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村田沙耶香作品『しろいろの街の、その骨の体温の』を読んで

前回に続いて、村田沙耶香作品の『しろいろの街の、その骨の体温の』を読んだ感想を書いていきます。
この作品は、少女の同性・異性との関係が思春期を経て変化していく様子が描かれています。

この本を読んで思った率直の感想は、主人公の少女の欲望が言動に素直に繋がるところが羨ましい。他人を自分の思うままにしたいという欲望。

『しろいろの街の、その骨の体温の』の主人公の少女は、学生間の人間関係の小説なので、欲望が純粋に表現されています。内容としては肉肉しい、性的な内容も含まれていますが、不思議と読んでいても厭らしさというものはありません。

『しろいろの街の、その骨の体温の』は主人公の女性を通して女性性が描かれています。
今は本書を読み終わって1ヶ月ぐらい経過していますが、ふと、本書の主人公が男女逆だったらどうだろうということを考えてしまいました。
男子の主人公が同年代の女子を自分の所有物にしたいと思ってしまうという設定ならどうだろうかという想像していました。
私はなんだか嫌悪感が出てきます。
『しろいろの街の、その骨の体温の』の少女をめぐる関係は、女性性を中心に描かれているから厭らしさがあまりないのかと自問自答していました。

私は村田沙耶香作品が大好きです。女性を表現した作品が好きです。でも、村田沙耶香作品を読めば読むほど、男性の欲望を表現した作品が暴力的で厭らしく感じてしまう自分自身の心の動きを自覚して、なんだか納得できません。

『しろいろの街の、その骨の体温の』の主人公の少女は、村田沙耶香作品で描かれることが多い、日常生活を送りながらも、どこか周りの人間の言動に違和感を感じているキャラクターです。でもそんな違和感を感じている男性も多いと思います。
『しろいろの街の、その骨の体温の』の主人公の少女に振り回される男子は素直なスポーツ少年です。そのスポーツ少年の教室の反対側にいるかもしれない(実際には描かれていなけれども)静かでシャイな男子はこの物語でどう振る舞うのだろうとふと思いました。

結局、私は『しろいろの街の、その骨の体温の』を通して、女性と男性の間に大きな隔たりがあるということに意識的になりました。きっと村田沙耶香さんの描きたかった内容とは違うメッセージを受け取ってしまっていると思います。

もしよければ、村田沙耶香作品を好きな方、『しろいろの街の、その骨の体温の』を読まれた方、ぜひ感想や他おすすめをコメントで教えてください。



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