アルメニア タテヴ修道院
タブリーズからタクシーで国境まで移動し、川にかかる橋を越えてアルメニアに入国した。町の様子はイランと比べて随分変わる。だいぶヨーロッパ的になり。ソ連時代の名残のような、赤い石材を張り合わせたアパートが田舎の風景に立ち並ぶ。ゴリスという町までの道は高原が続きかなり涼しい。そしていつのまにか日本の山のように木が生い茂り始める。そこで一泊して翌日タテヴ修道院に向かった。修道院には5.7kmもの距離のロープウェイでたどり着いた。重厚な石積みの壁に開いた門をくぐって敷地に入る。
同じく重々しい灰色の石でできた教会が目に入る。切妻屋根の三角形、中央の円筒、その上に乗る円錐の屋根等、まるで積み木のような幾何学的でシンプルな形をしている。この幾何学的な形が周囲の大自然とコントラストをなしている。壁の石の大きさや色にはムラがあり、所々に十字架を彫った石碑が埋め込まれていて味がある。内部は切妻屋根の外観とは異なり、アーチ型の天井になっている、木造だった頃の名残か雨をしのぐためか。窓が小さくわずかな光しか入ってこないが、それによってかえって光の存在感が増している。内部はほとんど装飾されておらず、相対的に不揃いに積まれた石の素材感が際立つ。建物そのものが敬虔さを醸し出している。
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