ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その2<初日>
これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。
準備万端整えて迎えた初日の朝。いきなり気がついてしまった。「どうやって羽田空港まで行くのか?」ーー。
出だしでつまづく(ああ、やってしまった)
飛行機は10時30分羽田空港第二ターミナル発。普通ならもちろんバスと電車を乗り継いで行くのだけど、今日は6月12日(水)。平日だ。10時30分羽田空港第二ターミナル発の飛行機に乗るには、8時くらいに最寄り駅にいなくちゃならない。でもその時間帯はまさにラッシュアワーど真ん中。こちらは、大きなリュックを担いだ上に自転車を入れた巨大な輪行バッグも持って行かなければならない。飛行機については事前に自転車を荷物として預ける旨を航空会社に連絡済みだったが、ラッシュアワーのバスと電車にこれだけの大荷物は流石に迷惑でしょう。
そこで、アプリ「GO!」でタクシーを呼び横浜シティエアターミナル(YCAT)までタクシーで行き、そこからはリムジンバスで羽田に向かうことにしました。ただ、これで呼んだタクシーがよくなかった。荷物を後部座席で抱えて「YCATまで」と行き先を告げると「ルートはどうします?」と運転手。「お任せで」と言ってしまったのが失敗の本でした。一般道で行ける距離なのに気がついたら高速道路に乗っていて、「何かおかしい」と漸く気付いてGoogle Mapsを確認したら、なんか遠回りされている様子。あらら。
YCAT到着で9000円の請求。やられてしまいました。と、そんな顔をしていたら「これでコーヒーでも飲んで」って500円玉渡されて、返すまもなくタ
クシー走り去っていました。嫌な気分での旅のスタートです。
YCATからのリムジンバスは快適で、滞りなく羽田空港第二ターミナルに9時すぎに到着。早速自転車を手荷物カウンターで預けて身軽になります。
多少時間があるので、展望デッキに登って飛行機を見たりして。
前回の北海道自転車旅ではJALを使ったのだけど、今回は稚内から羽田への便が全日空(ANA)しかないので行きも帰りもANAにしました。マイルカードを作っておけばよかったかな。ANAの釧路行きの便は第二ターミナルからさらにバスに乗って5分程度かけて移動するところが搭乗ゲートになっていた。無事飛行機に搭乗したものの、最初は席を間違えてご迷惑をおかけしました。すみませんでした。
空港に宅配便の受付がない!
釧路までは約2時間のフライト。提供されたアイスコーヒーをチビチビやりながらなんとか時間を潰し、釧路空港に到着です。輪行バッグも無事でした(当たり前か)。輪行バッグを肩にかけ、総合案内でサイクルステーションの位置を確認。意外と近い。輪行バッグを開き、バラバラにされた自転車を取り出し組み立てます。ペダルの左右を間違えてちょっと手間取ったけど、それ以外はほぼ順調に組み立て終わり、最終的にタイヤに充分な空気圧の空気を入れて完了です。この空気圧が今回のポイント。前回はタイヤの空気圧が低かったことでパンクを連発させてしまい、チューブ交換で時間を取られただけでなく気分的にも憂鬱な感じになってしまった。今回はそれだけは避けようと、タイヤの空気圧には常に気を配って走りたいと思っていました。
約1時間をかけて自転車の準備を終え、輪行バッグに旅には不要な工具などを詰め込んだ。この輪行バッグは最後の宿泊先である稚内のホテルに送っておく。常に背負って移動するにはあまりにも大きくて重いし、旅の途中で必要になることもない。で、さっきサイクルステーションの場所を確認した総合案内に行って宅配便の事務所を教えてもらおうとしたら「釧路空港には宅配便の事務所はありません」だと。
はぁ? そんなことってある? でも事実、釧路空港には宅配便の事務所はなく、一番近いところでも2,3km離れていることが分かって愕然としました。仕方がない。畳んだ輪行バッグをリュックに縛り付けてそこまで走るしかない。幸い、今回のリュックは容量多めで外側に色んなものを結わい付けていける類のものだったので、なんとかリュックに取り付け成功。ようやく釧路市内に向けて出発です。
待ち人来らず
途中、道を間違えて自動車専用道路を走っていたっぽい。まずいまずい。かなり走って、最寄りの宅配便事務所ではなく、ようやくたどり着いたローソンで輪行バッグを最終宿泊地・稚内のホテルに発送しました。ゆうパックで送ってくれるそう。助かります。ここで水とちょっとした菓子パンを一つ食べて、さらに釧路市内を目指します。
釧路市街に到着したのが15時ちょっと前。ホテルのチェックインにはちょっと早い。昼飯がまだなのに気づき、ここはやっぱり「カレーショップ インデアン」でしょう。前回も最後の昼食で立ち寄ったインデアンでカツカレーを食します。細かく切られたカツの上にドロっとしたルーがかかっていて、とても美味しくいただきました。北海道最初の食事にふさわしいかな?
腹が満たされたところでちょこっと走ってホテルにチェックイン。釧路の宿は「ホテルアクシアイン釧路」。典型的なビジネスホテルですね。自転車の置き場を考慮していただき、ありがとうございます。部屋に上がってまずシャワー。綺麗になったところで2階にあるコインランドリーで洗濯します。その間、待ち人の情報を確認します。
実は出発前に「6月12日ならもしかしたら釧路で会えるかも」っていう人がいて、その後ここまで連絡がなくどうなっているのかなと思っていたところです。共通の知人に確認したところ「行けないって連絡すると言ってたよ」とのこと。まあそんなものでしょう。洗濯を済ませ、来なかった待ち人と一緒に行くつもりだった店へと向かいます。
4年ぶりのクジラのユッケ
その店とは「BISTRO TAKKE」。前回の北海道自転車旅で日曜日の夜かろうじて開いていたこの店にお邪魔し、美味しい食事をいただいたのを記憶していたので。その時は釧路の「赤ちょうちん横丁」に店を出していたのだけど、今回調べて見たら大通り沿いに移転しているではないですか。店が繁盛して場所を変えたのかな? 大通りに面した建物の2階に店はあるようです。開店時刻の18時ちょっと過ぎに入店しました。
先客のグループが一組いるようで、自分が入り口近くのカウンター席の左端に案内されました。髭面のマスターの他に二人のアルバイト(?)の女性がいて、先客の料理を用意するのにマスターが色々と指示を出しています。忙しそうだなあ。
で、アルバイトの一人が注文を取りにきたので、料理を二品とハイボールをオーダーです。まずハイボールが到着。それをチビチビと飲りながら、カウンターの中での3人の作業を眺めます。マスターと会話する雰囲気ではないですね。
最初に出てきた料理はお通しとのこと。
6,7種類の食材が綺麗に皿にデコレートされていて、高級フレンチっぽいですね。それぞれ味も美味しく、ハイボールが進みます。
暫くするとオーダーした料理も出てきました。これですこれ、クジラのユッケ・カルパッチョ風。釧路港は日本で数箇所しかない鯨を水揚げできる港で、新鮮な鯨肉が入手できるって前回も聞いていて、今回もその味を楽しみたくて注文しました。記憶に残っていた味、そのままです。美味しい。続いて、熟成肉のポークカツレツ風。これまた美味です。腕は落ちてないですね(偉そう)。
そうこうしていると、ちょっと手が空いたのかマスターが自分に話しかけてきた。「どこから?」「旅行?」など当たり障りのない会話から、「実は4年前に赤ちょうちん横丁の店に寄らせてもらったことがあって」と続けた。もちろんマスターが覚えているわけもなく、「そうだったんですね」と。で、店が移転した時の顛末などを軽く聞きつつ会話を楽しみました。相変わらずいい人だ。
ハイボールのおかわりを重ねて5杯ほど飲んだところで食事は終了。お会計を済ませて店を出ます。さあ、ここからがお楽しみ。夜の釧路を堪能しましょう。
釧路のスナックは『最強』!
どこのスナックに入ろうか、色々と歩いていると港に出ました。霧がかかったなかなか雰囲気のある風景です。
ベンチで少しぼうっとしてから本格的にスナックを探します。多くの店舗が入るスナックビルも多く、目移りしてしまいます。そんな中、2階に数軒のスナックがあるビルに侵入。どこにしようかな。
最初に入ったのは奥の店。ママと一人のお客さんがいたのだけどママに「一見さんはお断りしているんです」だって。ああ。で、次に入ったスナック「わだい」が大当たり! こちらもママ(Tさとみママ)とおじさんのお客さん一人だったのだけど、すぐに仲良くさせてもらって、色々お話をさせてもらいました。
お客さん(Oさん)はお子さんが5人娘で、一番上が43歳で一番下が21歳なんだって! 「上4人は片付いて、今は夫婦と一番下の娘と3人で釧路で暮らしている」とのこと。下の娘さんはパティシエになる専門学校を卒業して今は釧路のホテルで働いているらしい。
更にOさん、出身地は中標津で「土曜日は中標津に泊まるんです」って言うと、「中標津で夜食事をするなら『いちばん星』がいいよ」と紹介してくれた。すると、後から入ってきた女性3人組の中の一人(Oサトミさん)が「『いちばん星』の大将とLINE友達だから、予約をとってあげるよ」だって。ありがたいです。でも、「ああ土曜日かあ。19時からだと予約無理だって」と。それでも連絡とってくれただけで、とてもありがたいことです。「何かあったら」とOサトミさんとはLINE交換もしてしまいました。
てなことをしていると、いきなりOさんが「一番下の娘がこれから来るって」と言い出した。そんな関係なんだ。羨ましい限りです。
Tさとみママの話も。常連さんも多くいそうなスナックを一人で切り盛りしているTさとみママなんだけど、この週末で新しいママさんに店を譲るとのこと。「それは残念ですね」。新しいママさんとの引き継ぎをさっきしていたらしく、そんなタイミングでこの店に来られたことをちょっと運命じみていて感傷に浸ってしまいました。
そうこうしていると、Oさんの娘さん(Uちゃん)登場。持ち込んだコンビニ弁当を食べ終わると早速カラオケ参戦です。Adoの曲を何曲か歌ったので、酔っ払ったおじさん状態の自分は、無謀にもUちゃんにリクエスト。「『私は最強』歌える?」って言ったらそのままデンモクに入力、すぐに歌ってくれました。反応いいねえ。
こうなると調子に乗ってしまうのが酔っ払いのおじさんです。「デュエットできる?『打上花火』とか」って聞いたら即座に「OK」。21歳の女子と59歳のおじさんのデュエット、側から見ると異様な光景かもだけど、おじさんとっても楽しみました。
スナック「わだい」最高でした。
🔳🔳 教訓 🔳🔳
地元のスナックには善人が集う。仲良くしてもらいましょう。
次回「その3<2日目>」に続く。