オンライン授業、まずはやってみよう!
まずはこちらの記事をご覧ください。長崎市立南小中学校が既にオンライン授業を開始しています。
5月11日から長崎県内の学校が段階的に再開します。本県の感染者は本日時点で3週間もの間確認されていません。感染の波が収まったと言えますが、今後第2第3の波が来て、再度休校措置となるリスクを抱えています。
これまでも保護者また生徒のみなさんから、「休校措置はできないのか?」との声を頂くこともありました。子どもたちの「安全性の確保」と「学習補償」の両面を熟慮をしながら、行政もそして私もどうすべきなのか悩んできました。
でも、オンライン授業の環境が整っていたならば、行政も迅速に休校措置の判断ができた場面がこれまであったかもしれません。
海外では感染拡大により休校措置が取られるとすぐにオンライン授業が始まった国もあったようです。もちろん日本でも一部の学校で既にオンライン授業を始めているところもありますが、多くの学校ではオンライン授業は実現されていません。私たちが住む長崎県でも同じです。
1.オンラインがなかなか実現しない理由
ではなぜ、オンライン授業が実現しないのでしょうか?
以下に、オンライン授業実現における問題をまとめました。専門家ではなくあくまでも一般的な見方ですので、ご容赦ください。
学校の授業においては「平等性」を確保するのが極めて重要です。もしも誰かが授業を受けられないような事態となれば、授業を進めることはできません。また先生のITスキルがなく、クラス毎で内容や進捗に差が生まれ格差が生じる懸念があります。
でも、平等性が担保されないことを懸念してばかりでは何もできません。私はまずはやってみなければ、上記の課題の本質は見えないし踏み込んだ対策も生まれないと考えています。
2.文部科学省の方針
まずは昨年末にスタートしましたGIGAスクール構想(学校における1人1台端末環境の整備)の公式プロモーション動画をご覧ください。
国は5ヶ年でこのGIGAスクール構想進めていこうとしておりましたが、この状況でそうも言っておられず、急ピッチで進めようとしております。本県の中村知事も先日の知事会見で今年度中に予算執行するとの前向きな決断をされました。
しかしGIGAスクール構想の実現を待っては、休校措置するかどうかの議論には対応できないため、文部科学省は以下の通知を各都道府県教育委員会宛に発信しています。特にご覧いただきたいものが、以下の引用部分です。
文部科学省から都道府県教育委員会への文章
https://www.mext.go.jp/content/20200424-mxt_jogai02-000003278_515.pdf
引用1(家庭学習の際の ICT の具体的な手段について )
家庭学習の際のICTの具体的な手段について文部科学省としては、令和2年度補正予算案のとおり、「GIGA スクール構想の加速」により子供たちの学びを保障できる環境を早急に実現できるよう努めてまいりますが、既に新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業が延長されている学校も相当数生じてきております。各自治体におかれては、各学校や家庭の環境が様々な中で、それらのリソースを最大限活用して臨時かつ早急にICTを活用する方法として考えられる以下の主な対応も踏まえつつ、平常時のルールにとらわれることなく自治体や家庭におけるICT環境を最大限に活用するよう現場による臨機応変な対応をお願いします。
①家庭でパソコン・タブレットやスマートフォン等ICT機器を所有している場合には、それが児童生徒の家庭学習にも活用されるよう、家庭の理解を得つつ進めること。
②家庭にWi-Fi環境などがない場合が想定されるため、各学校では家庭の通信環境について至急把握すること。その際、保護者や児童生徒などが使用する家庭のスマートフォンやモバイルルーター等を活用できる場合には、それを通信手段として活用すること。
③学校で既に整備されている端末を持ち帰って活用することが可能な場合には、平常時のルールにとらわれることなく積極的に持ち帰りを推奨して活用すること。
引用2(オンライン会議システム等の活用)
オンライン会議システムなど一般にテレワークで用いられている各種ツールも積極的に活用して、教員による講義・説明の配信、課題の確認、児童生徒の健康観察や児童生徒同士の交流などを行うことも効果的です。
国は、学校現場において積極的にICTを活用し、自治体や家庭に既にあるICT環境をフルに発揮して臨機応変に対応するよう求めています。恐れなく言えば「まずはできるところからやりなさい」ということです。
3.長崎市内のオンライン先進校
既に国からの発信を受けて、長崎市内でもICTを活用したオンライン授業が実施されている学校があります。長崎市内では小学校2校と中学校2校が、文部科学省からの委託を受けて3年間に及ぶ遠隔学習の実証実験をおこなっています。
冒頭の長崎南小中学校は休校措置後に、積極的にオンライン授業に取り組まれました。たまたま長崎南小中学校に高校の後輩が赴任しており話をしましたが、市の教育委員会からiPadの貸与を受け、インターネット環境がない家庭の児童は学校で学習するなどして、柔軟に対応が行われているとのことです。
またツールとしては、オンライン会議システムとして使用されているzoomが活用されており、国もこうした各種オンラインシステムの活用を推奨しています。
GIGAスクール構想をベースに、「全員にタブレット端末を届ける!全家庭にwifiを配る!」これを待っていたら、残念ながら1年以上が経過してしまいます。長崎南小中学校のように環境が整わなければ一部が学校に来たり、もしくは地元の公民館で持ちこんだwifiにつなげるなど、柔軟な対応が求められるのだと思います。
長崎南小中学校の取り組みを踏まえ、平等性の確保のための課題とその対策を以下に示します。
外出規制にはならないとの矛盾を受けるようなものもありますが、全員が登校するよりは劇的な3密改善となり、生徒たちの安全と学力補償の両面が守られると考えます。
4.オンライン授業向けソフト
次に、長崎南小中学校も活用していたzoomと同様に、国も推奨しているGoogle for Educationについてご紹介します。こちらは文科省が推奨するGIGAスクール対応の端末パッケージ集ですが、このGoogle for Educationも取り上げられています。
文科省推奨のGIGAスクール対応の端末パッケージ集
https://www.learning-innovation.go.jp/giga/
以下に、Google for Educationに含まれるアプリケーションと学校現場で果たす役割についてまとめました。zoomも改めて説明しています。
感染拡大前から既にGoogle for Educationを活用していている学校があります。佐賀県有田町は小学生がICTをたくましく学んでいます。北海道教育大学附属函館中学校は家庭負担で Chromebookを導入して生徒全員が使いこなしています。
佐賀県有田町
http://services.google.com/fh/files/misc/googlewp_sagaarita_1212.pdf
北海道教育大学附属函館中学校
http://services.google.com/fh/files/misc/gfe-cs-hokkyo.pdf
私も二児の親ですが、こういうのを見ると羨ましくなります。
5.オンライン授業が実現しやすい学校とそうでない学校
オンライン授業に至っていない学校に問題があるのかというと、そういうことではないことをご理解願います。
長崎南小中学校の岡田校長は冒頭の記事の中で以下のように言われています。「生徒が少ないからこそ端末も各家庭に配布でき、小規模校のメリットを生かせた。今後も『ウチの学校だからこそできること』を常に考えていきたい」とのことです。
私が育友会会長(PTA会長)をさせてもらっている地元の小学校は市内でもいわゆる大規模校です。お世話になっている校長先生とオンライン授業について話をしましたが、前向きな考え方の校長先生と話をしていても、生徒の数が多いほど、オンライン授業の実現には、立ちはだかる壁が多いことを認識させられます。
子どもたちに教育を届けたいのは、誰よりも学校の先生方です。その先生方がこの状況下に本当に苦心されています。
6.今後の取り組み
私がこれから取り組んでいくことを以下にまとめました。今後の活動に応じて、こちらで報告させていただきます。
<実践>
・地元もしくは関わりのある学校でアンケート(各家庭のインターネット環境やオンライン授業に対する不安など)を実施をする。
・まずは学校でトライアルとしてオンライン授業をやってみる。
<計画>
・県内21市町のオンライン授業に関する現状と展望を把握する。
・いつ頃に何台の端末が長崎県に導入されるのか予算を調査する。
「まずはやってみよう!」という気持ちでオンライン授業実現に向けて情熱を注いでいきます。