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前歯

娘(6)が春から小学校へ通う

もう小学校へ行くのかと思うと
時間の流れというのは
恐ろしく早いということを実感する



いつも家族の事というと
おもしろいので
息子(3)の事を書くことが多いが

娘(6)もなかなかおもしろいので
書いてみたいと思う



最近、僕に言うことが
ちっちゃい嫁さんみたいになってきた



スーパーで缶ビールをかごに入れると
「え、パパまた買うん」

とか言う



朝、仕事に行くときも
「パパ、帰りにローソンで
むだづかいしたらあかんで」

とか言う

すごくしっかりしている様な雰囲気を醸し出す



そんな(6)

少し前から入学準備を着々と進めている

入園式で着る服から始まり
ランドセル(値段に驚いた)
筆記用具
体操服なんかの物品
など諸々



鉛筆と筆箱を買う事を話していた際

「別にいいけどな買わんでも。えんぴつ持ってるからなー」

と言って自慢気に見せてくれたのが



お絵描きをして
半分くらいの長さになった色鉛筆(赤)
と青のクーピー1本


娘、まさかそれで小学校を乗り切る気か



ヒモ無しでバンジー飛ぶくらいのチャレンジ



しかし気持ちは分かる


僕も学生時代、筆箱を持たず
ボールペン1本をポケットに突っ込んで通学していた



お気に入りがあった 



非常に字が書きやすい
『JET STREAM』


文字通り
ジェット気流の様な勢いの無謀



マークシートに記載が必要なテストの日などは

丸腰の僕を憐れみ、
同じクラスのウエダくんがシャーペンを貸してくれた


あの頃はすまんかったウエダくん

今やほとんど
字を書かない時代になった


時代が僕に追いついたんやな


脱線した

その様に鉛筆を見せてくれた娘に対し



笑いをこらえつつ


ほな筆箱は?
と聞くと持ってきたのが



ポッキーの空き箱

誰やねん
そんなおもしろ入れ知恵したのは



野生の動物は集団の中で
上下関係の序列をはっきりさせると聞く


おそらく(6)の中で
僕は家族の最下層



そう、(6)お気に入りである
アザラシのぬいぐるみ

通称「シロちゃん」

のさらに下




僕のことは
何も知らずに生きている
と思っているかの様子で



保育園や嫁との会話などで仕入れた情報を
色々と自慢気に教えてくれたり

時折クイズ形式にしてきたりする





「パパ、道でこけたらひざ血出るで」



「パパ、パンは焼きすぎたらこげるで」


「パパ、雨の日はどうしたら良いか知ってる?」



 (まだ答えてないのに)

「正解教えてあげるわ。
ながぐつ履くんやで」




「パパ、扇風機で冷ましたら
すぐお味噌汁のめるで」



など、どれも知らなかったので
非常に勉強になった




この間、保育園からの帰り道

正面からまっ黒い犬(柴犬?)
を散歩させているおっさんが近付いてきた



その犬は何かの匂いを嗅いでいるのか
歩きながら
鼻をフンフンいわしてはいたが


おっさんと犬がすれ違った途端
(6)は僕の方を向き

なんの気遣いなのか
一応小声で



「パパ、イノシシおったな」

どこがやねん


もしほんまにイノシシであれば
もはやイノシシ本体より


イノシシをあの様に従順に育て上げる
おっさんの手腕の方が気になる





さらに(6)は現在

上の前歯が1本グラグラしてきている
(既に何本か抜けてるお友達もいる)


誰に教えてもらったのかは知らんが


(6)「パパ、歯抜けたら地面に埋めるねんで」

と僕にも教えてくれた



え?なかなか渋いこと知ってるな
と思いつつ

僕は
「よう知ってるなー」と答える


(6)は少しあごを上げ
見下ろすような視線で自慢気に続ける



(6)「そしたらえだまめが生えるんやで」


なんやそのファンシー前歯




誰やねん
おもしろ偽情報を吹き込んだのは



童話
「ジャックと豆の木」

よりも遥かに童話らしいお話やな



もしそうなったら
僕が童話として後世に残す事にする


歯抜け少女と豆の物語



タイトルはそうやな


かっこいいのが良い



お、良いのを思いついた



アメリカで実写映画化されそうなタイトル

3部作で



別にパクリではないけどね

全然


それでは発表します




「ロード・オブ・ザ・ビーンズ」

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N氏
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