福島のばあちゃんの告別式
93歳。
認知症で孫(自分のおかん)たちの事も理解できてないような感じになっていたが、亡くなる数日前にうちのオカンが会いに行った時、確かにオカンの呼びかけに反応して笑った、自分はその動画を見て、夜中に涙が出た。
年末の忙しい時期だったが、無理を言って日帰りで告別式だけ出席した。
告別式の後の食事も久しぶりに会う親戚一同、年も近いいとこ達とは昔からとても仲がいいけど、コロナで仕切られて質素な感じで切なかった。だけどコロナど真ん中の時だったら、これさえもできなかったんだなと思うと、有り難く感じた。
福島県川俣町、原発の退去区域からギリギリ外側の区域。ほぼ昔の集落のままで、近所の人達が皆助け合う文化が今も残っている。
納骨の時も、近所の男性達が仕事を休んで、納骨を全て取り仕切ってくださった。これは田舎以外ではもうあまり見る事のできない光景だと感じた。 告別式の時も『隣組』という言葉を何度か聞いた、近所の人が支え合う仕組みが昔で言う『隣組』という支え合いのコミュニティなんだと思った。醤油ひとつも横から借りてくる時代が少し昔にはあったわけだ。
調べたら、どうやら第二次大戦下らへんで、近所通しで面倒見合う組織として機能し始めたらしい。
親が住んでいるマンションに行ったときにいつも思うことがある。『なんでこんなにマンションのお隣さんが廊下ですれ違ったりするのをビクビクし合ってるんだろう?』自分が見た目イカついからしょうがないのかなっておもっていた。
『マンションの一室を買えば、それ以外は関係ないよね』ってゆう考え方が定着したのだ、『買った場所と買った空間が自分たちのもの』これは自分もそう思ってずっと生きている。忙しいので、自治会とか、ゴミ当番とか、はっきり言って面倒である。
だけど、昔はそもそもそれが違っていたんだなと思った。コミュニティやご近所さんなど、お金とは違う価値観で人は繋がっていた。しかし資本主義が定着したことにより、お金で分断される社会になった。そうするともともとコミュニティからあぶれた者は、お金で一人分の飯を買い、お金で一人分の家賃を払い、お金で一人分の娯楽を買い、お金で9割の部分はクリアできてしまう、そして友達や繋がりがなくなっていく。 お金はあっても、恋人や、友達などの心のつながりは買えない。
僕らの業界の飲食業界も、一人で入れるお店には数年前から需要が増え続けている。一人カラオケなんかはそれの象徴でもある。
自分は一人が好きで、少し孤独に感じることもあるが、一人で自由奔放に休日を過ごすとがけっこう好きだった。だけど今年の春頃に6年ぶり?7年ぶり?くらいに彼女ができた、タイミングも重なって同棲している。
生活に彩りが出た、すごく心が和む。
この感覚は自分が忘れていたものだった、これはお金じゃ買えないなーと思う。
ここ数年は自分のメイントピックは『資本主義を考え直す』ことである。だけど商売人なので、資本主義の中で生き抜くことも同時に考えていく。来年もきっと考え続けるだろう。
ばあちゃんの告別式に行って、近所のおじちゃん達が仕事休んで納骨を手伝ってくれたこと、隣組のというワードを聞いたこと、で帰りの新幹線でこんなことをずっと考えていた。
おわり
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