見出し画像

とみおかアンバサダー活動② ~酒米栽培視察&農業体験~

富岡町で営農を再開し、酒米「さくら福姫」の栽培を開始した渡辺伸さんの農場とご自宅を訪問しました。(訪問日:12月7日) 

富岡町は2017年4月の避難指示解除後、東京農工大学と連携して最先端の技術と知見を導入して、先進的なオーガニック作物の生産に取り組んでいます。大学のデータによると営農を再開した面積は、2019年には水稲が16ヘクタール、野菜が1.6ヘクタール、ワイン用葡萄が27アール。2010年の水稲作付面積は563ヘクタール。震災前と比べるとさすがに圧倒的に少ないですが、それでもこれだけ先進的、野心的な取り組みが進んでいることに脱帽です。

渡辺さんの農場ではコンバインや米の乾燥機など、たくさんの先進的な農機具を活用して農業を行っています。一部の機器の価格をうかがいましたが、ここには書きません笑 徹底した除染の後に残留放射性物質がないかを確認するために、放射性物質が可視化できるカメラをドローンに搭載して飛ばし、くまなくチェックしたそうです。どこまでも徹底しています。

干してあったイネをトラクターに乗せて移動し、脱穀を行う農業体験もさせていただきました。最初は十数人のアンバサダーがトラクターにイネを積み、それを脱穀する場所まで渡辺さんが運転して往復していたのですが、「これだけ人がいるんだから持っていったほうが早いのでは?」という誰かの一言で、おのおのがイネをかついで持っていくことに。まさにコペルニクス的転回笑 あっと言う間に移動は完了しました。それを見た渡辺さんが、笑いながら口にした何気ない一言に、富岡町の現状が集約されているなあ、と思わずにはいられませんでした。

「やっぱ人力すげえなあ」

どれだけ優れた機器があっても、それを動かすのはやはり人。とにかく一人でも多くの人に来てもらいたい。住んでもらいたい。そのために今私がこうやって町を訪問させていただいているように、様々な取り組みが行われているのですね。

福島県の農業をめぐる私達「ソトモノ」の見解は、「三極化」してしまっていると私は考えています。二極化ではありません。三極化です。「いやまだ絶対危ないでしょ」派と「いやもう大丈夫だよ」派。そして大半が「どうだかわからないよね」という不可知論者。こういうフワッとした宗教論争が続いているのには、「知らせていないから」そして「知ろうとしないから」の二つの原因があると思います。どちらかと言うと後者が重い。

前者の主語はだいたい「マスコミが」でしょう。そして「マスコミが全く伝えてくれないからわからないんだ」となじる。そして「福島は何が正解だかわからないよね」とお茶を濁す。一部は妄想を膨らませて先鋭化する。でも私は思うんです。結局は受け手の問題ではないかと。どれだけ報道で福島の現状や、富岡町のこういった取り組みが報じられたとしても、受け手が知ろうとしなければ結果は同じなのでは、と。

現代は情報を「待つ」時代ではなく「手に入れる」時代です。気になればすぐに調べられます。信頼できる一次資料がネット上には山のように公開されています。そういう意味では情報の「受け手」という言葉は、もう存在しないのかもしれません。自分は「受け手」ではなく「取り手」「知り手」なのだと、脱穀を待つ美しいイネ達をながめながらあらためて思いました。「わからない」の大半は「わかろうとしていない」だけなのでしょうね。

夜は渡辺さんのご自宅で町の方々も含めた大宴会。楽しすぎて写真はほとんど撮っていません笑 そして、お土産で渡辺さんが作られた富岡産米「天のつぶ」をいただきました。海苔の名産地、千葉県船橋市の海苔とあわせてみました。甘さが強く食感がしっかりしたお米です。さくら福姫とあわせて、これからの富岡町の農業を担う存在になってほしいです。
渡辺さん、町の皆様、本当にありがとうございました!

#とみおかアンバサダー
#富岡町
#イノベびと

【初出:2019年12月19日/facebook, ブログ「N予備校 中久喜匠太郎の講師室」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?