ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その6<5日目>
これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。
朝、早く目が醒める。窓の外を見ると一面漕い霧が立ち込めていた。ああ、これじゃ見晴らしは良くないなあ。と言うことで、昨晩スナックでオススメされた開陽台に行っても絶景は望めないと判断し、今回はナシにしましょう。
となると、知床羅臼で何かできないか、ネットで調べます。当日なんだけど、12時30分集合のホエールウォッチングクルーズに空きがあるよう。これ、いいじゃないですか。早速オンラインで予約を入れます。さて、どうなることやら。
パンを2個とブラックコーヒーで朝食を済ませ、残りのカレーパンはリュックに入れて5日目スタートです。幹線道路を標津町に向けて走ります。霧雨が終始降っているような天気ですが、道路の状況は良好。足の疲れはあるものの、平坦な道なので順調に進んでいけます。
標津町に到着し、道路を左折。昨日荷物を忘れた「武田」を過ぎて羅臼へのルートに乗ります。この道路もアップダウンが少なく走りやすい。途中、一度一休みしてカレーパンで栄養補給。天候は回復しないけど走り自体は順調順調ということで、10時過ぎには羅臼に到着してしまいました。
ブランチはミックスフライ定食
まず「しおかぜ公園」で写真を1枚撮影してから、とりあえずホエールウォッチングの事務所まで行ってみることにしました。
事務所を訪ねるとお姉さんが出てきてくれました。事務所に案内してくれて対応してくれました。温かいお茶を入れていただき、全身濡れていたのでタオルを用意してくれました。助かります。霧が出ているけれど、午前中の便は出航したとのこと。午後には霧も晴れてくるので、船は出るんじゃないかなという話でした。
ただ、受付はこちらではなく船着場で直接するということだったので、船の乗り場だけ確認しました。お礼を言って午後に向けた準備に移りましょう。
拠点とするのは道の駅「知床らうす」にしました。自転車を止めて荷物を抱えてとりあえずトイレに直行します。雨と汗でびしょ濡れになった上半身を着替えます。とりあえずスッキリです。
ここでブランチ扱いで食事を取ることにします。道の駅の2階にあるレストラン「しれとこ食堂」で、悩んだ末にミックスフライ定食とノンアルコールビールを注文しました。エビ、ホタテ、イカ、ホッケ、カニクリームコロッケ etc、大変美味しくいただきました。
シャチがいました
食事を終えると11時30分くらい。ホエールウォッチングにはまだ時間があります。1階に降りる階段には長蛇の列ができていました。タイミングよかったなあ。乗船にはまだ時間があるので、周辺の散策に出ます。
今日も衣服を洗濯する必要があります。今日のお宿は民宿なので、コインランドリーがない可能性が高いと思い、羅臼にあるコインランドリーまで行って調査です。ちょっと古い感じですが充分使えるようです。ただ、洗剤が見当たらない。そこで、近くのセイコーマートに行って小分けの洗剤とリステリンを購入しました。洗濯できる目処が立ったので再度道の駅に行って今度は下半身を着替えます(除く靴下)。ここで12時をちょっと過ぎなので、ようやく船乗り場に移動します。
いくつかの会社がホエールウォッチングのクルーズ船を出しているようで、どこに目当ての会社の受付があるのか、ちょっと迷ってしまいました。それでも受付の自動車を見つけ、乗船名簿に名前を書いて予約を確認し、料金を支払い、絵葉書を1枚もらって船に乗り込みます。12時30分集合、13時出航予定です。
乗船するとライフジャケットが配られ、レインコートの上からそれを装着します。当日でも予約が取れたのでマイナーな会社のクルーズなのかと思ったのですが、多くのお客さんが乗ってきます。さっき食堂で11人で入ってきた中国系のみなさんも一緒でした。船は下の階と屋上があるのでどっちにしようか迷ったのだけど、上のデッキの見晴らしが良い席をチョイスしました。霧もかなり晴れてきて期待が高まります。午前の便ではイルカとシャチが見られたそう。そうですか。
出航し、外海に出ると一気に体感温度が下がりました。デッキには会社のアルバイトと思しき若者が二人と専属(?)のカメラマンが一人、船員さんが一人いて、乗客に注意したり解説したりしていました。
そうこうしているうちに海面に背鰭が見える! 船長さんはその場所を目指してエンジン音を抑えながら近づいていくと、シャチ、いました! なかなか明確に姿を現してくれないけど、時々背鰭を見せてくれる感じですかね。このシャチ(オスとメスの2頭)をターゲットに、みんなで写真や動画を撮影していきます。
このシャチ以外、イルカや鯨を見ることはできませんでした。でも、間近でみる野生のシャチ、初めての体験で、よかったです。予定では2時間30分だったけど、再び霧が深くなり、「これ以上は見つけられないですね」ということで2時間ちょっとで港に戻ることに。3時12分に港に到着です。ご苦労様でした。
この旅初の民宿泊
港に着いたらまず今夜の宿に連絡を入れます。今晩はこの旅初となる民宿「よね丸」がお宿です。「今日宿泊するものなんですけど、これからコインランドリーで洗濯してからになるのでチェックインは4時30分くらいになると思います」と伝えると、「うちにもコインランドリーあるから、これからでもチェックインできますよ」とのこと。それならと、道の駅でトイレだけ済ませて宿に向かうことにします。
坂の上にある民宿よね丸に到着すると庭仕事をしているおじさんに「今日のお泊まりの方?」と聞かれたので「はい」と答え、自転車の止める場所についてちょっと会話した後に建物に入ります。建物自体は新しい感じです。
受付で対応してくれたのは愛想の良いおかみさんでした。先に電話した旨を伝えてからチェックイン。風呂場、コインランドリー、そして部屋を案内してくれました。部屋は6畳くらいの広さの部屋で全面ゴザが敷いてありました。「寝具は押入れの中にあるから、朝は片付けないで出しっぱなしにしておいてくださいね」という説明も受けました。
「お風呂ももう入れますよ」とのことだったので、道の駅で脱いだ洗濯物を持って風呂に直行です。コインランドリーは脱衣所にあって、洗濯機をかけてから風呂をいただきました。この時間なのでもちろん一番風呂です。風呂場も綺麗で気持ち良い。最高です。
ゆっくり風呂に入って上がったのですが、洗濯機はまだ20分くらいかかる様子。さらにそこから乾燥機を30分くらいはかけないといけないので、まだまだ時間がかかります。「その間に他のお客さんがお風呂に来たらヤダなぁ」と思いながら、脱衣所の周辺に待機していたのですが、幸い他の人は現れず、無事洗濯乾燥は完了しました。よかったよかった。
部屋に戻って生乾きの一部の衣類を干します。部屋の壁を見るとフリーWiFiの説明がありました。こういう民宿でもフリーWiFiは当たり前にあるんだなあ。助かります。
シャチ好き3人娘(?)と夕食
ネットを繋いだりテレビを見たりして時間を潰して18時になりました。夕食の時間です。1階の広間でいただくようです。自分の席の他に、3人分の夕食が並んでいました。どうやら今夜のお客は自分の他は3人組が1組いるだけのようです。まあ日曜日なんでそんなものかもしれません。
席に着いておかみさんにビールを1本お願いして夕食スタートです(ご飯はセルフサービスだそうです)。カニ、ホッケ、イカ、陶板焼き、魚汁などなど。美味しそうです。
こちらが食事をスタートする頃にもう1組のお客さんも席につきました。女性3人組です。ちょっと年代が違う3人のような気がします。料理も違いますね。連泊だからなのかな?
こちらが一人黙々と食事を進めている一方で、女性3人組の方はと言えば会話が弾み楽しそうです。年代がバラバラに見えて、しかも会話の内容から姉妹や親戚でもない様子。
なので、ちょっと勇気を出して3人組に声をかけてみました。「あのう、すみません。どういうお仲間なんですか?」と聞いたら、名古屋をベースとしたシャチ仲間だとのこと。国内でシャチを飼育している水族館は3カ所、千葉・鴨川、兵庫・須磨、愛知・名古屋しかないそうで、名古屋の水族館のシャチ好きで繋がった仲間で、今回リーダー格の女性(年長者)に連れられて3人で知床に野生のシャチを見に来たんだそうです。羅臼に4泊してクルーズ船に9回乗ったとのこと。「その全回でシャチを見ることができたんです。これまではシャチを見られない回もあったのに、今回jはラッキーでした」と嬉しそうに話してくれました。今日が最終日で明日帰るとのことです。
食事が進み、ビール1本と日本酒2合を追加注文。その間も賑やかにお話ししていました。なんでも羅臼は近距離で野生のシャチが見られるポイントとして世界的に有名なんだそうです。
「新しいカメラが欲しくなっちゃった。みんないいカメラ持っているだもん」「単焦点の望遠レンズが欲しい。今日見たの。100万円くらいするかな」とか話をしていて、いいなあ、楽しそうだなあ。「明日から4日連続で仕事するなんて信じられない」「これから1年はまた羅臼に来ることを頼りに生きていく!」とか、熱い熱い。これだけ夢中になれることがあるってことは羨ましい限りです。
日曜日、開店しているスナックはあったのか?
で、先に3人組が部屋に戻った後、おかみさんに「夜は外出できるんですか?」と聞いたところ、「全然いいですよ。夜玄関はずっと開けてますから」だって。そういうことなら、多少雨が降っていても外出する価値はあるでしょう。
宿に歯ブラシがなかったので、最初にセイコーマートに寄って歯磨きセットを購入。民宿とホテルの違いを気にしていなかったですね。ほろ酔い気分で店を出て、本格的にスナックを探すことにします。
ただし、ここで懸念点が一つ。この日は日曜日です。開店しているスナックはあるのかな? Google Mapsで周辺のスナックを探しつつ、歩いて行きます。と、開いている店を見つけました。「二軒目」です。昼は喫茶店で夜はスナックという業態でやっている店のようです。 中に入るとママさんが一人でカウンターの中に座っていました。「いいですか?」「はい、どうぞ」ということでこちらも席に着きます。
で、正直言ってこの後の記憶が曖昧です。この旅に出て初めてのことです。スナック1軒目に「二軒目」に入ったことは確か。で、ママさんとツーショット写真も撮影している。その後2軒目のスナックにも行った記憶もあります。こちらもママさんとのツーショット写真が残っているので確か。さらに、2軒目のママからは乾き物のおつまみなんかもらっちゃって。断片的な記憶は残っているのだけど。危ない危ない。気付いたら民宿の部屋の布団の上にいました。
ああ、ダメおやじですなあ。
🔳🔳 教訓 🔳🔳
勇気があれば初対面の女性3人組とも楽しいおしゃべりができる。
次回「その7<6日目>」に続く。