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ダメおやじの北海道自転車旅(釧路>稚内) その3<2日目>

これは、定年退職直前のダメおやじが体験した自転車旅の顛末です。

 本格的にサイクリングを始める初日。早朝起きて前日コンビニで購入したパンを食べて準備を進め、ホテルをチェックアウトして8時前に自転車で走り出します。曇り。道を確認せずにスタートしてしまったせいで、途中まで国道44号を走ってしまう。海岸線に出るより距離は短くなるが、上り下りの坂がキツイ。これから海岸線に出ようにも、かなりの遠回りになってしまいます。このまま進みましょう。

濃い霧が行く手をはばむ?

 走り始めて2時間。進む先がまったく見えないほど霧が濃くなってきました。霧が出てくると一気に気温が下がるのがわかります。

霧で先が見えない

 ここでちょっと失敗に気付く。水がない! 「国道なので自販機がまったくないってことはないだろう」と思っていた自分です。甘かった。北海道を甘く見ていました。自販機が見当たらない。仕方がないのでちょっと休んでから進みます。
 次第に霧も晴れ、北海道らしい風景が展開していきます。

厚岸周辺には馬の牧場が多いのかな?

厚岸で牡蠣ミッション

 ショートカットしたので、この日の中継地点である厚岸には正午くらいに着く見通し。厚岸周辺には馬の牧場が多くある様子です。厚岸には道の駅があるようなので、そこでこの旅のミッションの一つをクリアしよう。
 そのミッションというのが「娘に厚岸の牡蠣を送る」というもの。厚岸では年間通して牡蠣が採れるということで、かなり前から牡蠣好きの娘にリクエストされていたものです。「厚岸の牡蠣ってそんなに有名?」と思って走っていると、あら、厚岸の市街地に近づくに連れ「牡蠣」の文字が増えてきました。
 正午ちょうど、厚岸の道の駅「あっけし味覚ターミナル・コンキリエ」に到着。自転車を止めて1階を見て回るも、牡蠣をクール宅配便で送るような店がない。そこで店の人に聞いたところ「2階にありますよ」とのこと。階段を上がって見ると、ありました。食材を自分で選んで店内で炭焼きができる店「炭焼 炙屋」です。ここから生牡蠣を郵送できる様子。店の人に確認して、今収穫している「かきえもん」と「弁天がき」の2種類を10個ずつ発送の手続きを済ませました。ミッション・コンプリート!
 そうなれば、こちらの昼食です。炭焼きもいいのだけど、2階の店を見て回って別のレストラン「エスカル」に入りました。注文したのはもちろん牡蠣づくしの定食「かきめし御膳」(+ノンアルコールビール)です。

牡蠣がたっぷりな「かきめし御膳」

 カキフライ、焼き牡蠣、生牡蠣、牡蠣飯(牡蠣のバター焼き)、アサリの味噌汁、といった構成。大変美味しゅういただきました。

霧多布も寒かった?

 昼休憩はここまで。道の駅「コンキリエ」でトイレを済ませ午後の部、出発しましょう。この日の宿泊地である浜中町/霧多布までの距離を確認すると38km程度。まあ、こんなものでしょう。
 水をボトルにしっかり補充して走り出します。厚岸大橋を渡り、先へ進みます。このルート、山道がまあ激しく、長い長い上り坂が続いた。ようやく上りきった後、下り始めてこの旅初のチャリダーに遭遇しました。反対車線をランドナータイプの自転車に乗ったチャリダーが苦しそうな顔をして漕いできます。「もうすぐ頂上ですよ」と声を掛けると「頑張ります!」だって。こういうの嬉しいです。
 山道が延々と続くこのルートでは、野生の鹿✕1とキタキツネ✕2に遭遇しました。そうそう野生の動物には出会わないものです。ヒグマに襲われるってことは、まあ稀なんでしょう。
 そうして目的地まで最後と思われる坂を上りきったところにある展望台で一休みしていると、パトカーが巡回で来て止まって、男性のお巡りさんから声をかけられた(別に不審者だったというわけではないはず)。
 「今日はどこまで?」「霧多布で一泊の予定です」「寒いから風邪ひかないようにね」
 昨日のスナックであったOさんの話では、釧路から東に行けば暖かくなるってことだったけど、霧多布は別格らしい。
 ああ、そんなこんなで浜中町/霧多布に到着。サイクルコンピュータを確認するとこの日の走行距離は106km。まあこんなものでしょう。

岬でラッコに遭遇

 この日の宿は「ワークマンハウス浜中」。宿到着は15時30分でチェックイン開始より早かったのだけど、宿の人が親切で早々に部屋に通してくれました。ありがとうございます。
 「大浴場は16時30分から入れますよ」とのこと。部屋にシャワーはついているようなのだけど、大きな湯船はやっぱり魅力です。それまで時間を潰して16時30分ジャストに大浴場へ。これ、大正解です。頭と体を洗ってから大きな湯船へ。やっぱり気持ちが良い。一番風呂だしね。
 ゆっくりしたつもりでいたけど風呂から上がったらまだ17時前。リフレッシュできました。続いて、宿についているコインランドリーで洗濯開始です。洗濯100円、乾燥100円と安い。まず洗濯開始。残り時間を見ると37分の表示なので、終わるまで部屋で一休み。その間に色々と調べていたら、4.5km先に霧多布岬というのがあるみたい。下調べ不十分でした。乾燥機が60分かかるみたいなので、乾燥機にかけている間に宿を抜け出して岬までサイクリングすることにしました。
 最初かなりの上り坂があり「ありゃりゃ」と思ったのだけど、その先は平坦で展望台から岬までなんとか走りました。
 霧多布(きりたっぷ)岬、絶景でした。夕陽の加減も良かった。霧多布岬の突端まで遊歩道が続いていて、岩場のゴツゴツしたのも見られて最高でした。

霧多布岬、絶景です

 突端から戻る道の途中で何人かが海の方を覗き込んでいた。「なになに」と自分もその方向に目をやると、海面に何やら小さく動く3,4個の物体が見えます。「あれ、ラッコですよね」「そうそう」なんて会話をしました。ここには野生のラッコが生息しているらしい。さすが北海道ですな。
 暗くなる前に宿まで戻ろう。宿について乾燥機から洗濯物を出して部屋に戻り、ちょっと準備をしてから街に出よう。

常連さんの釣った魚で一杯

 浜中町。小さい街なので夜の食事処もそう多くない。Google先生で調べて、その中で「富士美」をチョイス。元々お寿司屋さんだったのだけど、大将がお亡くなりになった後は定食屋みたいになっているよう。入店してカウンター席の左端について、ビールを注文(他に、カウンターとお座敷にお客さんがいました)。おつまみはローストビーフと焼き鳥をオーダーしました。で、ビールと一緒に出てきたのがカレイの煮付け。「お通しです」とのことなのだけど、「常連さんが釣ってきてくれたの」だって。同じくカウンターの右端で飲んでいるお客さんがその常連さんで、「どうも」って軽く会釈していただきました。カレイの煮付けです。ビールがいい感じ。
 お店の人とちょっとおしゃべりしながら待っていると、ローストビーフと焼き鳥が続けて到着。ビールが進みます。

カレイの煮付け、ローストビーフ、焼き鳥、満足

 そうこうしていると「これも食べて」ってさっきの常連さん、今度は一夜干しした焼魚を出してくれて、こちらも美味しくいただきました。みんないい人です。締めに頼んだのが親子丼の肉多め。ビール3杯飲み干して、ご馳走様です。

肉多めの親子丼 なかなかの量で満腹です

地元民に愛されている地域のお医者さん

 夕食が済めば次はスナックで一杯の時間。「富士美」を出てすぐに一軒灯りの付いた店があったけど、ちょっと近すぎるな。ということで一本脇道に入ったところにあった「スナック ドリアン」に入店です。中に入ると、ルパン三世とモンキー・パンチ関連の色紙やポスターがいっぱい貼ってある。この地はモンキー・パンチの出身地だそうで、ルパン三世関連の方々も何度か来たことがあったそう。山寺宏一のサイン色紙もありましたね。
 で、ママと談笑。北海道を自転車で旅しているという話から、ママの航空会社のマイルの話に。旅行が好きだというママは、JAL、ANA両方のライセンス(?)を持っているって話で、北海道の航空会社事情なんかも教えてくれました(この空港はANAだけしか通っていない、とか)。さらに、旦那さんの話も。漁師なんだけど船の設備が故障してその修理に1000万円かかるっていう話で、「後継もいないから、修理はしていない」だって。
 そんなこんなな話をしている間に、若めの男性のお客さんが一人入って来た。で、自分を見るなり「ああ。サイクリングの人ね」だって。食事をした店にいた人みたい。
 よくよく話を聞くとこの人、この辺りのお医者さんなんだって。ママさんの態度を見ると地域の人に頼りにされているよう。なので、この旅行の直前に受けた人間ドックの血液検査の結果(特に血糖値)について専門家の意見を聞いてみると「全然問題ないでしょう」だって。「都会の医者はそういうの気にしすぎなんだよね」と話してくれた。そうだよね。安心安心。
 この先生が面白い人で、横浜から彼女と豪華クルーズ船で3カ月かけて世界一周したとか、その彼女と結婚はしていないのだけどまだ繋がっているとか。自分が明日根室まで行くっていう話をすると、「この前買ったばかりの125ccのバイクで根室に行ってきた」と言って、さらに「根室は海鮮ならどこに入っても美味しいから楽しんで」とのことなので期待が膨らみます。お酒も地元の日本酒を勧めてくれた。「道東ならどこに行ってもあるから」と「北の勝」の「大海」っていうごく普通レベルのものなんだけど、これ美味しかったなあ。他でも見かけたら頼んでみよう。

根室の地酒「北の勝」 なかなかの美酒です

 「素泊まりなんで朝食をセイコーマートで買うつもり」と話すと「23時までだから注意した方がいいよ」と先生。時計を見ると10時30分になろうというところ。ここでスナックをお暇して、センコーマートでおにぎり、巻き寿司、お茶、水2本を購入し、ホテルに戻っておやすみなさい。

🔳🔳 教訓 🔳🔳

事前の情報収集は大事。
事前の情報がなくても、見所を見つけたら絶景を見逃すな。


次回「その4<3日目>」に続く。


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