SF短編小説「カレーブーム」

四作目。名古屋猫町倶楽部課外活動「ライティング倶楽部」で13年11月に書いた短編SF。SFですからね!グルメ小説ではないですw。名古屋猫町の重鎮gimuraさんがよく猫町おにゃのこ集めてカレーお料理&試食会やってたの見ていて思いついたw。猫町では料理できる男はほんまモテます。50歳中年童貞のオラでさえモテたw。
こういう結末の「実は……」てSFよくありますねw。

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カレーブーム
           

「どう?今度はちゃんと出来てる?」
「いや、何か毒入っているよこれ……」
「え?でもちゃんと職場で教えてもらった通りに作ったんだけど……」
「ちょっとその分析機でスキャンしてみてよ…………タンパク質に炭水化物にカリウムに……ソラニン!ソラニン入ってるじゃん!毒だよ!これ猛毒だよ!」
「ええ!?だって食品合成機で直接カレー作っちゃうのなんて手抜きだとかあなたが昨日文句言ったから、今日はちゃんと材料から合成して自分でお料理したのよ?」
「合成したジャガイモをそのまま放り込んだんだろ!?ジャガイモは芽に毒があるから取り除かないとダメなんだよ!」
「だってそんなこと教えてもらわなかったし!材料はジャガイモだよって教えてもらっただけだもん!そもそも私ジャガイモって見たことなかったし!」
「いやいや、今どきジャガイモ見たこと無いなんてどんだけだよ!いくら天文学者だからって、星ばっかり見ているんじゃないよ!ちょっとはワイドショーも見ろよ!仕事人間にもほどがあるよ!」
「毒毒ってうるさいわね!あなたのそういう細かいところ大っきらい!どんだけ肝っ玉小さいのよ!メラニンだかソラニンだかが少々入っていたからって死にはしないわよ!大体そんなに毒が気になるんなら、あなたがこの前研究所から持ってきたタバコとやらって草のほうがよっぽど毒じゃないの!」
「今はタバコは関係ないだろ!君はすぐそうやって別の話を持ってくる。今はカレーの話だろ!」
「今日だけの話じゃないわよ!全部繋がってるの!いつもそうやって自分のことは棚に上げて!そんなに文句言うなら自分で作って見れば!?」
「大体ジャガイモが形崩れてルーがぐずぐずになっちゃってるじゃないか。ジャガイモってのはゆで方があるんだよ。水から弱火でゆっくりじっくり茹で上げれば、こんなにぐずぐずにならないんだよ。きちんと形崩れずに茹で上がるんだよ!玉ねぎだって、君は手抜きして全然炒めていないだろ。カレーは玉ねぎも超重要なんだよ。じっくりゆっくり茶色になるまで炒め過ぎって思うぐらいに炒めるとその甘みと旨みでカレーにコクが出るのに、そこ手抜きしちゃ台無しだよ!そもそも火加減がいい加減すぎるよ!最後までずーっと強火じゃないか!ダメだよ!カレーは基本、ずーっと最後まで弱火なんだよ!ルーを入れる時だってきちんと火を止めて粗熱とって温度が下がってから入れないと、こうやってダマができちゃって台無しだよ!おい!ちょっと!話を聞けよ!こんな時間にどこ行くんだよ!ちょっと!」



「あれ?ジャハバミブたん、休暇は明日までじゃなかったっけ?」
「前に教えてもらったカレーってお料理、せっかく作ってあげたのにツレがぐだぐだ文句ばーっかり言うんで逃げてきちゃったのよ。あの星からの通信のせいでツレも世間もカレーだのタバコだの、あの星の変なものに夢中になっちゃってうんざり」
「そいつは災難だったねぇ。ところでまた新種のカレーに関する情報を受信したよ」
「なんなの?あの星の人たち。あんな状況でよく料理のことばかりそんなに夢中になっていられるわね」
「なんか我々と違って、かなりお気楽な種族みたいだね。戦争とか温暖化とか災害が起きても娯楽の情報の方がたくさんこっちに届いてくるもんなぁ。でもまぁ、それももうすぐ終わりらしいよ。さっき傍受した彼らのニュース見ていたら、ついに熱核兵器を撃ち合い始めたみたいだからそろそろ滅びるよ。あの星の距離はここから約4光年だから、多分4年前に彼らは滅んでいるだろうなぁ。我々のカレーブームもそろそろおしまいだね」


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