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ADHDを「トレンド」にしないために

~正しい理解と向き合い方~

最近、SNSで「ADHDだから〇〇できませんでした」という投稿を目にすることが増えています。特に経営者の方々の発信で、遅刻や忘れ物を「ADHDのせい」にする投稿が目立つなあと。
確かに、ADHDへの理解が広がることは良いことです。でも、僕は違和感を感じています。なぜなら、それは本当にADHDと向き合って生きている人たちの現実を軽視することになりかねないからです。

なぜADHDを「安易に」語るべきではないのか

ADHDは医学的な診断名です。つまり、専門家による適切な検査と診断が必要です。
僕自身、ADHDと診断されていますが、それは以下のような詳細な検査プロセスを経てのことでした

1. 初診と問診
  ①小児期からの症状の確認
  ②現在の生活における困難の具体的な聞き取り
  ③家族歴の確認

2. 心理検査
  ①WAIS(知能検査)
  ②CPT(持続的注意力検査)
  ③その他の神経心理学的検査

3. 複数回の診察
  ①症状の継続性の確認
  ②他の精神疾患との鑑別
  ③生活環境の詳細な評価
このプロセスには数ヶ月を要し、医療費も決して安くありませんでした。

ADHDの「イメージ」と「現実」

ADHDは「忘れ物が多い」「遅刻しがち」といった表面的な特徴だけではありません。以下のような多面的な影響があります:

①実行機能の困難さ
②感情コントロールの課題
③時間感覚の特異性
④興味の偏り
⑤感覚過敏
⑥二次障害のリスク
これらは、その人の人生に大きな影響を与える可能性がある特性です。

安易な自己診断の危険性

ADHDを安易に自己診断することには、以下のような問題があります:

1. 適切な支援を受ける機会の損失
  ①本当の原因が見過ごされる可能性
  ②効果的な対処法を見つけられない

2. 社会的な誤解の助長
  ①ADHDに対する偏見の強化
  ②「言い訳」という誤った認識の広がり

3. 他の可能性の見落とし
  ①単なる生活習慣の問題
  ②別の健康上の課題
  ③環境要因の影響

経営者としての責任ある発信とは

経営者の立場で「ADHDだから」と発信することは、大きな社会的影響力を持ちます。代わりに以下のような発信を心がけてほしいなと思います。

1. 正確な情報の共有
  ①専門家の診断に基づく発言
  ②具体的な対処法の紹介

2. 建設的な対話
  ①困難と向き合う過程の共有
  ②工夫や改善策の提案

3. 多様性の尊重
  ①個人差への理解
  ②支援の必要性の認識

まとめ:共に成長できる社会

ADHDは「トレンド」でも「言い訳」でもありません。一人ひとりの特性として、正しく理解し、必要な支援を考えていく必要があります。
TSUNAGUでは、これからも一人ひとりの可能性を大切にしながら、誠実に福祉と向き合っていきたいと思います。
そして何より大切なのは、困難を感じている方は、ぜひ専門家に相談してください。正しい理解と支援があれば、必ず道は開けます。

一緒により良い社会を作っていきましょう。

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