短編SF小説「渚にて」
八作目。名古屋猫町倶楽部課外活動「ライティング倶楽部」で12年8月に書いた短編SF。恒例のパクリタイトル。
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オラつくづく、このタイプの展開、オチが大好きなんだなとw。他の作品読んでもほんと多いw。こういう展開、ちょっと卑怯な気がしてきた。次の機会があったら気をつけようw。
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渚にて
僕らは一人ぼっちなんかじゃない。
見あげれば、どこまでも吸い込まれて行かれそうなあの星々の海原の彼方に、まさに今の僕と同じように夜空を見あげ、見果てぬ世界への思いに胸を膨らませている友がいるに違いない。
僕らはまだ未熟で、おもちゃみたいなロケットをようやく宇宙の渚に送り込めたばかり。だけどいつか僕らも……。
「またこんなところでぼーっとしてる」
後ろから忍び寄ってきてこんなふうに人の邪魔をするのは、あいつしかいない。
「君には関係無いだろ」
僕はこの幼馴染が苦手だ。別に嫌いなわけじゃない。子供の頃は、正直ちょっとドキドキしたりもしていた。でも最近は、できるだけ避けるようにしている。こいつと会ってしまうと何と言うか、大宇宙の大海原からしみったれたこの地表に、自分がぐいっと引き戻されてしまいそうな不安を感じて落ち着かなくなる。
「やっぱり村を出るの?」
またその話か。正直うんざりだ。こんな何も無い村に残ったって、培養技師にでもなって結婚して毎日何事もない平穏な日々を過ごすだけだ。そんなつまらない一生なんてゴメンだ。
「大学に行けば、宇宙の研究ができるからね」
「宇宙なんてなんにも無いじゃない」
「こんな村の方がなんにも無いさ」と言って目を背ける。
流れる沈黙。静かに怒り狂っているオーラが背後から感じられる。
「私、プロポーズされたわ」
今度は僕が言葉を失う番。
「……それはおめでとう」
「本気で言ってるの?」
こいつは一体僕に何を言わせたいんだろう。
その時、突然の地鳴り、轟音とともに僕の世界は崩れ去って行った。
「ありゃりゃ、またうまく行かなかったようだね」
「まぁ今回はVERY HARDモードだったからね」
「原住民を覗き見だなんて悪趣味なやつだなぁ」
「まあそう言うなって。一人ひとりの住人を覗けるのもこのゲームの売りの一つなんだから」
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