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【2】「ママ母手帳」(上〜中巻収録)

■収録ナビ

この記事の内容はすべて電子書籍として刊行されています。電子書籍で読んで頂く方が安価です。
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第7〜8話:『ママ母手帳』(上)巻に収録されています。


第9〜13話:『ママ母手帳』(中)巻に収録されています。


■シリーズ作について

登場人物の感情に焦点をあてた長編エッセイ『ママ母手帳』(本作)と、出来事を1話ずつ紹介していくオムニバス『お母さん二人いてもいいかな!?』は、テーマ・登場人物・元の出来事は同じですが、それぞれ違う場面を描いている別のマンガです。

■更 新 履 歴

・第7話(12P)2015/6/14
・第8話(16P)2015/7/14|上巻
・第9話(24P)2015/8/19|中巻
・第10話(14P)2015/9/14
・第11話(16P)2015/11/11
・第12話(12P)2015/11/19
・第13話(10P)2015/12/13

・オマケ予告(3P)2015/8/12(掲載終了・単行本収録なし)
・オマケ漫画(9P)2015/8/13(掲載終了・単行本収録なし)

■かんたんなご案内

*物語は続いていますが、この記事の更新は満了しました。
*更新ルールやお値段の仕組みなどは「総合案内」をご参照ください。




= 第7話 =


もう

正直なんて言ったらいいか

よくわかんなくって


有効な励まし方の本とか

あればいいのに

取扱説明書とか

あればいいのに


私はこの人

どうしたらいいんだろう

泣いてるのかも

泣いてないのかも

わかんない


聞けない

顔が見えない

覗き込みにも行けない


私たちは

なんだ?

顔見知り?

他人?

知人?


家に上がってよくて

込み入ったことを知っていて

でも

顔を覗き込んだらまずい

顔見知り

お金で黙ったなんて思われたくなかったな

べつに

ただ

なんか ちょっと

気持ちが 変わっただけで


私と

サツキさんは

さすが

人口30万人を抱える新宿の
人口1200万人を抱える東京の
道端で知り合っただけのことはあって






敷地内で鉢合わせるぐらい
簡単なんだな

お金で黙ったんじゃ

ないから

お金もらえるから

来たわけじゃないから



だか…



だから!?って!?

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや————…






= 第8話 =



べつに

変な意味じゃなくて

サツキさんと 仲良くなりたいなあ。

気がかりだ。

多分 私が居るから

気を遣って

露骨に眠そうにはしないんだけど

かわいそうだな





簡単なことじゃ

ないだろうけどさあ


本当は どんな人だろう

ちゃんと笑ってるところなんか
見たことないから
どうしようもない笑い声なんか
聞いたことないから

全部 妄想

こんな感じかな










子供いて

何もできないって言ってたな


今頃どうしてるだろう

寝てるかな

寝られてるなら

いいんだけど

イヤイヤ…

べつにそんなにすごく来てないし…


彼女のポスト狙って通ってるとかじゃないし…


私ちゃんと彼女居るし…

彼女とは別れる気まったくないし…




サツキさん

出オチがキツいんだよ

印象の強すぎるんだよ


出会って一言目に

「ブスばっか触んじゃねー!」って

そりゃ覚えるってもんだよ


フライドチキン食べられなくて

いきなり泣き出すって

そりゃ気がかりってもんだよ






どうしよう…


どうしよう…





どう…









うつらうつらして

はっと目を覚ます


うつらうつらして

はっと目を覚ます


うつらうつらして
はっと目を覚ます


サツキさんは

これを ずーっと






= 第9話 =



サツキさんの

息子くんは





偶然なのか必然なのかわからないけど

もしも収納しておけば常に静かなら

これは もう

世紀の大発見だった






遡ること

ちょっと前…—————









………………








黙ったぁ…!




いうわけで冒頭の時間に戻ります

二股でいいなんて

本当にそんな都合のいい女が

この世に居るか!




もし私に彼女がいなかったら

付き合った

思う


絶対


だって


こんな綺麗な人

身分が違いすぎて

普通に頼み込んだって一生かけても付き合えない

なんてことは わかってる

千載一遇ってやつでしょ


とんでもないチャンスなのわかってるけど

でも 大事な営業の片手間に

バイトだってあるそのまた片手間に

彼女もいるそのまたまた更に片手間に

子持ちの責任なんか持ちきれないし


だから

惜しいけど


私は中継ぎとして

今だけ頑張って


サツキさんの未来の彼女に

あとはお任せします



遮らなきゃ

遮らなきゃ

遮らなきゃ

遮らなきゃ



一つの空気が途切れたのが

肌でわかった


人呼んで「いい感じ」

みたいな空気が





彼女いるから
終わって
いいんだけど




終わった

彼女できたのか

本気出せばすぐじゃん




まあ

そりゃそうか


子持ちだろうとなんだろうと

サツキさんみたいな人と付き合いたい人は

捨てるほどいるよね




新しい彼女とお幸せに

もうこれで会うこともないだろうな


さよなら サツキさん



…——————なんて


この時の私は

まだ

思ってた






= 第10話 =






……………………時間?

時間…?




結局私も

大人の事情で子供の安寧を左右するような

クズと同格だったってことか…





彼女は

こういうところで人を咎めない

致し方ない機微として処理してくれる


私は

きしえさんに疚しいことは何もないから

サツキさんを見掛けた帰り道に

サツキさんと私の成り行きを話した


酔っ払いを拾ったこと

その日のうちに自宅に上がり込んだこと


きしえさんは

「ドラマみたいじゃーん!」なんて

はしゃいでた



————…ドラマと違うのは

運命的に出会った私とサツキさんは

結局

くっつかないところ




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