踊る阿呆に、わたしはなる!~バルバロス1年生が刻む《サンバの「サ」》#1
初詣に始まって、三社祭、花火大会、酉の市と、年中イベントでにぎわう浅草。その中でもひときわ異彩を放つのが、真夏に行われる「浅草サンバカーニバル」です。
浅草に住んで10年、楽器を始めて25年、お祭り始めて35年(!)になるわたしにとって、なんとも心躍るイベントではありませんか。
キラッキラの衣装で舞い踊るお姉さんたち、そして心臓を直接打ってくるような激しいリズム。地響きのような音の渦に包み込まれる感覚が刺激的で、いつしか毎年、最も盛り上がるフィニッシュエリア(のちにそれが「バテリア溜まり」と呼ばれていることを知る)で陣取るようになっていました。
足を運ぶうちに、サンバカーニバルがどうやらコンテストであるらしいこと、毎年のように優勝している強豪チームがあるということを知りました。
その名は「仲見世バルバロス」。
地元のチームらしいと察して親しみを感じましたが、それだけではありません。サンバがどんなものかわからなくても、全体から伝わってくるエネルギー、音の圧のようなものがあきらかに他とは違うのです。当時はなんとなくの感覚でしたが、今となってはそれが正しかったことを確信しています。
それ以来、勝手にバルバロスを応援するギャラリーの一人でした。
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2023年、例年ならカーニバル本番の日である8月最終週に、近くの商店街でバルバロスのパフォーマンスがあることを偶然知りました。9月の浅草サンバカーニバル当日に予定があったわたしは、「どうしても見たいから!」と友人を連れていそいそと向かいました。
登場したのは、バルバロスとリベルダージという2つのサンバチーム。青とオレンジの旗を鮮やかになびかせながら、楽器隊が力強く楽器を打ち鳴らし、ダンサーが軽やかにステップを踏み、沿道を熱気に包み込んでいきます。
浅草サンバカーニバルよりも近くで演者の皆さんを見ることができて、初めて聞く曲ばかりなのに自然と体が動く、笑顔になる……!手にした缶チューハイも進みます。
あーもう、なんだよこれ!やりたいよ!
そっち側にいきたいよ!
いつの間にかそんな気持ちになっていました。
酔った勢いでメンバーに話しかけ、「興味あるんです……」と言ってみると、ぜひぜひ、ウェルカム、いつでも募集中とのこと。ホームページがあるのでそこから体験申し込みしてね!って、案内もてきぱき。は、入れるの……?
それから数日経っても「サンバやりたい!入りたい!」という熱は冷めることなく、わたしの重心はじりじりとバルバロスに寄っていきました。たぶん、千束で見た瞬間から、心では決めていたんだと思います。今にして思えばあれは〈感電〉だったのかもしれません。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損」
……いい言葉じゃないですか。
これはやるべき。やんなきゃだめだ。
冷めない興奮と謎の使命感に押されて、バルバロスの門を叩いたのでした。
写真は、2023年8月27日、千束通りで感電しているわたし。
恥ずかしいけど、こういう人が増えてくれたらいいな!と思い小さく載せておきます。
文・写真/アイリス(2023年11月入会)