モンキーレンチさま インタビュー


モンキーレンチ 北島卓


フリーランスのWordPressテーマ/プラグインデベロッパー。多数のプロダクトをオープンソースで開発・公開。WordPress有料テーマ「Snow Monkey」を開発・販売中。
[HP]https://2inc.org
[依頼デザイン]ロゴ・名刺・バナー・ステッカー・WordPressテーマロゴ



まずは、デザインを依頼したきっかけについて教えてください。


北島:
独立前から個人的にWordPressの勉強会を開催していて。そこに中村さんが参加していたことは知っていました。その後、縁あって一緒にお仕事させていただく機会があり、初めてポートフォリオを見たときに、色々な制作物を手がけているんだなと印象に残って。何か機会があれば、仕事を頼みたいと思っていました。

そしてWEBプログラマーとして独立して2年くらい経った頃、なんとなく事業展開に行き詰まりを感じ始めていました。同じ時期に、県外の同業者から「一定のレベルを超えていくにはブランディングが必要」とアドバイスされたんです。それまでは、名刺やロゴも、すべて自分で制作していました。そこで改めて、プロのデザイナーに会社のロゴやツールをお願いすることにしました。すぐに頭に浮かんだのが中村さんです。制作物の印象はもちろんですが、Facebookでご自身のデザインについて、その意図や背景を文章で説明しているのを読んで好感を持っていました。自分自身、そんな風に依頼したデザインを言語化してもらえると、しっくり納得できるかなと思ったんです。

中村:
実際のところ、ああやって言語化するのは得意じゃないんですよ。一つの投稿に1、2時間とかかかってます(笑)。でも感覚的な表現だけでは伝わらない人も当然いますし、デザインに込めた意図や想いを言語化するなかで、うまく整理できることもあって。やっぱり必要なことだと思います。

どのような過程でデザインが出来上がったのですか。

北島:
最初にデザインをお願いしたのは、ロゴと名刺、バナー、ステッカーです。事業の現状と課題、競合する会社などについて自分でシートに情報をまとめて、中村さんにお渡ししました。対面での打ち合わせは1、2回で、あとはメッセンジャーなどでやりとりしました。依頼してから完成までの期間としては、約3週間くらいです。

中村:
北島さんは自分で強みや課題を丁寧に分析されていたので、とてもスムーズに制作できました。ロゴについては、他の競合する会社が柔らかくキャッチーな印象だったんです。北島さんは結構職人気質なところもあるので、渋さとか、そういう精神性みたいなものを表現したくて、書体はゴシック体を選びました。色は濃紺をベースに、紙質は少し厚めにしています。やはり直接会っての印象や、その方のもつ想いが制作のヒントになります。

完成したデザインの反応はいかがですか。

北島:
特に名刺を褒められることが多いですね。一般的に、プログラマーはあくまでプログラミング領域だけに詳しい人という見方をされがちなんです。でも、きちんとデザインされた名刺とロゴがあることで、ブランディングやビジネスのことにも理解があるプログラマーという印象になりました。
そうしたデザインの変化は、事業を続ける中で変化した自分の方向性にもリンクしているところがあって。独立してしばらくは、依頼を受けた案件のHPやプログラムを制作していました。しかし周りのレベルが高い業界で生き残っていくためには、やはり自分だけのオリジナルのプロダクトが必要だと徐々に感じるようになりました。そうした気持ちから、現在は自分で制作したWordPressのテーマ「Snow Monkey」を事業の中心に置いています。独自の考え方や方向性をデザインの力で表現できるのは、本当にありがたいです。このオリジナルのテーマのロゴについても、中村さんに制作を依頼しました。

中村:
その時にこちらからご提案したのは、最初に作ったモンキーレンチのロゴと一貫性を持たせることでした。独立してからまとまった年数が経つまでは、周りに同じイメージを刷り込むことが大切だと考えたんです。なので書体も、色のトーンも統一しています。それと何度もアイデアを練ったのが、お猿さんの輪郭。色々と試したんですが、最終的に縁をぼかすことにしました。そうすると表情も、寝てるようにも怒っているようにも見えたりして、可変性が生まれましたね。

北島:
WordPressのテーマの魅力をPRする際には、機能や使いやすさを強調することが一般的です。でもこうしてきちんとしたデザインのロゴが決まると、なんだか新鮮で良い印象になりますね。

デザインを活かした事業展開についても教えてください。

北島:
実は、中村さんに作ってもらったロゴを使ってオリジナルのグッズを制作したんです。Tシャツやバッジ、アクセサリー、あとはハンドスピナーとか(笑)。毎年ワードプレスの全国規模のイベントに、モンキーレンチのブースを出展しているんです。普通はチラシを並べるくらいで、こんなユニークなグッズまで用意しているブースは他にないので、差別化できて自然と注目してもらえますね。

中村:
多方面での展開には使用規定が必要ですが、北島さんは最初から、デザインと合わせてレギュレーションをまとめた資料も要望されていましたよね。僕自身こうした規定をきちんと書面にまとめる機会は珍しくて、いい経験になりました。それに北島さんがしっかりと意図を理解した上で広く活用してくださって、とても嬉しいです。よく生み出した制作物を「娘のように」と例えたりしますけど、我ながら、いい嫁ぎ先に送ったなと思います。

北島:
僕もいいロゴを作ってもらった喜びでハイになって(笑)気づいたらこんなにグッズが増えていました。今回デザインを依頼して、伝えることの大切さと、難しさも感じました。普段はプログラミングの要望を聞く側で、なるべく丁寧にヒアリングを行なっていましたが、うまくいかないこともあって。でも自分がいざ依頼する側になると、考えがまとまらずきちんと伝えられませんでした。だから、仕事の中でお客さんと接するときの気持ちも変わりましたね。伝えられないのが当たり前で、こちらが整理して引き出さないといけない。そういう意味で、今後の仕事の取り組み方でもいい刺激を受けました。

取材:藤本編集局


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