見出し画像

中小企業診断士2次筆記試験がまるっとわかるnote<中小企業診断士2次試験3回目でようやく合格したぼくが、みなさんの一発合格のためにできること> 土台編 その1

中小企業診断士2次試験に3回かけて合格したぼくが、みなさんの一発合格のためにできること 土台編 その1。 みなさんこんにちは!大阪府堺市でみなさまのちょっとした変化を応援しています。堺なかもず経営支援センター山本哲也です。今回は、タイトル通りに一発合格をしていただきたく、私が、5年間で得たノウハウをストレートに書いていきます。

 掲載している資料について、私が、ストアカにて開設している講座で活用している資料の抜粋版となっています。2次試験合格後、友人に誘われ、受験生支援団体に所属し、1年間受験生支援に携わっていました。受験生時代から、地方の受験生の情報ハンディキャップが気になっていたことから、今回の教室企画に至りました。オンライン上ではありますが、みなさんとお会いできたことにご縁を感じています。ありがとうございます。

ストアカ講座はこちらから

【本記事で学べること】

*中小企業診断士2次筆記試験の概要
*2次筆記試験で問われていること
*事例ごとの違い
*2次筆記試験で必要となる3つのスキル
*ご自身が強化すべきスキルについて
*2次筆記試験で答案用紙に書くべきこと
*学習方法、学習計画の立て方など

【本記事で学んでいただきたい方】

「自分の答えが正しいの?」
*「受験校の模範解答が腹落ちしない
*「2次試験対策って結局どんなことに取り組めばいいの?」      といった中小企業診断士2次筆記試験特有の難しさに不安や疑問をお持ちの方々
*特に「1次試験は勢いでパスしたけど2次筆記試験ってなに?」と言う初学者のみなさん、独学のみなさん。
2次試験を2回以上受験しておられる方

【身に付けていただきたいこと】

*2次試験はどんなもの?どうやって勉強すればいい?今からでも間に合うの? といった疑問の解消。
*2次試験合格した診断士みんなが得心した解答の方向性
受験生同士でディスカッションをしているとなかなか腹落ちしないことが多かったのですが、合格者同士で解答要素について話すと不思議と合意できてしまう。それこそが回答すべきことなのだと実感しています。

はじめまして

大阪府診断協会に所属し大阪府堺市を拠点として活動しています。

【実績】
2018年中小企業診断士 合格
タキプロ10期セミナー班
商工会議所向けセミナー開催
補助金申請支援
事業計画策定支援
ミラサポ派遣専門家
-執筆実績‐
月刊企業診断「特集 満点答案を探せ!」「特集 Intervew」など多数
東京東信用金庫「東京イースト中小企業の未来」
経営技術センター 「NKCRadar」     
BIZヒント           など

はじめに

今年合格してしまいたいみなさまへ中小企業診断士2次筆記試験は、正答が示されず、それ故に難易度の高い試験です。私は、家庭の事情で受験生時代はまとまった学習時間が取れず、とても苦労をしました。1次試験5回、2次試験は3回受験しました。ですので多年度生の気持ちがとても理解できます。受験校も、TAC、LEC、AAS、通信、などいろいろなものを試しました。1回目は、わけもわからず自己流で。2回目は、なんとなく書くべきことは理解できたが、トレーニング不足が原因で本番に再現できず。3回目の試験終了後にこれでダメなら来年もだめだなという領域にまで到達でき、無事合格。

先日、月刊企業診断「特集 満点答案を探せ」という記事を寄稿させていただきました。その取材を通じて全国の高得点者に学習方法などをインタビューさせていただきました。その共通のノウハウについてもお伝えしたいと思います。昨年はタキプロでお伝えできたのですが、卒業した今は、こちらでのみお伝えしています。

決して、楽な道ではありませんが、正しいルートに沿って、正しい努力することで確実に合格に近づきます。

中小企業診断士とはなにものか?

中小企業診断士は、法律にこのように定義されています。

画像2

ここから私が何をお伝えしたいか?!経済産業大臣が「経営で困ってるんならこの人に相談してみたらどうかな?」と言って事業者に紹介するメンバーを選ぶ試験がこの中小企業診断士試験なのです。さてここで考えてみて欲しいのですが、大臣や役所の人が紹介したい人ってどんな人でしょう?”イケてる助言をする人“でしょうか?たとえば”ホリエモンのような人?”おそらく違うでしょう。私は、以下のように考えるに至りました。
国の施策を中心に経営改善の支援ができる人。つまり公務員の代わりに民間で培った経験と学術的な裏打ちのある経営理論で事業者の経営を支援する人
つまり、国のお仕事をサポートする準公務員なのです。(制度発足当時は、公務員ための資格だったそうです)このように考えると、おのずと書くべきことが決まってきますよね?ですから、1次試験で学習した知識を必ず使っていただきたいのです。そして、設問から、与件文から、外れない解答を書いて欲しい理由がここにあるのです。

画像2


解答に書くべきことの一番大きな制約事項が、この「準公務員として書く」なのです。つづいてひとつひとつ見ていきましょう。


受験科目の範囲で書く

画像3

各自限ごとに、出題範囲が決められています。つまり「解答はこの範囲内にありますよ」というヒントです。例えば「売上拡大施策を述べよ」というような趣旨の設問があったとして・・・

事例Ⅰ:「社長自らが、社員に新製品の重要性を説き、直轄組織として営業部を新設して・・・」   となり、組織論の観点から解答を構成する必要があります。

事例Ⅱ:「〇〇を××したいというニーズを持つ子育て世帯に対して。▲▲を前面にこだわりの・・・を提供し、来店頻度を向上させることで売上拡大を・・」となり、マーケティング戦略の観点から解答を構成し、客数×客単価の観点など1次知識を交えつつ解答をまとめる必要があります。

事例Ⅲ:「〇〇のニーズが高まっている市場に対してC社の〇〇力を活かした新製品を提案し・・・」といった成長戦略の観点で解答を構成する必要があります。

事例Ⅳ:「○○による固定費の減少は、損益分岐点を引き下げの低下につながり、Ⅾ社の経営の安全性を高めるため・・・」という経営分析の視点から書くことが求められてきます。

と、このように書くとしごく当たり前に聞こえるのですが、一度、周りの受験生仲間の答案やご自身の答案を確認してみてください。「あれ?」ということが多いことに気づかれると思います。
この部分は、後半で詳しく図解でわかりやすく説明しますので、ここでは、事例ごとに違いがあり、制約条件の一種だということだけ覚えておいてください。毎日の学習の中で当たり前すぎて忘れてしまうとても重要なことです。そして、当日にやらかしてしまう“ありがちなミス”の代表格です。

この記事に出てくる用語たち

画像4

このあとのプログラムは・・・
解答プロセスはどうあるべきか?/先輩たちの勉強法をズバッと解説!→すきま時間絶対おススメ合格勉強法/4事例の相関図/事例Ⅰはいったい何を聞いているのか?/事例Ⅱは、事例Ⅲは、事例Ⅳは、いったい何を聞いているのか?/与件文と設問文の関係は当たり前、設問同士の関係がヒントをくれる/要因と原因の違い、問題と課題の違い などなど2次試験の本質に迫っていきます。が・・・

その前にこれから出てくる用語について共通認識を作っておきましょう。

与件文:問題本文のこと。ケーススタディですので、社長に対するヒアリングを担当した中小企業診断士が、整理した文書と理解してよさそうです。正しい日本語の文法に則って、構造化されていますので、接続詞に注目してその論理構造を理解することで、受験生に求められている解答作成に一歩近づくことができます。

設問文:事例企業のことを理解、分析するために必要な問いです。例えば、第1問で強みを問い、第5問でそれを活用できる成長戦略を提案する。など設問間の関係性も大きなヒントを含んでいます

設問要求:設問から本来問われていることをわかりやすく理解すること。具体的には、どんな戦略テーマで聞かれているのか?とか、どんな分析手法が指定されているのか?つまり“解答のテーマ”といってよいのではないでしょうか?

制約条件:解答の範囲を制限し、採点を可能にするために、作問者が設定した制約条件。物理的な制約としては文字数制限があります。それ以外に“中小企業診断士として答えよ”とか、“価格戦略以外の観点で答えよ”などがあります。つまりは、作問者からの大きなヒントと言うことですね。また、これを絞っていくことで正答の的が小さくなります。特に設問文が長い時は、一言一句読み飛ばさないように文節にスラッシュを入れて、自分の解答が制約条件からはみ出していないかを確認する必要があります。

切り口:多面的に解答するための視点。ですね。設問文にヒントが埋まっているケースや与件文に接続詞を使って示されているケースがあります。例えば、設問文でいうと・・・

“価格戦略以外の観点で答えよ”と指定されている場合はどうでしょう?私だったら、4Pの価格以外で検討するのかな?という視点で与件文を読みに行きます。“①チャネルの視点②製品の視点③販促の視点”3つの視点で書くのか、それとも与件文に出てくる2つだけを使うのか。

また、①は普通に書き、②と③を因果関係で表現する。なども検討できそうです。切り口はできるだけたくさん暗記というか身に付けておくことが一次知識を使える知識として頭にいれておくことと同様にとても大切なことになります。

画像5

解答プロセスを固めることはとても大切です!

では、なぜプロセスを固めることが大切なのでしょう?
答えは簡単。年に1回しかない試験当日に一定の品質(60点以上)の解答用紙を作成するためです。
一定の品質の解答用紙作成のために我々が取り組むべきことはなんでしょう?それは、機械化の導入です。試験本番では、筆記用具以外の持ち込みは禁じられていますので、我々にできることは、できるだけ頭を使わずにできる機械的な作業部分を増やすことです。つまり自動工程を増やすこと。
例えば、試験開始の合図がなる。

答案用紙に機械的に受験番号を記入するでしょう。それと同じように、 問題用紙をばらし、メモ用紙を作成する。
段落ごとに直線で区切り線を引き、段落番号を書き込む。
第1段落を読み、事例企業の形式要件を頭に入れる。
設問文を読み解答骨子を検討する。(初めて頭を使う)
設問文を頭の片隅に与件文をチェックする(段落ごとの要旨、時系列、主語、述語、接続詞、強調表現、わざとらしい記述、経営課題など)
ここまででおおよそ私は30分でした。ここから、ようやく頭をフル回転させる。
設問文と与件文と頭の中の知識をぐるぐると行ったり来たり。それぞれの解答骨子と全体とのバランスなどをチェックしていくこと20分。
⑧残り30分となった時点で、自信のある問題から、解答用紙を埋めていく。
⑨残り5分までに書き上げ、再度読み直し、紛らわしい文字を書き直す。 そして、提出。
次の事例に向かって今の企業のことを忘れるためにトイレへ向かい、用を足しつつ、記憶も洗い流す。 
と、こんな具合をルーティンとして、書面を準備し、普段の事例を解くときも傍らに時計とこの手順書を置いて学習していました。

試験当日のルーティン実行が製造工程とするならば、進捗管理が大切。

一見無駄とも思える学習計画ですが、実はとても大切。
私は、毎日全力(時間無制限)で受験勉強に取り組んでいたため、「計画を立てても意味ないわ」
と考え、しっかりとした計画を立てず突き進みました。その結果、もちろんあえなく撃沈。戦略なき戦いで勝てるはずがありません。

そして2年目に計画の立てるのですが、この時は、「〇月×日 ▲▲年の事例〇をやる」みたいな
計画を立て、途中で破綻。これは、単なるスケジュール・予定ですよね。

我々に必要なことは、試験当日に向けてのスキルアップ計画です。例えば、“読む力”という必須能力は細分化すると以下のような体系にまとめることができます。これらのスキルを身に付けることができるトレーニング法(問題を解き、暗記カードを覚える、参考書を調べる)を大日程(月単位)中日程(週単位)、小日程(日ごと)に落とし込み、その進捗を追いかけること、その進捗によって計画を修正し続ける。ことが大切になります。

画像6

その計画を確実にこなしていくことでスキルアップが図れ、合格につながるというわけです。

ではどんなトレーニング法があるのか?!

画像7

写経・音読:学習当初、「ふぞろいな合格答案」をお手本に。なんて先輩から教わっても、「何が書いてあるのか?字面しか理解できない・・これでは参考にできないし、再現もできないわ~」と考えていました。そんな時に有効な方法が、この写経・音読です。学生時代の部活のように、ひたすら書き移すことで、その解答を作成した人の思考回路を移植するという考え方です。解答作成者になり切るイメージですね。あまり時間当たりの生産力の高い方法とは言えなさそうです。私は、頭が疲れて、暗記や思考ということが出来ない時間帯に取り組んでいました。

春秋要約:これは、“日経新聞のコラムを読んで40字に要約することで、読む力と書く力を鍛える”というトレーニングで、通信の受験校が開発し、有料講座として設置しています。私も一年間取り組みましたが、セオリーが理解できないまま終わってしまいました。よかった点は、学習習慣を維持することができた点くらいです(>_<)。書くことが苦手という人や普段から新聞を読む習慣(正しい日本語に触れる機会が少ない人)には向いているのかも知れません。


そして、我々、合格者が強く推奨しているのが解答骨子作りです。
過去問の設問だけを読み、頭の中の一次知識と組み合わせ解答骨子を組み立てる(推測する)トレーニングです。これは、通勤途中や会議中、トイレなど、すきま時間を活用できる上に、試験当日にも使える実践的なトレーニングです。

やり方は、いたって簡単。スマホなどで過去問を検索し、設問文だけを見て、解答骨子を作るだけです。変形としては、ふぞろいなどの合格答案から逆に骨子に戻すリバースエンジニアリングなども効果的です。慣れないうちは、座学で徹底的に取り組んだ年度のものの復習として取り組めばよいでしょう。また、時間を2~3分くらいに設定して本番さながらにすることでトレーニング効果は高まります。2次試験直前期には、初見のものでもできるようになっているはずです。(というか試験当日にこれができなければ合格は無理

画像8

例:令和元年度事例Ⅰ 第1問だと例えばこんな感じでしょうか?

画像9

骨子案:最大の理由は、①S×Oができず売上ダメ②W×Tでコストダメ

【思考プロセス再現解説】

制約条件は:現社長がトップに就任する前のA社の話/自社製品のメンテナンス事業の話/結果的に(過去の話、すでにこのビジネスはやっていない、プロセスの話ではない)

考えるべき要素は:“ビジネスとして成功しなかった”→ビジネスとは?売上と利益?顧客満足?“苦境を打破するために取り組んだ事業“ 苦境の反対が成功。苦境が経営的に不調。やはり売上と利益の側面で書くことになるかも。または、ヒト、モノ、カネ、情報の切り口かも?
第1問なので、環境分析の可能性大。つまり、ほかの設問も確認する必要があるが・・


ということで仮組した骨子が前述のもの
「最大の理由は、①S×Oができず売上ダメ②W×Tでコストダメ」
趣旨は最大の理由は何か?
なので、そのまま主語に転用。
思うように売上があげられなかったこと。これを因果関係で書く。
因:市場環境、顧客ニーズ、ルールの変化など与件文に登場する外部環境に求める
果:売上低迷、需要低迷など
売上だけでなくコストが予想(過去または業界標準)を上回り利益を圧迫したこと。これを因果関係で書く。
 因:顧客維持コスト、内部コスト(人件費、在庫など)が高い
 果:コスト高、利益低迷

と言ったような感じで頭の中で持っている知識を総動員させる。わからなければ、参考書などを調べ、暗記必要項目は、暗記メモを作成し、ただひたすらに覚える!

ここからは事例別攻略法

<最下段にストアカ講座500円OFFチケットを付けております!!>

このテキストの前半部分で各事例(Ⅰ~Ⅳ)は制約条件のひとつである。というお話をし、“事例別の解答例”みたいな遊びにおつきあいいただきましたが、2次試験の全体像はこのようになっています。

ここから先は

3,965字 / 7画像

¥ 980

よろしければサポートお願いします!これからも更新頑張ります。あなたにとって有意義であればよいのですが・・日々精進いたします