新入生の方へ②:春休みの過ごし方

少し前のnoteにて、大学について少しばかりイメージをもってもらうべく記事を執筆しました。今回は少し変わって、皆さんが入学される前の一か月間をいかに過ごすかというお話をしようと思います。


前提

まず念頭に置いてほしいことが、統一された正解はない、ということです。高校までは宿題が出て、それをこなしておいたり、先に備えて塾に通っておく等、大学入試に備えての勉強が至上命題とされる部分がありますが、大学では、就職活動は全て統一的な試験があって、そこの点数でおおよそが測られる訳ではありません。その代わりに、頑張っている人は、それぞれの道に進むべく日々邁進しているわけですね。つまり、高校時代の大学入試への勉強よろしくこれさえやっておけばオールオッケーはない、ということです。それを踏まえてお話をします。


別に頑張らなくてもいい

あなたは今日から4月に入るまで、寝て過ごしても良いということは覚えておいてください(入学前課題がある場合や、その他手続きがある場合を除く)。別に何もしなくてもいいです。課題は出ていませんので、好きな音楽を聴いたり、美術展に出かけたり、タケノコを掘りに行ったって一向にかまいません。しかし、一か月以上のお休みを、一日二日の休みと同じ風に過ごすには、少々長すぎると言えます。

そして、入学までの間にすることを決めているひとは、この記事を読む必要はありません。代わりにぼくの旅行の記事でも読んでください。


例えば、海外旅行に行きたくて、チケットも取っちゃったとか、免許取るの大変らしいから卒業して免許合宿にとりあえず行くとか、毎年この季節は親戚の集まりがあって、とかで既にやることを決めている人にとって、この記事は、逆にあなたの可能性を狭める可能性すらあります。反対に、春休みの間どう過ごせばいいかよくわからないという人のために、この記事でいくつかアイデアを挙げてみようと思います。でも、その前に……

唯一のすべきこと

全学生に、これだけはやるべき、と言えることが一つだけあります。知り合いを作っておくことです。大学は何かと手続きが多いです。例えば、最初にはTOEICの受験や、学生証の発行、サークル探しなど。忘れてしまいましたが、入学当初は本当にやることが多かったと記憶しています。加えて、高校みたいに勝手にスケジュールが組まれて、それを受けさえすればいい訳ではないのです。あなたは履修(授業スケジュール)を自分で組まないといけません。その際に、どうしても情報の見落としが発生します。申し訳ないのですが、一人で情報収集をしている限り、どこかしらで事故は起きます。それくらい膨大な量の情報が降りかかってくるということです。その情報を一人だけではなくて、少なくとも数人以上で受け止めて、お互いに足りない情報を埋めていった方が、結果として自分も毎回血眼になってメモを取らなくて済みますし、広くアンテナを張ることができます。

例えば、自分が休学を考えていた時、既に9月でしたので、もう前期の成績はないだろうな、GPA0.000付くんだろうなと諦めていたのですが、友達にひとり休学を考えていた人がいて、その人と話したときに、「まだ前期だから、休学間に合うよ」と言われて、ぼくは一命を取り留めました。


アイデア1:ビンジ・ウォッチングをする

ビンジ・ウォッチング(binge watching)とは、要は一気見のことです。なぜ、このようなことを一番に薦めたのか?自己紹介をするときに、喋る材料が出来るので、格段に人と話しやすくなるから(+ほかの趣味に比べてより一般的だから)です。友達作りは、先にも記したように大学生活上極めて重要な位置を占めますが、これを大いに助けてくれるのが、「語れる趣味」の存在です。今日には、NetflixやAmazon Primeなど、様々なVODサービスがありますが、このほかにもオンデマンドで出来ることはいっぱいあります。例えば大作のRPGをプレイするなどです。時間の制限なしに、心行くまでゲームができるとい時間は、ゲーマーにとってはフィーバーですし、それで1か月を過ごしても、そのゲームのことを知っている人が話に乗ってくれるということはよくあります。ただし、マイナーなコンテンツについては、根気よく同志を探し続ける努力が必要ですし、たまに大学の垣根を超える度胸も必要ですが、自分が本当に好きなものは、それを追い求めるだけの価値があります。また、時には、他人を自分の世界に引き込む力も重要です。

先はゲームを引き合いに出しましたが、他にも洋画だったり、ドラマにハマる、等もありです。とりあえず何かしらのコンテンツに夢中になっておけば、だれかが食いついてくれる可能性が大きく上がります。こういった趣味は一日二日の休みの時にもできはしますが、だからこそ、自分の好きなものであったら一日二日では消化しきれない大きなコンテンツに足を踏み入れてみると、浅瀬では見つけられなかった発見や、そこからの視座に立つこともできると思います。もしくは、様々なコンテンツに触れることで、自身の視野を広げることもできるでしょう。


アイデア2:下宿先・目白周辺を散歩してみる

これは一人暮らしの方にぜひおすすめしたいのですが、家(候補地か、契約した場所)の周りを一時間くらいとって歩き回ってみてください。スーパーはありますか?ちゃんと生活用品はそろいそうですか?文房具はどこで買えますか?目白駅までどうやっていけますか?安く服が買える場所は近くにありますか?もしかしたら、近くに面白い雑貨屋さんとか、古着屋さんがあるかもしれません。大学生活とは銘打っていますが、少なからず下宿先の近所にはお世話になるので、近くにどういうお店があるかは把握しておいたほうがイメージがついてより良いと思います。もしかしたら日本最高峰のレベルを誇るお店が、家から歩いて数分、なんてことがあるかもしれませんね。また、実家から通学されるのであれば、目白周辺(~池袋or高田馬場)を歩き回っておくと、サークルや演習系講義でお食事会の幹事を任されたときに苦労しませんし、友達と大学周辺でランチなんて時にも洒落たお店に案内できるでしょう。ご飯の選択肢は多いに越したことはありません。


アイデア3:高校の友達と遊ぶ

特に一人暮らしの人に散見されるケースなのですが、年末年始も帰省せず、大学にコミットしすぎて高校以前の友達と疎遠になってしまうという場合があります。新たな出会いに思いをはせるのはいいことですが、高校以前の友達も大事な人間関係です。もし浪人する友達だったり、辺境の大学に進学する友達等いれば、壮行会とでも称して盛大に焼肉にでも行ってください。もしかしたら、地元の大学に進学する友人が大半で、あなたがマイノリティだった場合は、あなたが壮行会のゲストになるかもしれませんね。

また、タイトルとは少し違いますが、高校の恩師にお礼を言っておくことも忘れずにした方がいいと思います。ここで恥ずかしくても言わないと、後々になってどんどん言うタイミングが無くなっていきます。お世話になった人や、尊敬していた人への挨拶はしておきましょう。


アイデア4:一人旅をする

1ヶ月の間、あなたは白紙の人間になります。一応肩書としては高校生(もしくは浪人生・社会人など)ではありますが、卒業してからはその作業に参加する必要はないので、自分のアイデンティティを問い直す旅に出てもいいでしょう。自分が高校生として、周りとの社会関係を築いてきた場所から抜け出して、まっさらな一人の人間として扱ってくれる場所に身を置くというのは、新鮮な気持ちにさせてくれると思います。そうでなくとも、いろんな場所に行けば地理にあかるくなって、旅行先の提案がしやすくなりますし、美しい景色にも出会えますし、旅行に行くときの計画立ても上手になります。もしかしたら、旅先で新たな人との出会いや、新たな世界との邂逅があるかもしれません。ぼくは旅先で変な陶器屋に入って店主のおじいさんと話をしたとき、「君は普通だ」と言われ雷に打たれたような気分になったことがあります。失礼なお年寄りだなあ、と思う人もいるかもしれませんが、当時ぼくもぼく自身のことを凡百な存在になってきたなあと思っていたので、図星だったんですね。まるで仙人と話したような気分でした。


アイデア5:服を買ってみたり髪を切ったりする

人は第一印象が大きく影響するというのはよく知られていることですが、高校性のころの私服を整理して、ファッションに目を向けるのも面白いと思います。一日の大部分を制服に身を包んで過ごしていた高校生時代と違い、学校に行くときも私服が基本なので、私服の重要性がより大きくなってきます。服なんて法律と寒さから身を守るための布だろくらいに思っている人を除けば、大学進学前というのは、一度自身の着る服について見直す良い機会になると思います。幸い、学習院大学には風紀委員会はありませんので、着たいものを着ればいいですし、ヘアスタイルもやりたいことをやってみてはいかがでしょうか。ツーブロック禁止の校則もありませんよ。また、ぼくはあまり詳しくはないのですが、メイク等について勉強するいい機会でもあると思います。少し一般化して書くと、自分自身を美しく見せるということについて学ぶチャンスだ、ということです。

ちなみに、ぼくは1年生当時夏に浴衣、ハロウィンには「ジョーカー」の仮装をして講義を受けたことがあるのですが、これは結構ウケました。


アイデア6:資格を勉強してみる

あまり自分が資格に通暁していないので、個別の検定について様々紹介するような内容は書けないのですが、政治学科の皆さんであればまずTOEICは取って損はしませんし、基礎講義内にて時事検定の取得を推奨されます。もし、あなたが「今までのアイデアはそこまでピンとこないし、ずっと勉強しかしてこなかったからよくわからない」とか、もしくは「入学前に猛勉強して大学入学時点でめちゃくちゃ差をつけたい」とかであればこれに沿って考えればいいと思います。TOEICについて話せば、まず入学時にTOEICの試験を受け、そのスコアを基に英語のクラス分けがなされますので、一年生時点でよりハイレベルな講義を望むのであれば勉強をしておくとよいと思います。(ただし、中途半端な実力で難度の高いクラスに放り込まれ、ついてこれず、落単する場合もあります)そして、英語は必修ですので、これを勉強しておくのは事実上大学のテスト対策になる……と言い得ます。ただし、目的のない勉強はダレると思いますので、やるのであれば明確な意志と目的を持ってやってください。(例:大学でより高いクラスに入るため、TOEICスコア500目指す)なんとなく、「大学の英語の授業を楽にするために、とりあえず単語を一日何語か決めずにやってみる」等するのは、これで本当に成果を出してきた場合を除き、あまりよくないかもしれません。なお、留学を目的にするのであれば、先に国際センター(中央教育研究棟2階)に行って留学先大学情報を入手して、それに対応した英語の試験の勉強を進める方が良いと思います。(TOEFL、IELTS、ケンブリッジ英検等)

※協定留学を考えている人は、国際センターボランティアへの参加を強く推奨します。過去の政治学科の先輩で、ここでの貢献を考慮して上位大学への協定留学を勝ち取った方がいるようです。

また、学習機関1カ月程度目安としてのメジャーな資格として、簿記3級があります。

こちらの教材で、2級・3級の教材を無料で配布していますので、まずは1コマでも受けてみてはいかがでしょうか。高校の勉強とは異なる新たな学習の扉を開くことが出来ますし、続かなかったとしても、こういう勉強は向いていないんだ、という気づきになります。


アイデア7:在校生の先輩に話しかけてみる

先取りして大学の勉強について知っておきたい、という新入生の皆さんもいらっしゃるかもしれません。その場合は、Twitterにわんさかいる新歓用アカウントか、ないし同じ学科の先輩と思わしき人にメッセージを送ってみましょう。(通例、入学前にTwitterでサークルの情報発信や大学の知り合いを作っておいて、instagramを交換し、入学後交流の場をLINEやinstagramに移す)サークルのアカウントであればまず間違いなく応対してくれますし、毎年の通例から履修相談もしていますので、対応する部員がある程度以上勉強していれば、お願いすれば平易な言葉で教科について説明してくれるかもしれません。ちなみに、ぼくは入ろうか悩んだ部活で、担当の先輩の説明がぱやぱや過ぎて入部を控えてしまったことがあります……(学科の勉強と部活における技能は必ずしも相関しませんが、そこが勉強会系の団体を名乗っていたためです)。政治学科にしても、ぼく以外にもいっぱい先輩はいます。

これは大事なので、これを実行しようとしている人に是非覚えておいてほしいことなのですが、いろいろな人から話を聞いてください。例えば、ダンスサークルに入ろうかなぁと思って部のTwitterアカウントに連絡したとして、その人は本当にダンスが好きかもしれませんが、もしかしたら中の部員は違うことを思っているかもしれません。別の例を出すと、ぼくのnoteもこのように長文で、あたかも網羅的に書いているように見えるかもしれませんが、全くそんなことはありません。自分も受けていない講義はいっぱいありますし、前の記事で、卒業するだけなら政治学科は簡単だ、と書きましたが、おそらく学科の勉強に全くモチベーションが出ず教授に単位を乞うている人もいると思います。ハンバーグとか、カレーだって嫌いな人がいるんですから、完全なんてないんです。情報は多角的に集めてください

ちなみに、一人で頑張って勉強してみるのもいい事ではあると思うのですが、先輩に相談する方が、より研究の主流に沿った本や、整理を提示してくれるものと思います。教授はその道のプロなので、たかだか生まれて、十数年とか二十年のあなたやぼく達と比べて、学問に人生をささげて数十年のキャリアを持つ人の紹介する本だと意味合いが違いますよね。そして、勉強している人であれば、教授から紹介された本も少しは読んでいますから、それを紹介することはできるでしょう。こういう話が出来る人と巡り合えるかは話しかけた人数と運次第です。

また、ツイッターで #春から学習院  等のタグをつけて、サークルへの勧誘をするツイートも多く見られますが、こういったサークルの数は高校の比ではないので、サークルを見て回っていけば、どこかしらにやりたいことが見つかると思います(入らない人もいます)。あるいは、入部してから趣味が楽しくなってくる場合もありますし、むろん、学生生活についてのコンサルタント(案内)を行ってくれる団体もあります。こういう面からも大学生活を構想することができるでしょう。なお、必ずしも大学内が全てと思わなくても良くて、例えば同期には社会人のスポーツサークルに所属していた人もいました。ただし、情報は多角的に集めてください

注意:前回にも書きましたが、ぼくは、自身の参加していた部活を含め、記事・DMでの個別履修相談において、いかなるサークルについての案内やキャンセルを行いません。もしこの場で書くことがあったら自伝として書きますし、SNSにいる新歓アカウントのように、知ってもらって、入部してもらうこと(もしくはその逆)を目的とする情報やメッセージはできるだけ排除して記事にします。特に、この、新入生に読んでもらおうとして書いているものの中に、特定のサークルへ勧誘する旨がないのは、自分の伝えたいことと、サークルは一切関係が無いからです。


アイデア8:(一人暮らし)暮らす練習をする

一人暮らしを予定している新入生にお勧めなのですが、お米の炊き方と炒め物は作れるようになると、経済的に楽になると思います。一人暮らしでは、ご飯は基本的に自分で用意しないといけません。経済的に余裕があればずっと外食する、とか、コンビニごはん、とかで事をすますのも良いのですが(現に、2年以上にわたって毎日すき屋で食事をしている人もいます)、しかし料理が出来て損をした、というケースは一切聞いたことがないです。その中で、自炊をするときに一番基礎なのは炒め物だと思います(個人の感想です)。大概のものは焼けば食べれます。そこから洒落た料理とか、何ならお菓子作り等にもチャレンジしてみてください。

そして、洗濯や掃除、例えばシンク掃除やごみ捨て、フィルター掃除、衣類を傷めない干し方…… 一人暮らし大学生の生活は、大学生としての生活もありますが一人で生きることも考えないといけないので、あらかじめ生活のノウハウを押さえておくと、そこに忙殺されず(もしくは、なおざりにならず)に済むと思います。


総括

今まで、8つのアイデアを挙げてきましたが、どれ(むろん、これ以外にも思いついたことがあったらやってみてください)をするにも重要と思うのが、明確な目的をもってすることかと思います。アイデア1・4・5は趣味に関連する部分ですので、好きでしていることでしたら一切止める理由がありませんが、そのほかは、こうしたい!という目的を明示してから始めると、より効果的ですし、目的に沿わない結果に終わっても、なぜそれがダメだったのかという原因分析と、軌道修正がやりやすくなります(例えば、雑然と専門書を読んで難しくて失敗した時と、「政治哲学について、先取りとまではいかないが世界的に有名な学者の思想くらいは触ってみたい」という目的を設定してから読んで、難しくて失敗した場合は、例えば「より平易な、その人について書かれた本を探す」という発想が出てくる)。

ぼくがこの記事を通じて、新入生に書きたいことは挑戦と軌道修正の反復をしてみよう、ということです。すごいポジティブな言い方をすれば、この1カ月、ミスしたとして、ほぼ一切のペナルティがありません。大学に一切関係がないですし、ほとんど始まってもいない、つまり誰もスタートラインにすら立っていないので、やるだけ自分が得なんです。だから、あなたが何をするかは自由ですし、あなたの責任をもって判断を任せます。

だから、是非自分がやりたいことをハッキリさせたり、それが出来たら、実際にちょっとやってみる等すればいいと思います。

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