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はじめての全身麻酔 その6「屈辱のHCU」

最近、甲状腺腫瘍切除とバセドウ病治療のため
甲状腺を全摘出する手術を受けました。

その時のお話です。

これから全身麻酔の手術を受ける方(特に男性)の
参考になればと思い、

また自身の記録用に、書きます。



(前回のあらすじ)
手術前日から入院スタート。
普通に食べられるのに病院食もスタート。
のんびり仕事しながら翌日の手術を震えて待つ。


手術当日。
朝7時に目が覚めました。

フリーランスなので会社に出勤する必要はありません。
朝7時に起きることは基本ないのですが(早くて8時半)

ナースセンターの真ん前にある病室で
7時前から看護師が
バタバタと朝食の配膳を始める音と雰囲気で目覚めたのです。

といっても僕には朝食は来ません。
なぜなら手術日は丸一日絶食だから。
すでにお腹がすいているのですが…

8時半に看護師がやってきて
体温やら血圧やらを測定し
「12時過ぎに迎えに来ますので
それまで自由に過ごしてください」とのこと。

この待機時間が逆にイヤでしたが
仕事も昨日あらかた終えたのでする必要がなく
読書する気にもなれず
けっきょくベッドの上でぼーっとしてました。

特に緊張とかはありませんでしたが
「術後、自分はどうなっているんだろう」
そればかり考えていました。

首が動かしづらくなるかもしれない。
声帯の近くを触るので一時的に声が出づらくなるかもしれない…

それについては手術の随分前から考えていました。
なのでようやく今日、術後に自分がどうなっているのか
結果がわかると思うとドキドキしました。

時刻はあっという間に12時を回り
看護師とともに3Fの手術室へ。

妻が来てくれていましたが
面会は午後からしかできないので病室には入れず
3Fのエレベーター前で待っててくれていて
手術室の前まで数歩一緒に歩いただけ。

「原稿よろしく」とだけ伝えて手術室に入りました。
今日明日は仕事ができないので、
もしお客様から僕宛に連絡が来たら
妻が対応できる範囲でやるという話になっていました。
(妻も僕と同じフリーのライターです)

いよいよ手術室へ入室。
横向きでベッドに寝かされ
看護師さんたちが手際よく
点滴針を刺したり血圧計を腕に巻いたりしてくれました。

なぜかはわかりませんが
手術室の看護師さんたちは
病棟の看護師さんよりかわいい人ばかりな気が。
おそらく手術前に最後に思ったのはソレでした(笑)。

「点滴から眠くなる薬が入っていきまーす」
と言われたその後から
意識はなくなりました。

その間に首元にドレーンチューブを入れたり
尿道にカテーテルを入れたのでしょう。
入れるときに痛みはまったく感じませんでした。

どこか遠くで名前を呼ばれている。
そんな気がして目が覚めました。
事実、看護師さんが自分の名前を呼んでいました。

それに返答したのかどうか、覚えていません。

とにかくぼーっとしていましたが
あー、手術は終わったんだなと理解。

ん?どこかが痛い…ノドだ!ノドが痛い!
なんていうか、扁桃腺とかそういう痛みではなくて
うーん、味わったことがない痛み。

じんじんしてるし、つばを飲み込むと激痛い!
って考えると、扁桃腺の痛みに似ているか?
でも自分が経験した扁桃腺の痛みはもっとひどかった。
ということは、手術の痛みはそれに比べるとマシなのだろうか?

いや、違う。
ノドもそうだが、少し下の甲状腺のあたりがやはり痛い。
痛重いかんじ。これは初の経験。
二度と経験したくないですね。このかんじ。

術後は容体が急変してもスグに対処できるように
HCU(高度治療室)で朝まで過ごすということでしたが
とにかくこのHCUの居心地が悪いのなんのって!

まず、動けない!


点滴、心電図、ドレーンチューブ、血圧計、フットポンプ…
僕の体にはありとあらゆる機材がつながれ
もちろん切ったばかりの首も痛くて
まったく身動きできないのです。

首回りが痛いし熱を持ってるかんじだし
とにかく気持ち悪くてなんか体を動かしたい。
でもそれができない。
これがいちばん辛かったですね。

ただし一番懸念していた尿管カテーテルは抜かれている模様。
お〇ん〇んのあたりに違和感がなかったので。
身体が起こせない&首を上げられないので
下半身を目視で確認することはできませんでしたけど。

そして、HCUは寒い!


何かあった時に大量出血を防ぐためなのか
なんなのか知らんけど室温が低いので
とにかく寒い!

この時着ているのは
膝ぐらいまである前あきの手術着1枚のみ。
しかも下半身はズボンではなく
「T字帯」という、Tバックみたいなものを履いているだけ。
だから寒いんです!

そして寒いとどうなるか?
オシッコしたくなるんです!

通常なら尿管カテーテルでおしっこを管理し
勝手に垂れ流しても大丈夫なんですが
僕の場合はカテーテルを抜いてしまっているので
オシッコする際は尿瓶を使わざるをえません。

そして体が起こせないので一人でできません。

つまり、看護師に手伝ってもらわないといけないのです!

いや、もちろん事前に言われていたので覚悟はしていました。
そして看護師さんもそんな場面見慣れているだろうから
自分も恥ずかしくないはずだと。

しかし、いざそうなると、やっぱり恥ずかしい!

恥ずかしいから頼みづらい。
でも今お願いしないと漏れそう。

覚悟を決めてナースコールを押し
部屋に入ってきた看護師さんに
「オシッコしたいです…」と懇願。

すると手慣れた感じで尿瓶をもってきてくれて
電動ベッドを起こし、オシッコできる体制に。

しかししかし、それでも体は機材でがんじがらめで
下半身のほうが見えなくてどういう状態なのかわからん!

でも看護師さんがT字帯をオープンしてくださり
モノをつまんで尿瓶入口までもっていってくれました!

いやぁ。

恥ずかしいですねえ。

しかしおかげで術後一発目のオシッコは無事済みました。

カテーテルが尿道を傷つけているはずなので
しばらくはオシッコするたびにけっこう痛いと聞いていましたが
恥ずかしさからなのか、体制のせいなのか(プーさんみたいな体制)
そんなに痛いとは感じませんでした。

あ、放尿中は看護師さんは部屋から出てくれています。

そして1回目の放尿から30分後。
また尿意がきてしまいました。

やはり部屋が寒いのと、
1回目の放尿後、T字帯をきちんと閉じていなかったことで
手術着の下がフルチン状態になっていたからです。

この時、下半身がどうなっているかわからない自分。
まさか前あきTバックを履いているとは思わず
1回目の放尿後にT字帯を閉じなかったのです。
本来は自分で閉じるんでしょうけど…

そして葛藤の末、再びナースコールし、オシッコしたいと懇願。
今度は先ほどとは別の看護師さんが来て
「自分でできる?」と言われました。

え?やってくれへんの?
そう思いながらも「できます」と返事し
何とか自分でモノを尿瓶入口にもっていくことに成功。
2回目の放尿も無事終わりました。

ただ、HCUに入ってまだ1時間ぐらいしか経っていません。
眠くもなく、ただ尿意に震える時間…

これはキツいーーー!!
さっきも書きましたが、これが入院中で一番イヤな時間でした。

しかしそんな時間も長くは続きませんでした。
急遽、入院病棟に戻ることになったのです。

理由はわかりません。
術後の経過が良かったからなのか?
他の患者さんにHCUを使わせたかったのか?
はたまた尿瓶の対応がイヤになったのか?

ともかく助かりました!
このまま朝までなんて、とても耐えられなかった!

ということで、ベッドごと入院病棟に移送されることに。
しかしここからも戦いは続きます…。
(つづく)







(つづく)
 

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