西側アーチ撤去顛末記②
工事契約への道のり
補助金事業は、交付決定からが本番。
工事費が100万円を超える事業のため、まずは工事会社3社に、仕様書に則り見積を提出して頂き、商店会役員による業者選定会議を開催して、そこで工事会社を決定し、選定会議の議事録を残すところから。
この3社によるいわゆる相見積ですが、そもそも商店会は、工事会社と普段からおつきあいがあるわけではないので、3社に見積提出を依頼するのもひと苦労。
応募要綱に則り申請時に作成し提出した仕様書をもとに、設置当時(1997年度/平成9年度)の図面など手元にわずかに残っている過去の資料をひっくり返して資料作りを行うなど、見積を出してもらう前から準備に忙殺されました。
さらに、工事会社を市の担当部署の皆さんからご紹介頂き、現地調査を希望する会社には打合せも含めてその対応を行いました。
そして業者選定委員会は、商店会の役員会と同時開催し、役員の皆さんと協議の上、最低価格の工事会社を選定し、いよいよ契約の準備。
契約書は、東京都から、最新の「民間建設工事標準請負契約約款(甲)又は(乙)」もしくは、「民間( 七会 )連合協定工事請負契約約款又はそれに準じた内容の契約約款」を使用というお達しなので、工事会社と相談の上、「民間建設工事標準請負契約約款」で準備することに。
自分の仕事でも契約事がないわけではないので、契約書の読み込みは会長として最低限の責務ではあると思っていましたが、このレベルの書面だと、読んでも読んでも頭に入ってこないし、きつい作業でした。
しかも、中道通り商店会は任意団体のため、工事の契約は、会長個人(つまりボク)と工事会社が締結するカタチなので、何かあったらすべてボク個人の責任になるという流れ。
改めて責任の重さを痛感するとともに、会長職ってボランティアにも関わらず、ここまで責任持たなきゃいけないのねぇという気づきや、それならボクの代でこういう割りの悪い会長の職務は終わりにして、次の世代の方々には、もう少し軽い気持ちで商店会活動に参加できるような仕組みにしないとだめだなぁというような前向きな想いを錯綜させながら進めている状態でした。
工事会社との契約内容の調整が終わり、捺印できる状態になったら、この段階で一度東京都に契約書のチェックをお願いし、またまた提出した契約書類に対する疑義にひとつひとつ対応して契約書面の修正を行い、いよいよ契約となりました。交付決定から、約3か月半の月日が流れました。
工事は年明けから
工事は年明け1月16日から。
年末から、近隣住民の皆さんや会員店舗に工事の概要を説明し、お正月を迎えました。
普段なかなかお話しできる機会がない近隣の皆様とも、工事をきっかけにお話しすることができ、商店会に対するご意見も頂戴しながら顔の見える関係が少しでも築けるようになったことは、ありがたいことだと感じている次第です。
商店会内部での撤去の方向性の共有からはじまり、応急工事、補助金申請、工事契約、そして近隣への説明等、ここまででボクがやらなくてはならないことのやっと7割が終わった感じでした。
あとは無事工事が終わること、そしてこの事業の最後の山場である実施報告書の作成業務が滞りなく終われることを祈るばかりなり、でした。
工事雑感
工事は、サイン部分や照明器具を手作業で外してから、長い間に張り巡らせれた電線を傷つけないように上部から切断して行くという手間のかかる方法で行われました。
工事2日目には上部のサイン部分や照明器具がはずれ、骨組みだけに。その日のうちには、上部の骨組みも切断されて、残すは2本の柱のみとなりました。
工事3日目には柱も切断され、根元の基礎部分の撤去が始まりましたが、ここからが大変だったようです。工事会社の方の話では、道路から上の部分は見えているので、工事の計画も立てやすいのですが、地面の中は正直掘ってみないとわからないとのこと。
計画では、特殊な機械をつかって基礎部分に入った柱を抜き上げることを想定していたのですが、計画通りにはなかなか行かず時間と労力がかかったようです。
そして工事4日目には難儀していた基礎部分も撤去され、残すは道路と公園内の原状復帰のみとなりました。
基礎部分の撤去作業が予定よりも大幅にかかったことが影響し、原状復帰工事の日程が仕切り直しになってしまったこともあり、最終的には2月3日に工事が完了しました。
実施報告はキモ中の肝
工事が無事終わり、工事会社への支払いが完了したら、いよいよ実施報告に関する書類の提出です。申請時と同様に様々な書面の準備からスタート。以下がそのリストです。
【実施報告書類】(指定書式)
①実績報告書(様式第5) ②別紙 ③事業費経費別明細
【口座情報登録書類】(指定書式)
④支払金口座情報登録依頼書
【添付書類】
⑤業者選定委員会の議事録(写) ⑥仕様書(見積依頼書)(写)
⑦見積書(写) ⑧見積り業者が競争入札参加資格者であることを証明する書類(写) ⑨契約書又は請書(写) ⑩工事完了届又は納品書(写)
⑪検査書(写) ⑫引渡書(写) ⑬行政機関の検査証(建築等)(写)
⑭施工写真(原本) ⑮請求書(写) ⑯領収書(写) ⑰口座振込受付書控え(写) ⑱預金通帳(写) ⑲備品台帳(写) ⑳固定資産台帳(写)
とにかく粛々と要項に沿って書類を用意し、2月末までに何とか東京都に提出することができました。
実施報告に関する書類は、その後東京都の職員の方に隅から隅までご確認頂き、記入ミスや修正点があるところは申請時同様、疑義照会に対応し、最終的には、3月中旬に東京都の職員の方に商店会事務所へお訪ね頂き、対面での書類審査と現地調査で現場を確認頂き、無事2024年3月29日に、補助金の交付確定が出ました。
事業を終えて
柱の腐食に起因した今回の西側アーチの撤去事業を進める中で、ボク個人が商店会長として感じたこと、商店会の会員の声や、近隣にお住いの方々からの声も含めて聞こえて来たことを記しておこうと思います。
近隣の皆様から
まずは、多くの方から安心したという声を頂きました。
竣工後25年が経過し、風雨にさらされることで老朽化が顕著になり、さらに柱の根元の腐食が目立ち始めたここ5年は、厳しいお声を頂くこともまれにあったのも事実ですから、多くの方々に不安な想いをさせてしまっていたことには、本当に申し訳なく思いました。計画から2年半あまり時間がかかりましたが、防災面での課題をひとつクリアできたことは、商店会としても肩の荷の小さなひとつがおりた気がします。
商店会会員から
商店会の会員からは、中道通り商店会のシンボルがなくなったのは寂しい。特に吉祥寺駅の方から歩いて来て、商店街がどこまで続いているのか、その道しるべがなくなったのは、中道通りの奥までお客様を呼び込むという商店会の意向に反しているとの声も。
確かにそうかもしれませんが、街路灯という商店にとっても地域住民の皆様にとっても大切で、安心安全のためのインフラをしっかり維持管理することで、会員から指摘されたその役割は果たせるのではないかと思います。
商店会の会長として感じたこと
この事業を通して、ボクの中で様々な想いが錯綜しながら前に進めて来たことは前にも書きましたが、その想いを書きはじめるとまだまだ長い文章になりそうなので、想いは次の項で。
ここまでお読み頂きありがとうございました。