBDオイルというのは、大麻から抽出した成分で、てんかん、癌、慢性疼痛、精神疾患など、さまざまな症状に効果があります。僕も現場で毎日のように使っています。僕の臨床にとって、なくてはならない武器のひとつです。
しかし、大麻取締法の改正に伴い、今年の10月1日から、CBDオイルが規制されるようになります。
どのような規制かというと、、、、
そもそもCBDオイルには、ごく微量に、THCという酩酊成分が含まれています。でもそれは、0.02%とごく微量なので、酩酊を感じることはありません。大麻をドラッグとしてラリパッパする人がいますが、CBDオイルをそんなふうに楽しむことはできません。
しかし、厚労省は2024年5月30日、CBD製品に残留するTHCのしきい値として、0.0001%(1ppm)を提案しました。すでに、現行の0.02%でも「ごく微量」ですが、それよりも1/200も減らすように指示しているわけです。0.0001%というのは、実質、ゼロです。
これは無茶苦茶です。
現在、国内で流通するCBD製品の大半が、このしきい値に抵触します。つまり、10月1日以降、各メーカーはこれらの商品を販売することはできません。つまり、利用者の側からすると、これまで使っているCBDオイルが買えなくなります。
これは、大問題です。
さきほども言ったように、CBDオイルに含まれているTHCは0.02%とごく微量で、人を酩酊させるような作用はありません。しかし、そのようにごく微量であっても、他の成分と相乗的に働くことで、CBD(カンナビジオール)の作用を高める効果があります。これをアントラージュ効果と言います。具体的には、CBC、CBG、CBN、THCa、THCvなど複数の成分が含まれてで、その調和により効果が高まるわけです。
だから、THCの残留濃度が今よりさらに減って実質ゼロになることで、CBDオイルの薬効が相当低下することが予想されます。
今現在、日本には数多くの人が、CBDオイルのおかげで健康を保っています。たとえば、他のどんな抗てんかん薬も効かないけれど、CBDオイルを使うことで何とか発作を抑えられているという人。線維筋痛症で日常生活をまともに送ることもできなかったところCBDオイルのおかげで生活できている人。長らく精神科的投薬を受けてきたもののCBDオイルの併用で減薬に成功し小康を保っている人。
そんな人たちにとって、CBDオイルの成分が変わり薬効が低下することは、死活問題にもなりかねません。
そもそも、何のためにこんなルール変更が行われるのか。
結論からいうと、外国のビッグファーマのためです。
恐らくあと1、2年以内に、大麻製剤『エピディオレックス』が日本で承認されます。予言しておきますが、マスコミはこれを大々的、かつ好意的に報道します。「難治性てんかんの患者さんに朗報です。大麻由来の有効成分カンナビジオールを使った新薬の登場です。これにより従来の薬では治らなかったてんかんが治ります」
状況次第で簡単に方針転換するのがマスコミです。これまで「大麻」といえば、条件反射的に「人間を堕落させる恐ろしい植物」とさんざん不安を煽ってきたところ、スポンサーである製薬会社が「大麻製剤」を売り出したとなれば、尻尾を振ってその宣伝に協力する。メディアってそういうものです。
製薬会社にとって、メディアを手玉にとるのは簡単です。しかし、大麻製剤『エピディオレックス』を販売するにあたって、もうひとつ、地ならしをしておく必要がある。それは、既存のCBDオイル市場の存在です。
せっかく開発や治験などに莫大な費用をかけて製剤化・商品化したにもかかわらず、それと同じ成分の商品がネットで簡単に買える状況では、製薬会社としては困るんです。
「何が何でも、是が非でも、現行のCBD製品の販売を取り締まれ」
エピディオレックスが売れるためには、絶対に必要な下準備です。ビッグファーマから厚労省に対して、そういう外圧があったはずです。だいたい、日本政府が自主的に「大麻取締法を改正しよう」なんて思うはずがない。地方自治法改正もそうだけど、最近おこなわれる法律改正の背後には、ほぼ全部、外国からの要請があります。
そして、このような外国からの圧力に対して、我が国がNOと言えないことは、コロナ禍で散々見てきたとおりです。あれだけの健康被害が出ているコロナワクチンを厚労省がいまだに中止できないのと構造的には同じです。この国は、もはや国民の方向ではなく、外資の顔色を見て政策決定しています。
今後どういうことが起こるのか?
恐らく世間一般の人は、まだCBDオイルの成分規制のことを知りません。しかし9月頃に、「来月10月から現行のTHCの濃度の商品の販売はできません」という告知が大手メディアで流れて、一部の人が騒ぎ始める。CBDユーザーが「10月から成分が変わって効果が弱くなっちゃうんだって!」となれば、駆け込み需要が急増し、多くのCBD関連商品の在庫が一掃されるだろう。今のうちに買いに走り、メルカリなどで売りさばいて小銭稼ぎをする人たちも出てくるだろう。
10月以降、THCの新たな閾値に対応した商品を作れないメーカーは、CBDオイル市場から撤退するだろう。
つまり、界隈では、ちょっとした地殻変動が起こることが予想されます。
僕は臨床CBDオイル研究会に所属していて、そこのボードメンバーを務めさせてもらっています。
臨床CBDオイル研究会としては、今回の大麻取締法改正とそれに伴うTHCの規制は衝撃です。死刑宣告とまでは言わないけれども、大打撃に違いありません。THCの規制によってCBDオイルの効能が低下することは必至で、効能の低下したCBDオイルでは、効果を感じなくなる患者も出てくるだろう。
先日、代表の飯塚浩先生と会食する機会があって、そのときに先生が言っていました。
「THCをあそこまで徹底的に抜くためには、THCだけを単独できれいに抜くことはできません。どうしても、他の成分、CBCやCBGも犠牲になる。だから、当会としては、THCを厚労省の指定する基準以下まで抜いたあと、他の成分を添加することにしました。その試作品がこれです」
ということで、いくつか試作品をいただいた。
そう、臨床CBDオイル研究会としては、THCの新たな閾値(ほぼゼロ)に対応し、かつ、その対応により同時に減少する他の成分を補った商品を、販売することになった。これが現行のCBD製品と同等の効果があるのか、それは分からない。
ただ、とにかく、当会としては、現状、CBDオイルで穏やかな日常を保っている人の健康が保たれるよう、対策をとっていくしかありません。
CBDオイルについては、それが起こす奇跡を臨床で複数目撃したし、過去記事でけっこう書いてきました。
今後、効能の低下したCBDオイルでは、そんな劇的回復を目にすることはもうないかと思うと、とても残念です。
https://note.com/nakamuraclinic/n/n883636d333ae
https://note.com/nakamuraclinic/n/n364eaf510a0c
https://note.com/nakamuraclinic/n/nee8f559f187d
https://note.com/nakamuraclinic/n/n8dcf5ce748c4
以下、告知です。
来月9月14日、東京で僕の本の出版記念講演会を行います。
興味のある方はお越しください。
もうひとつ。
日が迫っていますが、今月8月25日、神戸で有機ゲルマニウム研究会セミナーを行います。
対象は、医師、歯科医師、獣医師となっております。
興味のある方はご参加ください。