Pカップという名のeスポーツについて
以上がeスポーツの定義である。
アイドルマスターシャイニーカラーズが提供するプロデューサーズカップ(以下「Pカップ」という。)は、電子機器を用いて行う対戦であることは自明であるため、これが「スポーツ」に当たるか否かを論じる。
この点、スポーツ基本法によれば、スポーツは、「心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動」を指すという。
これらを分解すると、以下のとおりとなる。
① 心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等を目的とすること
② 個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であること
Pカップは、
任意のアイドルの特定の順位を目標とし、それを達成することで、精神的な充足感を獲得できる(①に該当)。
また、iPadやPCを高速で連打する身体的な活動を伴う(②に該当)。
以上から、Pカップはeスポーツといえる。
競技シーンとしてのPカップ
Pカップの公式大会としては、バレンタインから5thの計10回開催されている。これらに賞金はなく、得られるのは称号と僅かばかりのゲーム内報酬に留まるので、Pカップにプロプレイヤーは存在しない。よって、基本的にはアマチュアの大会であるオリンピックに近い競技シーンといえる。
ただし、過去にはPカップ称号を元にデータの価値を高めてアカウントを売却する名誉Pカッパーがいた。一説によると1位称号1つ10万円で売却できるとされているので、金銭報酬を目的とするプロPカッパーも既に存在している可能性はある。
もっとも、アカウントの売却益だけで生活を営む専業Pカッパーは確認されていないので、純粋な意味でのプロPカッパーは未だ誕生していないものと思われる。また、Pカッパーを支援するスポンサーとして名乗りを上げた企業・団体も現時点では見られない。
今後、プロPカッパーを産み育てていくためには、賞金を獲得できる公認Pカップ大会の開催が不可欠である。他方で、enza利用規約第9条「禁止事項」の営利行為等に該当し得るアカウント売買に対しては厳しく取り締まるのが競技の健全化に繋がるものと考える。
Pカップの競技性について
Pカップを賞レース化する際の課題としては、その競技性が挙げられる。
Pカップの競技性は、もうボロボロである。
これは2020年頃にはすでに識者から指摘されていた。いわゆる走法問題である。
走法問題については、3つの解決方法が考えられる。
1.走法禁止
いたってシンプルに、走法を禁止すれば走法使用の有無の差は生じなくなる。方法としては、オーディション中30秒以内に3回アクセスを検知した際に発生するプロデュースのロック時間を現在の5分から1日に変更すること等が考えられる。
しかし、上位Pカッパーの中には走法を使用しつつ1度もロックにかからず走り抜ける猛者もいるので完全な対策は難しい。
更新1回でロックにかかるようにすれば走法禁止を実現できるが、ブラウザゲームにもかかわらず更新不可とするのは利便性を著しく損なう上にフリーズが生じた際に詰むので現実的ではない。
いっそのことenzaを終わらせてアプリ版のみでサービスを展開すればよいとも思われるが、独自プラットフォームでのサービス展開を選択したにもかかわらずPカップの競技性を保つためにその個性を捨てるのは本末転倒である。
そもそもアプリ版はあくまでenza版の内容をアプリにトレースしているだけなのでenzaがなくなればアプリ版もなくなると考えられる。
以上から、ブラウザゲームである以上、完全な走法禁止は困難であると結論付けられる。
2.走法解禁
前項とは反対に、走法を公式が認め、積極的にアナウンスして競技のレギュレーションに落とし込むことが考えられる。
走法の公認化による懸念点としてはサーバーへの負荷が挙げられるが、シャイニーカラーズは600万人のユーザーを抱えるほどの人気タイトルであり、サーバー強化のための予算は用意できると考えられる。
無論、600万人が走法を使い続ければ負担は過大になるものの、現状Pカップ人口はそこまで多くないので、参加者全員が走法を使用しても大きな問題にはならないのではないかと思われる。
3.現状維持
ロックもある種のレギュレーションであり競技性の一環を成しているとして現環境を肯定することも選択肢として挙げられる。
ただし、走法使用がグレーである以上、競技性という観点からは問題があると言わざるを得ない。今後Pカップがeスポーツとして成長していくためには、やはりこの点をクリアにしておく必要があるのではないかと考える。
結びに
本記事では、Pカップのeスポーツ該当性から、eスポーツとして成長していくための課題につき述べた。本記事がPカップという名のeスポーツの発展に少しでも寄与することを願う。
なお、本記事の内容につき筆者は一切の責任を負う気はなく、負いたくないと願う。誹謗中傷に対しては法的措置を採る可能性につき言及するが、実際に法的措置を採る可能性はない。
以上
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