伝説のスキャモンを探す旅 ① ー スキャモンは実在した ー
1.スキャモンの発育・発達曲線
体育・スポーツを専攻した人なら必ず聞くであろう
スキャモンの発育・発達曲線
学生時代は
ゴールデンエイジ理論の根拠として頻繁に取り上げられていた
スキャモンの発育・発達曲線
保健体育科の教師となってからは、
中学1年生の保健の授業、単元「体の発育・発達」の中で、
各器官の発育の仕方の違いを説明する際に利用してきた
スキャモンの発育・発達曲線
常に自分のそばにいてくれていた
スキャモンの発育・発達曲線
30歳半ばを過ぎた頃でしょうか、私はあることに気がつきました。
「一体、スキャモンの発育・発達曲線とは何なんだ?」と…。
よく考えると分からないことばかり。
ご丁寧に、グラフの横に
「20歳になった時点を100%としたときの、それぞれの年齢の比率」
なんて書いてあるが、
「20歳のときの神経系の100%って何」
「リンパ系なんて10歳あたりで200%になってるし…。」
「ていうか、スキャモンって一体どこの国の人なんだ?」
と謎は深まるばかり。
そして、私は「スキャモンの正体を暴きたい」との決意を胸に秘め、動き出したのでした。
2.伝説のスキャモンを探して
こうして、私の「スキャモンを探す旅」が始まりました。
まず、スキャモンの発育・発達曲線のグラフが掲載されている本を探し、
そこから引用元を調べ、原典に辿り着こうと私は考えました。
こうして暇を見つけては様々な図書館を周り、スキャモンを探しまわりました。
ところが、スキャモンの発育•発達曲線を引用している書籍は数多くあれど、
その引用元を明記しているものはほとんどなく、
あったとしても、誰かが引用した書籍から更に引用する、
いわゆる孫引きばかりで、原典に行き着くことはありませんでした。
しかも、授業で使用していた学研の教科書ですら、
スキャモンの発育・発達曲線のグラフの横に、「スキャモンによる」とひっそりと書かれるだけで、出典が書かれていないのです。
どんなに引用、出典元を探しても見つからないので、
次第に私は「スキャモンは実在するのか?」とさえ思うようになりました。
ネットで検索しても、あの有名なグラフはヒットすれど、
スキャモンの素性は全く分からず、有益な情報は何も見つかりませんでした。
私の中でスキャモンは、ツチノコやヒマラヤのイエティ、ネス湖のネッシーと同レベルの存在となりつつありました。多分、スキャモンはピグモンとくまモンを足し合わせたような青色の生物に違いないと…。
スキャモン(筆者想像図)
3.スキャモンの尻尾を掴む
なかなか手がかりのつかめない日々でしたが、色々な書籍を調べる中で、スキャモンがミネソタ大学に関係している人物であること、名前のつづりが”Scammon”であることがわかりました。また、戦前の書籍にもグラフの引用があったことなどから、スキャモンは結構昔の人だということもわかりました。
そのような中、限られた情報を元手に「Scammon Minnesota university」とネットで検索をかけてみました。
すると...。
なんとイギリスの古本屋が運営する古書販売サイトに繋がりました。
そして、そこには『The measurement of man』という書籍のタイトルと、
複数の著者の中に「Richard E. Scammon」の名前が…。
しかも、出版社は「The University of Minnesota Press」
これは、絶対にあのスキャモンに違いない。と私は感じました。
ついにスキャモンの青色の尻尾を掴むチャンスが訪れたのです。
私はすぐにその書籍をネットで購入しました。
値段は確か10ユーロぐらい。当時、日本円にして1,200円程度だったような。
それは、忘れもしない2012年の3月ごろ。
今から8年以上昔の話です。
4.スキャモンは実在した
私がネットであのスキャモンを注文して数週間後、イギリスの古本屋から我が家に一冊の古書が届きました。
この中に、スキャモンが…。
興奮を抑えながら、その梱包を解くと、中から古びた本が現れました。
表紙には『The Measurement of Man』というタイトルと、
4人の著者の中に「RICHARD E. SCAMMON」の名前。
この中に、何か手がかりが…。
恐るおそるページをめくると、そこには
あのお馴染みのグラフが!!!!
間違いない。これがあのスキャモンの発育・発達曲線の原典に違いない!
5.スキャモンの正体を暴け
スキャモンは実在しました。
これで、あの%が表す意味がわかるはずです。
スキャモンは青色の未確認生物でもなんでもなかったのです。
こうして、日々の部活動指導の傍ら、
スキマ時間でスキャモンの正体を暴こうとする
私の孤軍奮闘が始まるのでした。
次回は『スキャモンを探す旅② ースキャモンの正体に迫るー』です。