俺は冬優子に生きて欲しい。〜シャニソン公式で冬優子が「ふゆミーム」と書かれたことについて〜[シャニマス]
2021年2月。BRUTUSの紹介文で冬優子は「腹黒でオタサーの姫」と誤って紹介されました。あれから3年。
大好きな冬優子の名誉を傷つけられ、私は本気で怒っています。汚い言葉でキレ散らかすのではなく、理性を持って文章で抗議します。アイドルマスターシャイニーカラーズSong for Prism(以下シャニソン)について詳しくない人にも知っていただきたいです。そして何より、今回の事件で私と同じく傷ついた人に届けたいと思います。
俺は、冬優子に生きて欲しい。
筆者について
はい。
まず最初に謝罪しておきます。
私はあの伝説のnote「俺は冬優子に生きて欲しい。〜BRUTUSで冬優子が「腹黒、オタサーの姫」と書かれたことについて〜[シャニマス]」の筆者ではありません。
釣られてしまった人には申し訳ない気持ちです!!
今回のふゆミームで筆者の月虹さん(辛辣ちゃん)がどのような気持ちを抱いているのかは非常に気になるところではありますが、もう鍵垢にして長いので現在どのように過ごしているかはわかりません。
そこで、実質的に人様の看板を使って語ることとなり恐縮ではありますが、せっかくなので単なるネタ記事で終わりにするのではなく「ふゆミーム」についてしっかり真面目に考えていきたいと思います。
まず私個人としては、基本的に運営がクソムーブしたときは悪口が止まらなくなるタイプではありますが、今回の件ではあまり嫌悪感を抱きませんでした。
似たようなミームとしてAI樋口円香はもちろん、ノムリッシュ福丸や学歴厨霧子などのネタbot系も好みではないのでブロックしておりますが、ふゆミームに対しては「もう旬が過ぎた猫ミームに企業が乗っかるのはクソ寒いしダサいな……」という抽象的な批判感情はあるものの「冬優子をオモチャにするな!!!」という具体的な嫌悪感情まではあまり湧いてこなかった。
この感情の違いを起点に、以下で考えを掘り下げていこうと思います。
「黛冬優子」を「消費」する
ふゆミームを論ずるにあたり、まず黛冬優子の立場を固めておく必要があります。すなわち、黛冬優子を意思のない架空のキャラクターとして扱うか、または現実を生きるアイドルとして扱うかという論点です。
もちろん本来的にはキャラクターに過ぎないので実在人物と全く同等に扱うことは非実在青少年の人権云々みたいな話になり非現実的な結論に向かってしまいます。
他方で、ここまで実在性!実在性!とやかましいシャニマスにおいて「単なるキャラなんだから好き勝手してもいいだろ!」という短気な結論を出してしまうのも少し乱暴に思えます。
この点、現在のオタク文化圏において、キャラクターを大切に扱うことは非常に重要視されているように思います。
実写化における原作改変がたびたび問題になったり、エアプ二次創作が叩かれたりするのも主に作品やキャラクターを蔑ろにしている点が批判されているものと見受けられます。
また、アイマスにおいては、運営が我々のようなスマホをポチポチしているだけの人間を「プロデューサー」と呼び、歌って踊る電子データを「アイドル」と呼ぶロールプレイ(ごっこ遊び)を求めている以上、そのルールはゲームを離れた広告のシーンであっても維持するのが筋ではないかと思います。
広告は別!新規獲得のためにキャッチーさに振り切るべき!という意見もあるとは思いますが、宣伝が自己PRである以上、作品と全く切り離してよいとはならないと思われます。
よって、シャニマスのアイドルについて、運営は完全に実在人物のような取り扱いをする義務までは負わないものの、一人のアイドルとして、実在人物に準じて丁重に取り扱う道理があるのではないかと考えます。
そして、実在人物をモノとして「消費」することは基本的に無礼な行いであると議論されているように、黛冬優子についても、GB素材を提供して切り貼り可能なオモチャとして世間に配布することは、まさしくアイドルをモノとして「消費」することを促している行為に該当し、批判の対象となる可能性が生じます。
「BB先輩劇場」との類似性
はい。
今回この話を論ずるにあたって避けては通れない議題だと思います。
述べてきたとおりに黛冬優子を実在人物に準じる存在として取り扱うべきとした場合、ふゆミームは猫ミームよりBB先輩劇場の方が性質として近いということがわかります。
猫ミームで切り貼りされているのはあくまで人権も名誉感情も持たない動物であり、少なくとも法律上は人形やぬいぐるみと変わらないモノとして扱われております。よって、飼い主や撮影者との間で権利問題が生じる可能性はあるものの実在人物をオモチャとすることに比べたらあまり「消費」することが問題視されることはないのではないかと思います。
他方、BB先輩劇場は野獣先輩を始めとしたタレント達に無断で好き勝手にBB素材化し、それを切り貼りして遊んでいるので、これは本来批判されるべき消費活動に該当するものと考えられます。
もうなんか長いことミームとして存在し続けており最近は中国にも輸出されて感覚が麻痺してきてはいるものの、原理原則に立ち返ったらタレント達の様々な権利を無視し名誉や尊厳を蔑ろにする行為であると叩かれてもおかしくない現象ではあると思います。
そして、ふゆミームは、黛冬優子という実在人物に準じて取り扱うべき存在をオモチャとして消費することになるので、これは黛冬優子の名誉や尊厳を蔑ろにすることになるのではないかという論が成り立ちます。
……なんかBB先輩劇場を例に出すと説得力がイマイチ出ませんが、シンプルにまとめると実在人物を勝手にコラ画像にして遊んじゃいけないから、冬優子をコラ画像にするのもダメじゃね?っていう話です。
「青木志貴クソコラグランプリ」との類似性
以上のとおり、ふゆミームには黛冬優子を消費するという点で問題があるのではないかということを論じてきました。
他方で、今回のふゆミームは消費者側から自然発生したミームではなく、シャニソン公式が積極的にGB素材を提供しているという特殊性があることに留意する必要があります。
すなわち、猫ミームやBB先輩劇場とは異なり、本人の許諾の元に実施されているということです。
これと似たような事象として、「青木志貴クソコラグランプリ」を挙げることができます。
青木志貴クソコラグランプリとは、アイドルマスターシンデレラガールズ二宮飛鳥役の声優である青木志貴さんがLIVE後に開催する謎の祭りです。
発祥自体は青木さんの自撮りを元にその辺のオタクが勝手に作ったコラ画像だったと思いますが、青木さんが面白がって自らコラ素材を提供するようになり、ミームになったと記憶しております。
こちらは青木志貴さんをオモチャにして遊ぶという「消費」の側面があるものの、本人が進んで素材を提供しているため、名誉や尊厳を蔑ろにしているという問題点が緩和されるという特殊性があります(もちろん度が過ぎたネタはアウトですが。)。
ふゆミームについても、「黛冬優子さんのCM撮影でのNGテイクを公開!」「色々な表情が詰まった動画を公開します!」という形で、黛冬優子のCM撮影の仕事の一貫として公表されているので、黛冬優子の許諾を得て開催されているお祭りと捉えることが可能です。
実際、ふゆミーム賛成派の意見としては「(冬優子が内心どう思っているかは別として)冬優子ならこの仕事を受けるだろう」というものが多く挙げられており、この観点から「ふゆミームを否定することは逆にアイドル黛冬優子をナメている」と反対派を批判している人もいます。
確かに、アイドルという仕事自体、人間をコンテンツとして消費する側面があると思います。
握手する権利をCD特典にすることで何枚も積ませるといった悪どい商売だけでなく、ステージに立ち歌って踊るという行為それ自体が観客との間で生産と消費の関係が成り立つので、アイドル活動を行っている以上は消費されることを批判すること自体が誤っているという論にも説得力があるように思えます。
ふゆミームを否定することはアイドルという仕事を否定している!とまで言うと言い過ぎ感がありますが、ふゆミームが滑ってるとか薄ら寒いという問題はありつつも、ちょっとズレたCM業界のお偉いさんから受けた案件と考えたら冬優子が受け入れそうというのは個人的にも納得できます。
私がふゆミームにそこまで嫌悪感を抱かなかったのもこの部分が大きかったんだと思います。
シャニソン公式の役割とは
じゃあふゆミーム問題ないな!という結論になるかというと、そうとは限りません。ここでもう一つ掘り下げておく必要がある話があります。
それは、ふゆミームを提供しているのがシャニソン公式であるという点です。
思うに、ふゆミームが現実の出来事ではなくシャニマス世界の出来事とした場合、例えば上述したようにちょっとズレたCM業界のお偉いさんから変な依頼がきたというコミュであれば冬優子はこの仕事をしっかりこなすだろうと考えます。
しかし、今回はコミュではなく現実世界の話であり、案件を持ってきたのはちょっとズレたCM業界のお偉いさんではなく「シャニソン公式」です。
シャニソン公式の役割は、シャニソンの広告だけではありません。
シャニマスのキャラクターを取り扱う創造主であり、だからこそキャラクターを大切に扱う責任があるものと考えられます。
もちろん、創造主である以上キャラクターに対する姿勢については作者の一存で決めることはできますが、少なくともシャニマス運営はアイドルの実在性を大切にし、アイドルを丁重に扱うというスタンスで今まで運営を続けてきております。
そうであるならば、シャニソン公式が自ら進んで黛冬優子をオモチャとすることを推奨するGB素材を配布することは、今までのキャラクターに対する誠実さとは矛盾する行いではないでしょうか。
このnoteの元ネタであるBRUTUSのコメントに対する運営の態度や、以前めっちゃ叩かれたTwitter広告についても、アイドルを蔑ろにしているという点が問題となっておりました。
そうであるならば、ふゆミームというオモチャの提供は、アイドルを守るべきシャニソン公式が自ら進んで実施すべきではなかったと考えられます。
まして、GB素材提供により様々な消費者によって黛冬優子がぞんざいに扱われる危険性を孕むものとなり、それらに対して運営がお墨付きを与えていることになってしまうので、そのようなリスク管理の観点からも非常に悪手だったのではないかと思います。
まとめ
以上から、私の結論としては、「コミュ内で冬優子にこの仕事がきたら受けるだろうけどシャニソン公式がこの悪ふざけをやっちゃうのは違うだろ!」というものとなりました。
もっとも、シャニソンの初動が弱く、炎上商法気味であってもとにかくバズる必要があったという点についても理解しております。
そして、ふゆミームが日本のトレンドに載り、良くも悪くも多くの人間に認知されることになったので、広告としての効果は「当たっている」と言わざるを得ません。
我々「消費者」としては、せいぜいTwitterやnoteであーだこーだ言うことぐらいしか出来ることはありませんが、ここの運営はご意見やお問い合わせよりTwitter炎上の方が素早く行動するので、ふゆミームが嫌ならいっぱい燃やして自粛や反省を促しましょう。
以上です!
本当はオチにふゆミームを批判するふゆミーム動画を載せて終わろうとしましたが面倒臭くなりました。おしまい。
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