自分の店ならではの味を作る
【自家焙煎珈琲店の味作りのトレーニング】
NAKAJIの焙煎講習はいわゆる「焙煎の型」を教える講習やトレーニングではありません。受講をしてくださる方の多くは個人事業主として自家焙煎珈琲店を経営されている方または経営していこうという方です。しかも生業としてです。そのため単に素材のポテンシャルを引き出した焙煎に留まらず、独自の風味に仕上げたいという方が多くみえます。
つまり「ひと口飲んでその人の焙煎とわかる味にしたい」ということです。
NAKAJIはそれを請け負っています。
「どう焙煎してもその人の味になってしまう」と「その人の味に仕上げることができる」は全く意味合いが異なります。
それを実現するためにはNAKAJI自身も焙煎を理解し伝える力を必要としますし、焙煎機メーカーごと特徴や焙煎機の設置環境の作り方も理解しなければありません。かつて「思うような味にならない」という 相談受け実際に足を運んで見てみたところ、焙煎機の操作ではなく焙煎機の設置環境がその原因であったということもありました。
改善するためのポイントを見極めるためには 焙煎機の操作について理解するだけでは不足ということになるのです。
とはいえ 焙煎を理解するということに終わりはなく、その終わりのない旅を情熱を持って続けることが「自分の表現したい味」を実現することに欠かせないものだと思っています。
そのため ただひたすらに焙煎について一緒に深く潜ってくれる人がいるということはとても幸せなことだと感じます。
〈その人を知る〉
個人レベルの自家焙煎珈琲店において お店の味 とは 焙煎士(オーナー)の人柄 そのものだと感じることが多々あります。どのような味を表現したいか、ということを知るために 私はどんな味を表現したいかということをしっかりと聞き取ります。それはもうくどいほど聞きます。
そして 味だけではなくその人がどうやって今に至ったかという経緯も詳しく聞いていきます。私はおよそここに多くの時間を注ぎ込みます。
ここがぼんやりしてると求められているものを一緒に作り出すことができないからです。逆にここが明確であれば しっかりと味が作れるのです。
〈必要な知識を伝える〉
表現したい味が明確になれば次はそれを表現する手法を伝えていきます。私が横にいる時はできるけれど いない時はできないでは意味がないので講習やトレーニングが終わった後にご自身でやっていってもらえるようトレーニングをしていきます。
要はセルフビルドできるようになっていただくのです。
いろんな経験を経て、あふれる思いがあるからこそ自家焙煎珈琲の店をスタートさせるに至った。だけど一人では越えられない壁に当たったからこそ NAKAJIに声をかけてくれるのだと思っています。
その気持ちに応えるため私は 掘り下げるところまで掘り下げ続けていきます。
〈何故講習やトレーニングをするのか〉
誰かに必要としてもらえることこそがNAKAJIとして存在している意義だと思っています。私は今のように人に何かを伝えられるようになるまでにかなりの年数を要しています。たくさん検証し壁にぶつかってはもがき続けました。その繰り返しをして現在に至っています。
それが正解か不正解かはわかりませんが知識を共有し技術を伝えてくれる人がいたらありがたかったということはあります。特に始めたばかりの頃は誰もまともに相手にしてくれませんでしたから。
そんな経験があるからこそ講習やトレーニングをやっているといえます。
私は生産者の素晴らしさはシングルオリジンで伝え、自分の自己表現はブレンドで表し、講習やトレーニングを受けてくださる方に私の型ではなくその方の表現したいことを形にできる知識と技術をお渡しする。
そのためにも渡せる知識と技術はいまも常にアップデートし続けていきます。
明日は昨日までの自分を塗り替えることができるような取り組みをしていこう。毎晩そう思っています。
味作りは全体を理解すればどんな味もやり方次第で再現できます。大切なのは「これを実現させたい」という思いではないかと考えます。だからこそ少人数、マンツーマン式でしっかり向き合いながらやらせてもらっています。