不良と鉄パイプ

金属バットはグリップがある分あつかいやすいし素人から玄人まで幅広く使われている不良の基本武器
対して鉄パイプは見た目なんかは金属バットとほとんど変わらねぇがあえて持てない様に握りがない分
硬度と重量をかなり増加させて殴るより破壊を目的とした玄人好みのあつかいにくすぎる武器
使いこなせねぇと木刀より弱いただの鉄クズみてぇなもんだってのに何であのガキは?


最近、家の近所の工事現場で鉄パイプがいくつか転がっているのを目にした。
鉄パイプを見るといつも思い出されるのは不良のことだ。

古いドラマだの、漫画だのといったフィクションの不良たちのなかには、決まって一人は武器として鉄パイプを持っている奴がいる。
これがどうも長いこと釈然としないでいる。

武器としての鉄パイプってどうなのだろうか。
もちろん破壊力の高さに疑う余地はないだろう。
しかし、扱いやすさや、保管場所といった点で問題が生じるように思える。

中でも気になったのが、入手方法で、これはやはり、どこぞかの工事現場から、不良らしくかっぱらってくるのであろうか。
不良たちの中では、「あそこの工事現場、手ごろな鉄パイプがたくさんあるぜ!」なんて情報共有がなされているのかもしれない。

それでも、ちょうどいい長さ、重さの鉄パイプが都合よくいつも手に入るわけではないだろうし、盗みを良しとしない硬派な不良もいるかもしれない。
そうした不良たちは、やはりホームセンターなんかで鉄パイプを買っているのだろうか。「これ、ちょっと長めなんで切ってもらえないスか?」みたいに店員に頼んでちょうどいい鉄パイプを買い求める不良。

いったい何がそこまで彼らを鉄パイプに駆り立てるのであろう。

たまに、鉄パイプにグリップを巻いて、使い勝手の良いマイ鉄パイプを使っている不良も目にする。そうしたDIY精神のある不良はやはりホームセンターでよく吟味して鉄パイプを買っていそうだ。ついでに名前とかも付けてそう。

鉄パイプを武器とするうえで問題になる点はそれだけではない。先に述べた保管場所と、持ち歩きやすさも鉄パイプを使う上で大きな障害となりそうだ。

金属バットや木刀なんかは、家に置いてあってもあまり気にならない。なんなら不良のいない一般家庭でもそれくらいはあるだろう。
しかし、鉄パイプは違う。鉄パイプが部屋に置いてあるのはあまりに不自然だし、邪魔だ。

母親に、「またあんた、そんなもん拾ってきて」みたいに怒られてしまうかもしれないし、いくら不良といえど、鉄パイプが転がってる部屋ってどうなんだろう。マイ鉄パイプを作って愛でている不良ならあるいはインテリアの一部として愛せるのかもしれない。

それでは軒先にでも転がしておけばいいのではないかとも思うが、それでは鉄パイプが汚れてしまう。
フィクションで見る鉄パイプはあまり汚れていない。
決闘の場所に土埃や泥まみれの鉄パイプを持っていくのもなんだか格好悪い気がする。いちいち手も汚れそうだし。

また、携帯方法、これも心配になる。
例えば金属バットは野球少年のように持つこともできるし、木刀と同様に“いまから決闘に行くぜ”といった感じで不良らしい格好良さを表せるかもしれない。
でも、鉄パイプは違う。
鉄パイプを持っていたら職務質問なんかされた際に言い訳が効かないし、(一応工事現場に運んでいるふりなんかはできるかもしれないが、ださい)持ち運びを意図して作られていないので、重いうえ、グリップが無ければ持ちにくい。金属バットなんかは引きずっても様になるが、鉄パイプを引きずっているとうるさい上にやたら手に振動が伝わってぶるぶるしてしまう。

鉄パイプは一般家庭(不良がいるのが一般家庭かはおいておいて)での保管にも、携帯にも適さない。
かといって、決闘の場に都合よく落ちていたりすることもあまりないだろう。

いや、あるのか?
そういえば工事現場での決闘なんかも多い気がする。
そう思うと、鉄パイプは現地調達での武器に‥‥‥

いや、だとすると鉄パイプ使いは他の不良が金属バットだの木刀だのを持ってきている中で「現地で調達すりゃいっか!」と丸腰で来ていることになってしまう。これはどう考えても不用心な蛮勇だ。そんなにわか鉄パイプ使いでは満足に鉄パイプ殺法も使えないだろう。

もしかしたら、鉄パイプは、金属バットや木刀の調達ができない、貧しい不良の武器なのかもしれない。貧者の鉄パイプ。
彼らは仕方なく使い勝手の悪い武器を用いるしかないのだろうか。

と、ここまで書いていて、鉄パイプの威力をそのままに使い勝手、携帯性、保管性、入手しやすさを解消できる、新たな武器に考えが至った。

それは、“突っ張り棒”である。

突っ張り棒であれば、長さも自在に変えられるし、太さ長さともにホームセンターなどでよく吟味して買うこともできる。
購入の際に、何に使うのか怪しまれることもない。
突っ張り棒を買う人を怪しんだことあります?僕はないです。

また、携帯性も良い。
縮めておくこともできるし、街中で人に見られても、「あ、突っ張り棒買ったのね」みたいな感じで済むだろう。突っ張り棒自体、“買ったはいいものの買い物袋に収まらず、所在なく持つしかないモノ”ランキング上位に君臨するアイテムだからして。

保管にも便利である。
突っ張り棒がない家って逆にあります?そうそうないと僕は思います。
なんなら、普段は突っ張り棒として使っておいて、決闘の際に外して持っていくなんていう、金属バットなんかにはできない、一挙両得の使い方もできる。

威力面も、太い突っ張り棒であれば充分であろう。
結局、言っちゃえば加工してある鉄パイプですからね。

そして極めつけの突っ張り棒のメリット、それは

自らがツッパリであることが、ツッパっていることがアピールできる

ということです。

これが言いたかっただけでした。
ごめんなさい、もう寝ます。

不良が鉄パイプを使う答えを知っている人は教えてください。

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