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ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その7<6日目>

これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。

 朝5時前に目がさめました。隣の部屋から3人娘の会話が漏れ聞こえてきます。「7時より早い時刻のバスに乗る」って言っていたなあ。大変ですね。こちらは7時から朝食の予定なのでまだまだ時間はあります。この日の行程は、知床横断道路でウトロへ抜ける30kmのみです。この旅唯一の峠道で、知床の自然もできるだけ観光してみたいので距離を短めに設定しました。ただ、本当に走り切れるのかな。若干心配です。

ヤビツ峠と知床峠を比較してみた

 一番経験のある峠といえば神奈川県のヤビツ峠。コロナ禍前は何度も登った道です。それと今回の旅の一番の難所である知床横断道路(知床峠)を比較してみました。さあ、どうだ?

神奈川県のヤビツ峠と知床峠を比較

 知床横断道路は距離は長いが傾斜はそれほどでもない。峠を攻めるヒルクライム的な走りをするつもりはなく、休み休み行く予定なので、それほど無理なく行けそうな気がします。
 7時になったので朝食です。鮭の切り身、ハムエッグ、味付け海苔、山芋、味噌汁、漬物などなど。ザ・民宿の朝食といった感じです。

鮭にハムエッグ、味付け海苔、etc、の「ザ・民宿の朝食」

 食事を終えて準備を整えチェックアウトです。会計をしている間、おかみさんが「今朝知床峠に行った人から電話があって、雲海の向こうに国後島が見えたって言ってましたよ」と教えてくれました。絶景が楽しめそうです。
 さらに、ボトルに水を入れてもらいました。おかみさん、最後まで愛想よく対応していただきました。ありがとうございます。
 宿をお暇して峠道にチャレンジする前にまずセイコーマートに寄って水とあんぱんを購入。これで準備万端です。さて、出発しますか。

16km地点が峠じゃない?

 起点となる交差点の交通標識を見ると、知床峠まで16kmで宇登呂(ウトロ)まで32kmだって。

知床横断道路、羅臼側の起点 峠まで16km!

 あら走行距離が2km伸びました。ここから2kmくらいはほぼ平坦な道が続いたのだけど、きました上り坂。坂を少し進むと知床自然遺産「熊の湯」が見えてきました。無料で入れる天然の露天風呂ということなのだけど、寄っていくには自分的にハードルが高いなあ。ということで今回はパスします(次回があるかどうか不明ですが)。

無料の露天風呂「熊の湯」入口 今回は残念ながらパス

 慣れない感じで坂道を上っていくのですが、それにしても道路の状態が良い! 冬期は通行止めで5月下旬に開通したばかりだったからか、路肩に砂利やゴミが少ない。路肩自体も荒れていないので走りやすいです。
 ただ、ここで想定外なことが。荷物を背負っているので、ダンシングは無理だったんですね。疲れたら、力を使わずにゆっくりとダンシングで坂を上っていくという目論見があったのですが、それができないとなるとちょっと辛いかも。
 でも、この日は天気が良くて気分爽快でした。途中で反対車線を走ってくるチャリダーが一人いました。こっちは上りで向こうは下りで、ただすれ違うだけだったのだけど、なんか嬉しくなりました。
 上りももう終盤の13km地点で一休み。セイコーマートで買ったあんぱんを食べて風景を楽しみます。

天気も良いし眺めも良い はるか彼方に見えるのは国後島でしょう

 一息ついて走り始めると、今度は同じ方向に歩いて進む人を発見。歩いて知床峠を越えるのですね。いろんな人がいるもんです。
 で、サイクルコンピュータが16kmを指す地点に到着しました。上り坂はここでおしまいの様子。でも、峠の石碑みたいなものが見当たりません。おかしいな。Google Mapsで見てみると「知床峠展望台」というのがもうちょっと先にある。ここじゃないのかよ。
 下り基調の道を進むとありました。ちょっとした駐車場です。望遠レンズのついたカメラがずらっと並んでいます。何か珍しい被写体がいるのでしょう。
 こちらは峠の石碑を見つけ、写真をパチリ。本日のミッションクリアです。

知床峠到着! ミッションクリアです

 ここからの景色は確かに絶景です。雲海の向こうに国後島が見えます(そっち方向の写真を撮ってなかったかあ)。一通り絶景を楽しんで、先に進みましょう。峠の先は本格的な下り坂になるので、ここで寒さ対策として、上に一枚レインコートを着込むことにします(もうこの日はサイクリング終了みたいな気分になっていました)。
 下り坂なので当たり前なのだけど、スピードが出る出る。体温を下げないように、ブレーキをかけて速度を落としながら走ります。途中3人組のチャリダーとすれ違いました。向こうは止まっていたからこっちも止まってちょっとおしゃべりしたら良かったかな?
 走り続けていると大きな施設が建っていた。「知床自然センター」と書いてあります。時刻はまだ11時前。ボトルの水もきれているのでちょっと寄ることにしました。

知床自然センターにはなぜ自販機がないの?

 サイクルラックがあったのでそこに自転車を止めて入館します。中にはお土産などが売ってるショップ(かなりおしゃれ)があるけど、飲料水を売っている自動販売機が見当たらない、もちろんトイレはあるので、まずトイレをお借りします。
 おしゃれなカフェが併設されていたので、ここでちょっと休むことにします。オリジナル・レモネードのソーダ割りレギュラーサイズをオーダーしようとしたのだけど、この時間はワンオペですか。前の方の注文作業が終わるまで待たされてしまう。
 数分後ようやく注文でき、品物はすぐに出てきました。大きめのプラスチックカップにキューブアイスがいくつか入ってレモンが一切れ入ったレモネードです。700円なり(この店では500mlのミネラルウォーターも200円で販売していました)。「この店の商売を成り立たせるために飲料関係の自動販売機を置いていないのか」と勘繰ってしまいました。

知床五湖への道で心が折れかける

 この知床自然センターでは知床の自然について色々と紹介していて、時間的に余裕があることもあり、「ちょっと寄り道するのもアリですね」と目ぼしい観光のポイントを物色することに。このセンターから遊歩道で散策するコースもいくつか紹介されていたのだけど、せっかく自転車で来ているのだから自転車で足を伸ばせるところがいいなあ。と、見つけたのが「知床五湖」です。このセンターからウトロとは逆方向に9kmくらいのところにあるらしい(まったくのノーチェックでした)。9kmなら往復1時間くらいみておけば行けそうです。
 「よし、ここに行こう!」これが最初の判断ミス。荷物を抱えてスタートです。これが二つ目の判断ミス。
 知床自然センターを出発して進んでいくと、あれあれすげえ下り坂じゃん。どこまで続くの? 「帰りはこの坂を上らなくちゃいけないんだよね」と嫌なことが頭をよぎる。それでもまだ下り坂は続き、途中何度か「ここで引き返そうか」という気になりそうだったけど勇気を持って進みます。
 岩尾別温泉への分かれ道があるところでようやく谷に到着。このころはもうやけっぱち。さらにここから先は今度は上り坂です。峠越えで足を使っている身としては心折れかけてしまいました。「おっきいクルマに自転車ごと運んでもらえないかな」なんて妄想もしたりして、半分壊れていましたね。
 最後の最後、「カムイワッカの滝」との分かれ道の先が激坂で、駐車場の100m前くらいから自転車を降りて押して上りました。ようやく「知床五湖」到着です。辿り着けたことにとりあえず「よかった」

* 最初の判断ミスは「知床五湖に行こう」と決断したこと(結果的にこれは判断ミスではないけど)。二つ目の判断ミスは荷物をセンターのコインロッカーに預けずに走り出してしまったこと。身軽な格好なら知床五湖への往復はもっと楽だったはずです。

100円✖️4のコインロッカー、両替機は?

 駐車場には多くのクルマやバスが停まっていて人もたくさんいます。けっこうな観光スポットみたいです。二つある建物のうち、奥のお土産物を扱っている方に入ります。よかったよかった。普通の観光地のお土産屋さんっぽくて、飲料水の自動販売機もあります。早速いろはすを1本購入して喉を潤します。生き返る。
 気分が少し良くなったところで「知床五湖」の観光の仕方をチェック。湖が五つあってそれをぐるっと遊歩道で周るというものらしい。ただ、1周するとなるとだいぶ時間がかかるっぽい。で、近くにいた若い男性スタッフに質問。
 「1周するとどれくらいの時間かかります?」「3時間くらいかかりますね。1周するのは今はツアーでしかやっていないので、あっちの建物で受付しています」だって。
 流石に3時間は長い。時間的に無理。このほか、一つの湖(一湖)まで行って帰ってという往復のルートならツアー参加なしで自由に行けるらしい。
 で、若いスタッフにお礼を言って、一湖までの往復ルートを歩くことにしました。ここでさっきの二つ目の判断ミスが頭をよぎる。「そうだ、荷物はコインロッカーに入れておいた方が楽だな」ということでコインロッカーを探した。なかなか見つからず、ようやく見つけたのは建物の反対側の入口近く。さあ荷物を入れようとすると、料金が400円。「100円玉が4個必要なのか」と財布の中をみると100円玉は2個しかない。ここでまた店に入って両替するか何か買って1000円札を崩すかしないとって考えると面倒くさくなってしまった。クルマやバスで来ている観光客がほとんどでコインロッカーのニーズはそう高くないと判断、ちょっと心配ですが荷物をロッカーの中に入れ鍵をかけずに知床五湖観光にスタートです(いいのか、これ?)。

まさに北海道らしい風景 知床の原野を一望

 遊歩道の入口は駐車場の奥にありました。ここから一湖に向かいます。両側が木の柵で道も木造の遊歩道が果てしなく続いていきます。しばらく歩くと風景は一変しますな。まさに北海道の風景といった感じの風景はそこにはあった。少し歩くと遠くに鹿の姿も見える。遊歩道の両側には電気が通っている柵があって動物が近づかないようになっている。なるほど。
 ツアーと思しき集団もいくつもいて、ツアーガイドの方が説明しながら進んでいく。知床五湖、「これは来て正解なんじゃないかな」と疲れも忘れて風景を楽しみました。知床連山素晴らしい眺めです。
 800m、往復1.6km。ちょっと急ぎつつ一湖へ。到着です。こんな感じですか。石碑の前で写真を撮っていた男性がこちらに気づき、「あっ、すみません。邪魔でしたよね?」と撮影スペースを空けてくれました。気遣い、ありがとうございます。

写真撮影していた男性、気を遣わせてしまってすみません

 ここで折り返し。さっきの駐車場方面に戻ります。遊歩道を歩き終え、駐車場に帰ってきました。で、早速コインロッカーの中を確認します。問題なし。荷物は入れたままの状態でそこに収まっていてくれました。よかったです。さてここからセンターに戻る準備です。

頑張るのみです!

 まず、自動販売機でいろはすを2本購入。1本はボトルに入れ、もう1本はリュックに収める。空いたペットボトルは店の方に廃棄をお願いしました。走り始める前に上着を1枚着込んでスタートします。
 駐車場まで押して上がった激坂を今度は下る。その先も下り坂がけっこう続き、かなりのスピードで走ることができました。「オレ、上り坂頑張って上ってきたんだあ」ってなんだか嬉しくなる反面、最後の上り坂への心配がどうにも付きまといます。でも、下りは下り。いつでも気持ち良いものです。
 そうこうするうちに、谷に着いてしまった。「ここから上り坂かあ。けっこう続くんだよなあ」なんて考えながら、でも走らないと進めない。なんとか頑張って坂を上っていきます。途中、給水で何度かストップしつつ進みます。

谷を越えて上り坂の途中 一休みです

 「そろそろかも」と一度ストップしてGoogle Mapsを開くも電波がない! GPSで示された地点を確認してみると「あれ、知床自然センターまで500mくらい?」と思ったので、さらに進むことにします。でも、そんなわけはなく2kmくらい進んでようやく知床自然センターに到着しました。上り坂、何とか上りきりました。知床五湖に行くのちょっと後悔したりもしたけど、やっぱり行って良かったなあ。
 ここまで来ればもう大丈夫。そこそこ時間を使ったけど、予想よりも早かったぞ。これならウトロに13時30分くらいに着けそう。で、知床自然センターから再スタートです。下り坂を駆け抜けます。良かった良かった。進んでいくと、海が見えました。知床半島横断しました! そこからウトロ市街までちょっとあったけど、問題なく市街地到着です。

知床横断道路終点間近 オホーツク海が見えました

2日連続、知床の海へGO!

 昼食がまだでした。ウトロ市街地で食事ができるところをGoogle Mapsで探してみると、魅力的なお店がありました。「ウトロ漁港婦人部食堂」です。港の方に進み、店を発見。開いていますね。
 店内に進みメニューをチェック。海鮮系のお高めの丼ものももちろんあるのだけど、ラーメンとかカレーとかチャーハンとかもある。しばし悩んだ末、豚丼を注文しました。上に紅生姜がのっていていい感じです。美味しくいただきました。

「ウトロ漁港婦人部食堂」の豚丼です

 この時点で14時ちょっと過ぎくらい。ホテルのチェックインにはまだ早い。店を出て、どうしようかなあと自転車を徐行させていると道のお兄さんと目が合ってしまいました。まあいいや。自転車を止めてちょっとお話をしてみると、お兄さんが「ゴジラ岩観光船」の人でした。この先出航する遊覧船があるのかな、と聞いてみると14時30分発で2時間のクルーズ便があるとのことだったので、2日連続で船に乗ることにしました。
 この便は、ヒグマおよび知床半島の自然を見るのがメインターゲットのようで、それはそれでいいかも。双眼鏡も無料で貸し出してくれるって話なので自分も借りました。店員さんの指導のもと、双眼鏡の練習なんかもして、出航の時間を待っていました。
 で、時間になり、乗船する場所までお客さん潮風みんなで歩いて向かいます。途中、「これが我が社の名前の由来になったゴジラ岩です」だって。
 船は昨日の船と同じくらいの大きさ。でもお客は20人いない感じで昨日に比べて少なかったです。まあ、月曜日だからしょうがないですな。今日は下のデッキで大人しく座ることに。さあ出航です。

「ゴジラ岩観光」のクルーズ船 写真がちょっと斜めになってしまった

 外海に出て海岸線に沿って北東に進みます。ゴツゴツした岩の海岸線は、流氷がぶつかって岩が削られて特徴的な形になったのだそう。象の形に見えるものやこけしの形のものなんかがあって「ふむふむ」と関心しながら進んでいく。海の上には黒くて小さい鳥が数羽浮かんでいる。「天然記念物」「絶滅危惧種」とか説明してくれたけど、後から調べても名前がわからなかった。まあ、こういうのもありでしょう。

知床半島の地形 なかなか興味深い

 さっき行った知床五湖の近くを通ったり、カムイワッカの滝を見たりして、そこそこ楽しめました。

カムイワッカの滝 温泉になっていて人の飲める水じゃない=神の水という話らしい

 で、ヒグマのメッカという地点に到着です。ここはNHKスペシャルなんかで何度か取り上げられた大瀬さんというおじいさんが拠点としていたところだそうです。そういえば自分も「ヒグマを叱るおじいさん」をちょこっと見た記憶がある。へえ、そうなんですね。

NHKスペシャルなどでロケされた「番屋」周辺 ヒグマの姿はありませんでした

 でも、結局ヒグマの姿は見られず、ポイントを去ることになりました。残念です。自転車で走っている途中は「ヒグマ出るな」と思っているのに今は「ヒグマ出ろ」と思っている。人間なんて勝手なものです。
 復路は地形の説明はそこそこに船長さんが「知床旅情」なんかを歌ったりして時間が過ぎます。最後の最後にイルカが数頭姿を見せてくれました。で、2時間のクルーズは終了です、ご苦労様でした。

お目当ての店は満席でした

 遊覧船クルーズが終了したのでホテルにチェックインします。この日のお宿は「知床ノーブルホテル」。港に近いホテルですね。
 チェックインしたらやることは一緒。このホテルにも大浴場があったのでまずはお風呂。続いてコインランドリーで洗濯・乾燥。ちょっとお高めの料金だったけどまあいいか。なんだかんだで時間がかかり、夕食のお店を探しに市街地に出られたのが19時ちょっと前。まだ明るいからお店大丈夫かな。
 事前にチェックしていたお店は、ホテルからちょっと離れた高台にある「潮風」という居酒屋さん。ホテルから歩くこと15分くらいかな。お店に着くとあれ「ただいま満席」の札がかかっています。残念。ここまで歩いてきたのに。
 Google Mapsで周辺のお店を確認すると焼肉屋さんがあります。「きたちゃん」です。暖簾をくぐり店内に入って「一人なんですけど」と言うと、「ラストオーダーが19時半なんでゴメンナサイ」だって。時計を見ると確かに19時を過ぎていて、あらら残念です。
 この周辺であと食事ができるところは「番屋」という店しかないようです。向かうと、ここは開いていました。助かったあ。
 メニューを見ると、あら観光客向け価格ですね。それでもオーダーします。生ビールの1000mlのヤツ(1200円)とウニホタテ丼(3000円)。北海道に来てまだウニを食べていなかったので、ちょっと奮発しちゃいましたよ。

ウニホタテ丼と生ビール ボリュームありますな

ウトロの酒場で偶然の再会?

 「でも、ここでこのまま酒を飲むのはないなあ」。と言うことで、こちらの高台に向かう途中に19時開店の店があったことを思い出し、そっちへ行ってみることにします。店名は「知床酒場ピリカデリック」。外観は雰囲気良さそうです。扉を開けるとかなり混んでいますね。いつものように「一人なんですけど」と言うと入口に一番近いカウンター席に案内されました。入れた。よかったよかった。
 マスターと女性一人(バイト?)の二人で回しているお店のようです。メニューは手書きのものをコピーしてホッチキスで留めたもの。なんか手作り感が半端ないです。とりあえずウイスキーのソーダ割りとタコス、シカコロッケをオーダーします。するといきなり隣に座っているおじさんから声をかけられた
 少し会話をしたのだけどこの人、自分のことをペラペラと喋りたがるタイプの人のようでした。こちらの話もしたんだけど、自分の話だけをただただ話していましたね。内容は以下の通り。

 ・名古屋から車で大洗まで走ってそこからフェリーで苫小牧に来た
 ・北海道で47都道府県全制覇した
 ・バツイチ独身子供なし
 ・一緒に住んでいる女性がいるけど結婚はしていない
 ・彼女は仕事があるから今回の旅行にはついて来ていない
 ・最近家に彼女の孫が来て楽しそう
 ・北海道旅行の目的の一つ「足寄の松山千春の生家に行く」を達成
 ・予定を決めていない。当日だと宿が取りにくくなっている
                           
などなど

 こんな話をこちらにはまったく興味を持たずにただただ話されてはシラけてしまいます。そこでこちらはマスターとバイトの女性に話を振ることに。ウイスキーの話とか自転車で走っている話とか知床五湖に行った話とか。するとマスターが「そういえば今日研修で知床五湖に行ってたよね?」と、3人で並んで飲んでいる青年グループの向こう端の人に声をかけます。「あれ、もしかしてキャノンデールで来た人?」とその青年。よく顔が見えるように覗き込むと、あれれ、知床五湖で遊歩道について質問したら答えてくれた青年じゃないですか! 奇遇だなあ。
 「いや、ウトロは飲むところが少ないからそう奇遇でもないですよ」とマスター。で、知床五湖に自転車で行った辛い話をしたりして、なんか楽しいです。彼(Iくん)は知床五湖でのガイドの研修に参加もしているのだけど、基本は「知床サイクリングサポート」のスタッフをしているのだそう。「自転車でこの先稚内まで行くんだけど、タイヤとかちょっと心配で」とグチを言ったら、「明日の朝何時に出発ですか? そんなに早くなければ拠点を開けて待ってます」だって。なんて良い人なんでしょう。「7時30分くらいから走り始めるつもりなんだけど」「良いですよ。待ってます」。ああ、本当に助かります。ありがとう。
 その後もさらに、その3人組との会話が弾んでしまいました。
 一番手前の彼はラガーマンで、高校時代は栃木(?)の代表に選出された(自称)ナンバーワンのフォワードだったのだとか。大学卒業後は東京の大手不動産会社に勤めながらラグビー協会のボランティアとしてバリバリ仕事をしていたらしい(お金をもらってしまうと副業になって勤め先で色々面倒だったんだって)。審判の資格を取得してA級の一つ手前のB1級というところまでいったのだけど、A級になるにはシャトルランで180回を越えなきゃダメなところ「どうしても140回しかできない。もうこれ以上ダメ」ということで諦めたんだって。みたいな話をマスターも参加しながらお話を聞きました。これまた楽しい。
 バイトの女性とはウイスキーの話題に。「山﨑の12年とかメニューに載せちゃているけど、すぐになくなったりしないんですか?」と聞くと「大丈夫。なんとかするから」だって。そういうツテがあるんでしょうか。おかわりにラフロイグのソーダ割りを注文すると、「私それ飲めない。ヨードチンキの味がするから」だって。どこぞのスナックのママさんのようなことを言い出す始末です。
 「いや、美味しいんですよ」と言うと「ちょっとスモーキーでなかなか入手できないウイスキーはあるんだけど飲む?」と国産の「厚岸」というウイスキーをオススメされた。牡蠣で有名な厚岸に蒸溜所があるメーカーのものだそう。1杯のお値段を聞くとあらら想定よりかなりお高めです。そうは思ったものの、何か居心地の良いお店に敬意を示す感じでそいつをオーダーしました。

北海道の地元のウイスキー「厚岸」をいただきました

 確かに微かにスモーキーな香りの向こうに微かな甘味があって美味しいです。うんうん。
 さらに話題になったのが、この日羅臼のクルーズ船で白いシャチが目撃されたというニュース。ああ、そんなことあったのね。1日違えば自分も見られたかもしれない。あのシャチ3人娘はこのニュースをどんな顔で聞いたんだろう? などと考えちゃいました。
 隣のおじさんは途中で帰って行きました。こちらも頃良いところで「お邪魔しました」と会計しました。「知床ウトロに行ったのなら、ぜひ寄ってほしい」と誰にでもおススメできるお店でした。うんうん。

🔳🔳 教訓 🔳🔳

夜中までやっている飲み屋を見つけられれば楽しい時間が待っている。


次回「その8<7日目>」に続く。

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