文系博士課程修了後の一般企業への転職活動記録
博士後期課程まで進学した人の多くは一般的な新卒での就職活動の経験がある人は少ないかと思います。特に一般社会から文系分野だと思われている分野では、「企業で活かせる専門的知見がない」とみなされ、書類審査を通過することも難しいかと思います。
私は言語学・教育学分野からIT系のコンサルタントになりましたが、その体験についてまとめたいと思います。なお、博士課程卒の新卒就活ではなく転職という形を選びました。新卒就活の知見はまったくないので、こういったエントリが世にたくさん出てくることを期待しています。現状は理系のものばかりなので。
ちなみに1万500字あります。
学歴・職歴
正直、学部時点での大学名で書類審査を突破した部分がかなり大きかったので大学名も記しておきます。
2021年3月時点
学歴
地方県立高校卒(2008年)
1年の浪人生活を経て京都大学入学、4年で卒業(2009年~2013年)
京都大学大学院修士課程(2013年~2015年)
京都大学大学院博士後期課程(2015年~2019年9月)
※2019年9月に指導認定退学しています。指導認定退学(単位取得満期退学)は一般的に知られていないルートなので、中退や博士号取得との違いを説明できるようになっておく必要はあります。
職歴
日本語学校で専任講師(2018年4月~2021年3月)
3大学で非常勤講師(日本語教師)(2019年4月~2021年3月)
履歴書に記載した職歴は上記の通りです。転職活動中に注目された点としては
京都大学卒業
京都大学博士後期課程指導認定退学
の2点でした。転職活動に絞った話をすれば、残りの経歴は何の役にも立ちませんでした。
転職活動を始めたタイミング
まず、2020年の11月ごろには日本語学校の退職が決定していました。コロナのニュースが出てきた2019年末から2020年3月にかけて、全国のあらゆる教育機関が地獄を迎える中、幣日本語学校も例にもれず2020年度の入学生の減少、一時帰国中の学生の再入国不可、バイトがなくなり帰国せざるを得ない学生の発生、と学生が大幅に減少しました。それでも在学生がある程度いたのでなんとかやってきたのですが、2021年度以降は現状維持が難しいとなりました。私自身もアカデミックに残ることを考え直していたところなので、2020年11月時点で3月末での退職で話を進めていました。
この状況の中、過去にバイトしていたコンサル会社での就職を考えていたため、就職・転職活動などは行っていませんでした。結果的にその企業は非常にブラックだったためにそちらへの就職をお断りすることになりました。それが3月上旬の出来事です。
上記の状況を経て、2021年3月から2021年4月入社を目指した転職活動を始めていきます。ちなみに日本語教師時代の年収は非常勤講師を含めて320万程度だったので良い企業を探して無職の時間を過ごすという選択肢はほぼありませんでした。
転職活動の時系列
就職活動自体に一切の知識がなかったため、検索結果で出てきたサービスにとりあえず登録しました。具体的には「Green」と「ビズリーチ」です。
Greenはエンジニア系に強い転職サイトで、自分で企業とやり取りを行います。企業とのやり取りはおろか、どういった情報を記載するべきか分からなかった私にはハードルが高かったです。事実、この時の転職活動ではGreenを通じて企業とのやり取りすら一切発生していません。
転職活動のスタートはビズリーチでした。ビズリーチはダイレクトスカウトという優秀な人を一本釣りで採用しようという企業が使っているということになっています。登録には一定の審査があるそうです。
サイトに登録するにあたり、職歴の詳細やスキル、企業の職種やらなんやらを言われるままに書いていきます。そもそもここを埋めるのが大変でした。ここで書いたものが基本的に履歴書・職務経歴書というものになっていきます。
サイトへの登録作業と同時に履歴書・職務経歴書が完成すると企業や転職エージェントからスカウトがやってきます。私はここからほかのエージェントサービスに登録していく(というか気づいたらしていた)という流れでした。この時は企業名はおろか、世の中にはどんな名前でどんな仕事が流れてくるのか分からなかったので流れてきた情報に反応するだけでした。
エージェントに登録しながら同時に一応転職サイトにも登録しました。こちらは登録しなくてよかったかなとは思いますが、多くの企業情報が流れていくので様々な相場をつかむのには役立ちました。ただある程度職種や業種に対して(自覚はなくとも)自分が志望する傾向というのはあります。結果的にエージェントから流れてくる企業情報も転職サイトから流れてくる企業情報もあまり変わらない印象でした。
話を戻しますが、エージェントに登録すると次はひたすら面談が続きます。エージェントが毎回「これまでの経歴」「なぜ転職したいのか」「どんな仕事を探しているのか」「こだわりは?」といったことを聞いてきて、その面談の結果マッチする求人を紹介してくれます。転職活動は一度やればだいたい何をすべきかつかめると思いますが、最初は特に大変です。変にスムーズに答えるよりも分からないことや自分の価値観はきちんと伝えたほうが良いです。エージェントには「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」戦法でたくさん応募をするパターンと、一点突破でこれだ!という求人だけ紹介するパターンがあります。転職活動をスムーズに、かつ内定をたくさん取って余裕を持った心持ちで転職するには前者の求人の質(自分の希望する求人とのフィット度)を上げることが効果的です。私はここで失敗をしました。
あとの流れはエージェントに聞けばよいかと思いますが、書類作成をして、求人に応募し、面接を数回クリアして内定を取得する、という流れです。
転職活動での内定は長くて1週間程度しか有効ではありません。短いところだと3日以内で返答を迫られる場合もあります。そのため、一定のタイミングに内定が出るように最終面接日を合わせるという作業が必要になってきます。転職が必須の場合、長く活動してもよい結果が出にくいので、集中的に行うことをお勧めします。
履歴書・職務経歴書作成
上記のように転職サイトや転職エージェントに登録する作業と同時に必要になるのが履歴書と職務経歴書になります。履歴書は一般的な形式にちょろちょろっと書くだけなので割愛します。
厄介なのは職務経歴書です。まずフォーマットがエージェントやサイトによって異なります。コピペでなんとかなる場合もあれば、指定された形式に書き直したり、文字数やその他の制限で書きたいことが書けなかったりします。
新卒でのエントリーシートと異なり、職務経歴書は基本的に1つのものを使いまわします。これまでの仕事で何をやってきて、どんな成果を出して、どんなスキルを持っているかを説明するのが職務経歴書です。企業にアピールできる素材はこれしかないので力を入れて書くことになります。また、もちろん自身が希望する職種に合わせた内容を書くことになります。
では具体的に何を書くべきなのか。文系分野の博士課程出身者ですと、多くの方は教育系の仕事の経験(中高の非常勤や大学での非常勤講師、塾のバイトなど)があるかと思います。私は教育機関での経験に加え、上記のコンサル会社でのアルバイトの経験も記載しました。研究者・教育者が一番言われがち・思われがちなのが「社会(営利企業)のこと知らないよね」ということだと思います。そのため、飲食店や教育系以外のアルバイトについて積極的に記載しました。とはいえアルバイトは一般に職歴に含まないので、企業経験の薄さをアピールしてしまうことにもつながるようです。
書き方に関しても、基本的には①概要、②その職での課題、③解決のためのアプローチ、④結果の順に書くことになります。それが説明として効率が良いからです。紙面が限られている+人は文章を読まない、これを踏まえて各エージェントや転職サイトが準備したフォーマットに合わせて書くとよいでしょう。
内容や書き方については一定の正しさはありますが、とにかく採用側が理解しやすい内容、担当者が上司に説明しやすい書き方を心掛けましょう。あなたがアピールしたい内容と企業側が理解しやすい内容にギャップがないかを考えなければ効率の良いアピールは難しくなります。
企業が求める能力ですが、多くの企業では以下の内容で網羅できていると思います。
まずその職種に必要なスキルセット。具体的には経理や人事、総務などではオフィス系のレベルや法律面での知識、各種手続きのスムーズさです。エンジニアでいえばプログラミング能力ですし、営業であれば売り上げですし、商品企画系ではコンスタントにアイデアが出せる能力でしょう。職種によって異なりますが、企業によって大きく異なることはありません。
次にマネジメント能力です。どんな企業でも数年経てば部下を持つことが想定されます。マネジメント能力は部下を何人持って動いたかで評価されます。私は研究室運営やアルバイト先でのチームマネジメント経験をそれっぽく仕立てました。
最後に課題解決能力です。課題を発見して、解決方法を探り、具体的に解決させた経験が求められます。研究と異なる部分があるとすると、その解決結果の効果検証はかなり甘いです。甘いというのは、緻密な論理関係は求められませんし、統計的な検証や因果関係も大雑把です。重要なのは読み手が直感的に理解したつもりになれるかどうかです。理解したつもりになればとりあえず面接、意味が分からなければ不合格です。
ここまでのことが十分に盛り込めるかどうかは難しいことが多いと思いますが、上記がフォローできていれば書類の出来が悪くて不合格、ということはあまり考えられません。
求人票のチェック・応募
ここまでできれば、あとはエージェントが持ってくる求人票や自分で探した求人を見てどんどん応募していきます。文系博士を求める専門職というのはほぼないのである程度妥協してたくさん書類を出しましょう。求人票を見て仕事内容とビジネスモデルが想像できない場合はエージェントに問い合わせるのが吉です。企業経験や転職経験がない人が難しいのは求人票から仕事内容を想像することで、ここは経験から得られる相場観が物を言います。
注意すべきポイントですが、職務内容と企業の業界です。1社目が素晴らしい会社で定年まで勤められればいいのですが、多くの人はいつか転職をすると思います。その際「1社目を選んだのはなぜですか?」ということがかなりの高確率で聞かれます。そこに「よく分からないまま応募したら通ってました。いまいちだったので転職活動してます☆」みたいなことを言っていると情報収集能力の弱さ、問題把握能力の低さを疑われます。博士課程まで行けば情報収集能力は売りの1つにしたいところですが、そこが根底から覆されます。最初は求人がたくさん送られてきて精査するのも大変ですが、少なくとも企業のホームページはチェックしておきましょう。
また、次の職に転職する際にも同じ職種であれば経験者枠となって採用されやすくなりますし、そうでなければ未経験から再度スタートです。年収も前職の年収を基準に決められるので高い年収でスタートできるに越したことはありません。すべてを求めるのは難しいですが、安易に妥協しないことが今後の人生の円滑さに影響するので気を付けましょう。
私はこの応募のところで結構なミスをしたと感じています。エージェントから届いた求人票は条件が悪かったり、到底博士課程の人間を受け入れてくれなさそうな企業だったりしました。具体的に言ってしまうと、年収が200万程度だったり、何度も摘発を受けているような悪徳企業だったり、逆に志望していない教育系だったりです。教育系は一度教育界から離れたかったのに仕事が見つからなかったら不安なので応募していました。そして実際に面接はほぼ通過でした。行かないのに面接を受けるのは結構時間的に負担も大きく、練習がてら受ける以外ではあまり望ましくありません。
面接
面接は概ね流れが決まっています。1次面接、2次面接、3次面接など複数回面接があることが基本ですが、いずれも同じようなやり取りを行います。同じようなやり取りですので、本命以外にも面接を受けておき、企業調査から後述の自己分析まで一通り行っておくことをお勧めします。ぶっつけ本番で面接を受けても練習にはなりません。あと思ったより良い企業・人に当たることもあります。
概ねの流れでは、自己紹介・転職理由・志望動機・職歴、学歴・職務経歴書などから気になった点についての質問となります。これに加えて企業側が自社の紹介をすることも多かったです。大雑把な言い方ですが、優秀な人を取り逃さないために企業側もアピールが必要だからです。
面接官ですが、おおむね2パターンで、直属の上司になる予定の人か人事担当者が出てきます。ベンチャーだと役員がいきなり出てくることもありますが、役割としてはおおよそのふるいにかけることなので、人事が出てくる時と同じ目的です。
また多くの面接ではかなり対話的で、柔らかい空気の中で相互にやり取りしながら面接を進めることが多かったです。なので、1つの回答に相手が感想を寄せたり、さらに質問につながったりする場面もありました。
柔らかい空気の中で自分の素を見せてしまいがちかと思いますが、企業側からは求める人物像が出ていることが多く、それに基づいて合否が定められます。私は実際に「○○の経験についてネガティブな言葉が出てきたのが気になった」と面接で不合格を経験しています。
嘘をつく必要はありませんが、相手のコミュニケーション方法に合わせることも重要です。「この人となら働けそう/働きたい」と思わせることが内定獲得への道です。
また、職務経歴書でも「社会(営利企業)のこと知らないよね」というのを書きましたが、面接ではそういった態度に直接出会います。そういうことを言う人は懸念事項として2つ持っています。
1つ目は「どういう風に人がお金儲けをしているか、その仕組みやそこでの役割を理解してないんじゃないのか」という心配です。ビジネスモデルや収益モデル、その中で採用された場合の役割やそこで生まれる課題についての知識・理解がないため育成コストがかかるという懸念です。ここは面接の中で自分は分かっていることをしっかりアピールする必要がありますし、逆に「未経験のはずなのに、想像力だけで的確に状況が把握できている」というのは強いアピールになります。ビジネスモデルや収益モデル、もしくは組織論といった知識については、少し本を読んだりして調べて、あとは丁寧に推論すれば真面目に研究してきた力で解決できるレベルだと思います。私は逆質問フェーズで「御社は○○という収益モデルを持つ業界の中で、こういった部分に特異性(もしくは優位性)があると思うのですが、その場合こういった課題が必然的に生まれていると思います。そこに私はどんなアプローチをすることが求められていますか?」という質問を行っていました。
2つ目は「社会人たるもの!サラリーマンたるもの!」みたいな昭和な根性を持っていないのではないか、という話です。理不尽さへの忍耐力や自分をどれだけ殺せるかを見ています。私はこういった昭和な人たちと働きたくなかったので、こういったことを求める企業は辞退していました。ですが、文系でも理系でも「1日8時間、土日祝休み」みたいな優しい条件で研究をしている人はいないと思うので、少々ハードなことを求められても今の生活より楽になると思います。
上記が誰にでも当てはまる面接の紹介と注意事項のようなものです。次に、具体的に話す内容を整理するための自己分析についてまとめます。
自己分析
転職活動において、自己分析は2つに分類できます。内省的自己分析と記述的自己分析です。齋藤勇(1986)の引用ではなく私の造語です。
一般に自己分析と言われてイメージするものは、内省的自己分析に該当します。つまり、「自分は何がしたいのか」とか「自分の特徴は何なのか」とか「何にモチベーションを感じるのか」といった、自分自身の性格や傾向、特徴について理解することです。特に転職活動ですので、「どんな仕事がしたいか/したくないか」「どんな会社がよいか」「どうして研究職を目指さないのか」「将来どうなりたいか」といったことを把握する必要があります。文系博士の一般就職は結構ハードルが高く、「仕事があるだけで十分です」という態度の人も少なくありません。しかし、採用する側からすると明確なイメージや要求がある人のほうが評価が高いです。なぜなら自社とのマッチ度が測りやすいからです。「あなたの求めるものはうちにはないよ」とはっきり言えると「いやいや、そこの優先順位は低いんですよ」みたいな会話にもなります。もちろんマッチしていれば採用する理由が明確になります。新卒の大量採用と異なり、中途採用は1人だけ採用したいという場面がほとんどです。合うか合わないか分からない人を採用するのはお互いにリスクでしかありません。
上記の通り中途半端な態度が一番困るんですが、一般企業で働こうとする院生や教育関係の人たちはここがすごく弱い印象です。転職することが難しいと思っているから妥協が強かったり企業にゆだねたりする姿勢が見られます。
次に記述的自己分析です。これは上記のような思考や欲求的な内省した結果をどう表現するかといったものです。実際に面接で求められるものはこちらになります。内省的自己分析ではいくらでも複雑なことを考えたり、膨大な欲求を認めたりすればよいのですが、限られた面接の時間ではそれらをうまく説明する必要があります。自身の考えていることをある程度端的に分かりやすく表現できるようになることを記述的自己分析と呼んでいます。記述的自己分析では自分や自分にまつわる事象をどう表現すれば相手に伝わるかを重視します。そのため場合によっては相手の持っていない知識を補填したり、自分の考えを削ったりしながら説明する表現を準備しておく必要があります。
たとえば私はコンサルを志望した際に「どうして教師からコンサルなんですか?全然違う仕事ですが」と聞かれた際にはこう答えていました。「私は研究者の端くれとして一応世界の最先端の教育理論について少し知見があります。現在教師というのは従来の教壇から一方的に話をするのではなく、学生ひとり一人が何を求めていて、今どこでつまずき、どうなっていきたいと思っているのかを解決することが仕事だと思っています。相手の課題を適切に把握し、それに対してある程度専門性の高い知見を持って課題を解決し、プラスアルファの価値を提供していく、という構造が一致しており、その観点から教師もコンサルタントもあまり仕事の違いはないと考えております。教育に限らない幅広い分野でお客様に価値を提供できる仕事がしたいと思ってコンサルタントの職を探しております。」です。よく1つの質問へは1分以内で回答しましょうとか、Q&Aは端的に、とかと言われますが、この程度の量であれば話が長いととられたことはありません。むしろ、「こちらの意図を汲む力が優れている」「仕事のビジョンが明確」という評価を受けています。
これが記述的自己分析です。
一応話の構成を解説しておくと、初めに博士課程まで行った専門性の内容を伝えます。次に教育という仕事内容について相手とイメージを合わせながら、仕事内容を一般化して説明する力を見せます。次にコンサルとの共通点を述べることでコンサルの仕事を理解していることを証明します。そこから教師とコンサルに違いがないことを言葉にすることで相手にこちらの意見を飲ませます。さらに最後にどんなふうに仕事をしたいのかを示すことで、働き方のビジョンを示しています。
転職活動結果
1回目の転職活動は1年前なんですが、何社に応募したのか詳細を記録できていません。ただ、書類通過率は20%程度、面接は各フェーズで30~50%が相場だと聞きました。最終的な結果としては2社から内定をいただきました。また、書類通過率は体感で10%以下、面接通過率は70%ほどありました。しゃべりは得意なので、面接までいけばなんとかなるとは思っていましたが、悪くない結果だったと思います。
内定は2社でしたが、2社の内定が出た段階で5社ほど一次面接を通過していたので粘ればもう少し内定が出たのかなとは思います。
利用したサービス
最後に利用したサービスと感想を書いておきます。
転職サイト系
ビズリーチ(https://www.bizreach.jp/)
すべてはここから始まった。とりあえず良い給料の仕事を探していたので、一番そこに直結しそうなサービスに登録したのがこれです。ここではエージェントや企業の採用担当から直接メッセージが届きます。エージェントからメッセージが来た場合はエージェントサービスへの登録に移ります。また、特殊な例だとは思いますが、ビズリーチに登録して一番初めに来たのは「ビズリーチに入らないか」というスカウトでした。面接のノウハウも何もなかった私は「スカウトされたのに向こうからぐいぐい来ない、変な空気だなあ」と勘違いしたまま面接に落ちました。今なら受かってる。
リクナビNEXT(https://next.rikunabi.com/)
新卒用リクナビの転職活動版です。一応登録してはみましたが、膨大な求人数に対してこちらの条件がふわふわしすぎていたのであまり活用できませんでした。また、エージェントサービス以上に書類審査が厳しい(エージェントはプッシュアップしてくれる、らしい)ので、同じ求人が出ているなら信頼できるエージェントから応募するほうがよいでしょう。結局ここでもスカウトが届いたものにしか応募しませんでした。
Green(https://www.green-japan.com/)
エンジニア向けの転職サイトです。エンジニア以外の求人もなくはないですが、ある程度経験のあるエンジニアの採用がメインなのであまり相性はよくありませんでした。
エージェント系
リクルートエージェント(https://www.r-agent.com/)
言わずと知れたリクルートのエージェントサービス。登録後に書類作成とエージェントと面談を行い、その後求人が紹介される。継続的に新規の求人が出されるが、エージェントが個別に紹介はしてくれず、AIによる求人紹介となる。そのため、自分が応募した企業を学習してしまうので、ひどい場合は書類に通りようのない企業にばかり応募してしまう可能性も高い。数撃ちゃ当たるが基本で、リクルートエージェント内で書類審査があり、そこを突破しないと企業にまで書類は届かないそう。メリットは求人数の多さで、大手企業から中小企業までカバーされている。大手のためエージェントの質は運に任せるしかない。
ワークポート(https://www.workport.co.jp/)
ビズリーチを通してアプローチのあったエージェント。最終的にこちらのエージェントさんの紹介で内定をいただき、入職しました。求人の条件はよくないものが多かったですが、フォローアップが丁寧で、面接に向けたサポートは手厚かったです。求人票のチョイスは人も行っているようで、希望する条件や職務経歴書を見てフィットする求人の推薦もありました。特段利用するメリットはないですが、個人的には一番信頼できました。
DRIVEキャリア(https://drive.media/career)
社会貢献性の高い企業やNPOに絞った求人サイト・エージェントサービス。1時間ほど面談を行い、2社の紹介をいただきました。結果的に応募までのハードルが高く、書類審査にもたどり着きませんでしたが、社会貢献性の高い仕事がしたいというところをほかのエージェントさんよりはるかに汲み取ってもらいました。いわゆる営利企業が難しいが一般就職を考える人にはおすすめです。
アロンジ(https://allonsy.co.jp/)
関西を中心とした転職エージェントサービス。こちらも別の転職サイトからの誘導で登録。DRIVEキャリアさんと同様、1時間の面談の上で1社の紹介をいただきました。結果入社には至りませんでしたが自分が想定していなかったような企業の求人の紹介で、ありがたかったです。DRIVEキャリアさん同様、エージェント側から適していると判断した求人をくれるので求人数は少なくても頼りになります。
アカリク(https://acaric.jp/)
勝手にこちらが期待しただけですが、一番残念でした。理系の院卒には多様な選択肢が出てくるようですが、少々統計をかじっていても文系であれば求人はほぼありません。他社のエージェントサービスと変わらない求人ばかりでした。アカリクさんでも文系博士の取り扱いは難しいようです。難しい条件だったとは思うんですが、3社ほど求人をいただきました。
終わりに
本記事執筆時点(2022/03/31)では本記事で転職した企業を退職し、明日から次の企業で働くことが決まっています。それはまた後日。
冒頭でも書きましたが、文系博士の人たちが一般企業で働く時に先行事例があまりに少なく、いろいろなものの相場が分からないままの転職活動となりました。一度経験してしまえば求職のコツなども見えてくるのですが、はじめの一歩で困る人も大勢いるかと思います。その一助になれば幸いですし、文系博士の研究以外のポスト問題についてはもっと取り組んでいきたいと思います。
転職活動の経験を淡々と書けず、得られた知見などがたくさん入ってしまったのが本記事の反省点です。
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