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ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その1<準備編>

 これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。

 人物の固有名詞については一部ボカす部分もあるけど、店名などについては正確に記していきたいと思っています。更に、筆者の記憶違いや明確な意図によって一部事実と異なる部分がありますが、その点はご容赦ください。
 定年退職まで一月ちょっとのおじさんの、有給休暇消化中の身に起こった11日間の記録になります。では、どうぞ。

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 コロナ禍で動けない時期が長く続いた結果、北海道の自転車旅行も2020年9月に苫小牧から釧路に走った後は手つかずになっていました(この旅の詳細は「ダメおやじの北海道自転車旅」を参照ください)。そもそも、函館をスタートし北海道を一周するという目標で始めた旅です。再開のチャンスを探っている時間が長かったです。
 2024年に入りコロナ禍の状況も好転し、外飲みやら旅行やらが結構気ままにできるようになってきました。さらに個人的な事情でいえば、会社の定年退職の間際になり(その先再雇用してもらうつもりもなく)、有給休暇が大量に残っている事実。これはもう、長期間での自転車旅に絶好なコンディションと言えるでしょう。
 2024年6月、本州が梅雨入りするタイミングを見計らって梅雨のない北海道を自転車で走る——。計画立案を進めますか。
 そんな気になってはいるものの、ロードバイクをこのコロナ禍の期間ほとんど乗っていない事実もある。脚力の大幅な減少も危惧されるところ。自分自身かなり不安な心持ちでもあって、今回北海道を自転車で走るためにはいくつかの条件をクリアする必要があると感じていました。その条件とは以下の4点です。

 (1) 1,2回は事前にロードバイクで長距離を走る
 (2) ロードバイク・メーカーのショップで自転車のメンテナンスを実施
 (3) 綿密な計画を立てる(宿泊地/ホテル、1日の走行距離など)
 (4) 外堀を埋める

長距離を走る!

 (1)はもちろん必要。コロナ禍にあって自分の勤め先では在宅勤務が一般化した。始業時間が9時30分。これまで会社まで通勤していたときの起床時間が6時30分なので、この3時間を有効活用するために、2時間ほど散歩したりミニベロの自転車に乗ったりして、できるだけ有酸素運動をこなすように心がけていた。なので、体力的にはそう大きな問題はないと思っていました。
 とはいえ、ロードバイクには一切乗っていない。なので、まずはロードバイクでよく走っていた道を走ろうと決断。目的地は熱海。自宅から70km程度とまずまずの距離(帰りは輪行なので片道のみ、はいつもどおり)です。これを2024年5月21日に決行しました。
 自分が立てた目標より時間がかかってしまったものの、小田原から先の二つの坂も無事にクリアできたので、「それなりに走れるじゃん」と一安心しました。ただ、ペダルを漕いでいる間に「シャリシャリ」いう異音が気になったという点だけ記憶しておきます。
 で、もう一度、今度はさらに距離を伸ばして自宅から三浦半島一周を2週間後の6月4日に計画しました。若干疲れはしたものの、これも問題なく走り切ることができて体調的にはなんら問題ないことを確認できました。
 「頑張れば走り切れる」——。根拠の薄い自信ですが、ないよりましです。

メンテナンスで万全を期す

 身体的な能力の次に必要なのは、マシンの性能です。何年も放っておいたロードバイクがその能力を充分発揮して性能通りの走りができればさらに安心して自転車旅行を実行に移すことができます。何より重要なのは、旅の途中で故障しないこと。パンクしないこと。
 北海道はロードバイク乗り(通称チャリダー)にとっては過酷な土地です。道が荒れていることに加え、町と町の間の距離が長い。さらに町に着いてもロードバイクを扱える自転車ショップがあるとは限らない。前回は、タイヤの空気圧が足りずパンクを繰り返して気持ちが萎えるということを何回も繰り返した経験をしているので、今回はそういうことのないよう、充分な準備をして臨みたいと考えた次第です。
 というわけで、やってきたのはロードバイクを購入した横浜ベイエリアにあるショップ。近い将来、数日かけての自転車旅行に出ることに加え、熱海までの遠乗りで気になった「シャリシャリ」いう異音について説明し、全体的なメンテナンスをお願いしました。当日乗って帰ることを想定していなかったので、そのまま自転車をおいてその日は帰宅し、後日取りに行くことに。

目的地を設定し、計画立案

 自転車の長旅をするには、自転車のメンテナンスと並行して、綿密な旅行計画を立てる必要があります。コロナ禍以後の「オーバーツーリズム」状態で観光客が増えて、行き当たりばったりに宿が取れる可能性は著しく低くなっています。それは飛行機のチケットにしても同様。なるべく早く予約することで、確実に宿を押さえられる上、費用を抑えることも可能になります。いい加減な性格の自分にとって、きちんとした計画を立てるのは必要十分条件なわけです。
 そこでまず行程を考えます。前回の北海道自転車旅では釧路から飛行機で帰ってきたので、今回は釧路に飛行機で入るところがスタートになります。釧路から海岸沿いに東へ進み、根室を経て知床へ。知床ではちょっと時間をとって観光して、その後網走からどんどん北上し、目的地を稚内とするルートで行けるかどうか。なかなかの長距離です。
 1日の走行距離を100km程度にしたいという希望もあります。これは自分の走行能力見合いなのだけど、100km程度なら悪天候でも1日に走り切れる距離という見立てのもと、設定した距離だったりします。
 その上で、宿泊地を出来るだけ街中にしたいという希望もあります。これは自分の自転車旅の大きな楽しみでもあるのですが、夕食にその土地の美味しいものを食べて、その後その町のスナックに行って飲んで地元の方と触れ合い交流するのも目的の一つだったりします。
 そうこう考えた結果、釧路から稚内までの行程/宿泊地を以下のように設定しました。

 1日/泊目:釧路空港ー釧路(17km)
 2日/泊目:釧路ー浜中町/霧多布(108km)
 3日/泊目:浜中町/霧多布ー根室/納沙布岬(114km)
 4日/泊目:根室ー中標津(109km)
 5日/泊目:中標津ー知床/羅臼(72km)
 6日/泊目:知床/羅臼ー知床/ウトロ(峠越えの30km)
 7日/泊目:知床/ウトロー網走(80km)
 8日/泊目:網走ー紋別(144km)
 9日/泊目:紋別ー枝幸(117km)
 10日/泊目:枝幸ー稚内(128km)
 11日目:稚内ーノシャップ岬ー稚内空港(??km)

※ ( )内の距離は直線距離ではなく、海岸線に近い道を走った場合の推定値

 10泊11日の長丁場です。これって家族に許されるの? というわけで問い合わせたところ許されるようなので、出発日を6月12日の水曜日に決め、飛行機と宿の予約を進めます。

今回計画した日程と宿泊地

外堀を埋める

 最後の条件は「外堀を埋める」です。
 自分はなかなか弱い人間なので、決めたことを実行に移すのに一苦労するわけです。自分の中で決めても「まあいいか」と先延ばししたりすることが度々ある。そこで退路を断つ意味で、会う人会う人に「今度北海道に自転車旅行に行く」と吹聴して回るわけです。ある程度具体的な情報も絡めて、できるだけ多くの知り合いに北海道自転車旅行に行くことを知らしめておくことで、「もうやるっきゃない」という状態に自分を落とし込んでしまう。
 日頃お世話になっている飲み屋やスナックで事あるごとに「今度北海道に自転車旅行に行くんだ」と宣言し、四つの条件をすべてクリアしました。
 もうやるっきゃない。自転車を輪行バッグに詰め、工具なども入れ、着替えおよびレインウエア、スマホやワイヤレスイヤホン、モバイルバッテリーなどの電子機器、メモ帳、財布(必要最低限のカード類)、などなど、前日までに準備を完了しました。

🔳🔳 教訓 🔳🔳

踏ん切りが大事。
(経済的・時間的余裕さえあれば)一人で実行できることなんだから。


次回「その2<初日>」に続く。


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