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カット

僕は美容室が好き


だいたい毎月一回行く


少し伸びてくるとすぐに鬱陶しくなるし
切ってもらうと気分がすごくスッキリする

シャンプーをしてもらうのも好き


地元に帰ってきてからというもの
もう10年近く同じところへ行っている


何人かおられる内、僕より少し年上の
男性の美容師さんがずっと担当してくれている



なにかは知らんが
コンテストで賞を取ったりされているし
カットを上手にしてくれる


同年代で話題も合うし(2人子育て中)
仲良くしてくれている



例えるなら

紅白出場など最近話題の
CreepyNuts「R-指定」さん
に似ている

パーマを当てた長髪
服装もおしゃれ
あごひげ



最近は「A」のロゴが入った
ベースボールキャップを被っていることが多い

陸上部やったのに



色々話すが

彼が会話の冒頭、よく口にするのが
「おれアホやからさ〜」


おもしろい話をして
楽しくしようとしてくれているのは分かるが


おもしろ客の僕から言わせれば
そんなにおもしろい話でもない


が、そんな感じで気も使わなくていいし
いつもすごく快適に過ごさせてもらい
満足して帰る



僕はこのところずっと
同じ様な髪型にしてもらっている



両サイドと後ろが伸びるのがすごく嫌なので
少し長めに刈り上げてもらい
上と前髪は長めに残して横に流す

まさに
このnoteのアイコンの様な髪型に近い




この頃は例の息子(3)も
二回に一回くらい僕が行く時に連れて行き
一緒に切ってもらうことになっている



お姉ちゃんは3歳頃といえば既に
髪の毛を切るとか
ラプンツェルみたいにするから伸ばすとか
(おそらく40年程かかる)

色々こだわっていた記憶があるが




その点男の子らしいが
髪型など興味は無いようで


尋ねてもだいたい
「パパと一緒にする」と答える
(実際一緒にはならず可愛らしくなっている)




年末にかけてクソ忙しかったのもあり
珍しく2ヶ月を越えて行けていなかったところ

年も明けて先日
やっと行ってこれた




いつも通り
予約時間に間に合うよう車で向かい

いつも通り
駐車場の自販機で
(3)にりんごジュースを買わされた後入店


席に通していただく




荷物を下ろし一旦席に着き
シャンプー台の方へ移動

お姉さんにシャンプーをしてもらい


再び席に戻る





息子はというと
最初の頃は行くのを嫌がったが



前のテーブルにiPadでYouTube
ペコちゃんの棒付きアメ
を手厚く用意して下さるようになってからというもの
喜んでついて来るようになった



体に対しでかい椅子に重役のように座り
棒付きアメを舐め
お姉さんにYoutubeをつけてもらう




ええ身分やで


お店は忙しそうで
僕の隣の席には先客がおられた



若いお兄ちゃん


芸人さんの
ザ・マミィ 酒井
そっくりの髪型にしてもらっていた




横と後ろを同じく刈り上げていたが

見た目、白くなるほどに短くしていた
刈り上げLv100



そんなマミィは一足先に退店

彼も笑顔で満足そうやった



そして僕のカットに移るR-指定




「おれアホやからこないださ〜」
といつもの調子で話し始め

手始めにバリカンで後ろを刈り上げる



ウィィィィン


けたたましく唸るバリカン



ジャリジャリ


勢いよく下から上に
少し刈ったところで手を止めるR


アホやからどうしたのか
続きも話さない



僕は
「どうしたんすか?」
と尋ねるものの


返答を聞くまでもなく
一瞬で理解した




まさか貴様それ



マミィ仕様のままとちゃうんか


目を泳がせて硬直し
地蔵化するR

初めて見るプロの青ざめた顔


そして僕の「どうしたんすか?」
の問いに対し


「大丈夫大丈夫、いけます」
と珍しく敬語で返答




焦る僕




え、まさかあんな白い
マミィ刈り上げになるんか



ほんでいけますちゃうねん


今日は
お客様全員マミィDayか



帽子のAは

AHOのAやったんか




失礼

内心取り乱した




しかし
2025年の僕は冷静沈着を装った



思っていることも口に出すことはなく

いけると言っている彼を信じ
静かに見守ることにした



まだマミィ化することが
決まったわけでは無い


その後順調に切り進めるR
何事もなかったかの様に会話も弾む


途中何度か
「ここ、後ろに合わせとくな」

と言われたことが気に掛かったが
まあいい



そして完成

いつもに比べ両サイドが若干短くなっているが
騒ぎ立てるほどのことはない



鏡越しに前から見て
違和感と言えるものは無い

すごい




しかし緊張の一瞬


後ろを確認するための鏡を
持ってきて広げ

「どう?こんな感じ」
と尋ねるR


白目をむいているようにも見える



予想に違わず
後頭部下半分が白い



しかしさすが

そこから上はグラデーション的に残してある



帳尻を合わせてくるのは
さすがプロの技

感心した



しかし同時に思った



貴様これ


首から上の後ろ姿



北の総書記と同じやんけ



まあしかし
頻繁に美容室に行く僕は


髪の毛など数日もしくは一週間単位で
すぐに伸びてくることも知っている



白いのはすぐに解消されるし
いつも家族皆お世話になっている



それに


「うーん、ほなこの下の白いところ
もう少し伸ばせます?」


とか言うたところで無理やろ


という事で
今日のところは不問にしよう



脳内協議を終え


「いいすね。ありがとうございます」

と答える僕



すると一瞬にして生気を取り戻すR


しかし苦しそうに
「まあもうすぐ春やし、短めも良いかもよ」

と言い始める



は?


なんで僕だけ




はやばやと春の準備せなあかんねん

刈り上げで



ヤマザキ春のパンまつりより早いやんけ




まあ今回は不問とした


そして次は

椅子に座り
棒付き飴を舐め
Youtubeを見ていた重役(3)の番



優しく尋ねてくれるR
「(3)くん今日はどうしようか?」



重役はお姉さんを従え
堂々とした態度で飴を舐め
僕の方を見もせずに答える



「パパといっしょ」



僕は言葉を選び
失礼のないよう配慮しつつ

パパといっしょを速やかに阻止



仮にそんな事を許せば


北から子連れで
日本の技術を視察しに来たと思われてしまう



そうこうして

重役は無事
可愛らしい髪型になった



刈り上げが
速やかに伸びますように


マミーで乾杯

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N氏
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