【綿町ダイアリー】#41 パートナーからのダメ出し
2022年9月10日。
綿町カフェオープン3日前。
満を持して、ブライダルでの一番のパートナーであるメイクアップアーティストのTちゃんが大阪からやってきた。
大御所は最後に登場である。
Tちゃんは入ってくるなり店内をぐるりと見渡し、ズバズバと僕に指摘をし始めた。
「このJAZZコーナー要らない。カメラのコーナーも要らないかな。」
「そうか。僕もそのあたり悩みながら置いてたからなぁ。じゃ、何置けばいい?」
「カフェなんだから、奇をてらわず素直に珈琲関係のアイテム置けばいいと思いますよ」
「なるほど。例えば?」
「珈琲の器具とか、豆とかかな。何にせよ中道さんの世界は要らないですよ(笑)」
「確かに!それがシンプルでいいかもね(笑)」
「それからブライダル系の写真も無い方がいいと思います。ここはブライダルカフェなんだけど、見た目はカフェだけの方が絶対スッキリしますよ!」
Tちゃんが来て数分。
僕がここ1ヶ月悩んでた事が嘘のように解消されていく。
さらにTちゃんは心臓部までグサリと矢を放ってきた。僕が珈琲を淹れるカウンターの横に飾ってあるスウィートブライドのB1の大きなポスターも、「要らないんじゃない?」と。
これは10年前、スウィートブライド設立時に広告用にモデル撮影したもので、僕にとっては想い出深い大切なポスター。もちろんこの時のヘアメイクはTちゃんだ。
『素顔のままで。ずっと、あなたと。』
当時のスウィートブライドのキャッチコピーも、しっかり入っている。
(これはさすがに置いておきたい)
僕はそこだけはTちゃんの提案を受けいれず、自分の想いを通す事にした。
Tちゃんは、僕がここにブライダルプロデュースの店を構えた10年前から、ここでカフェを併設する事を提案してくれていた。
だから、今回ようやくそれが叶ったという事で、「面白くなりそうだね!」と2人で未来を語り合った。
Tちゃんが帰った後、僕は明日のレストランウェディングの準備に入った。
明日は結婚式だからカフェの準備の事は何もできない。綿町カフェの最終準備ができるのは、オープン前日の12日だけ。果たしてTちゃんの提案通りの店内レイアウトに変えれるだろうか。
こんな5坪ほどの小さな店でも、開店に至るまでバタバタなのである。