訪問歯科診療ナカハマデンタルの日々。
【第1回】crosstalkあや先生が、訊く!
第1回は院長の中浜彩先生が、ドイル千穂先生にインタビュー。
いったい、どんなお話が?
きく人:ナカハマデンタル 院長 中浜彩
きかれる人:ナカハマデンタル 歯科医師 ドイル千穂
訪問歯科医、ふたりの出会い
院長・中浜彩(以下 あや):早速ですが、ちほ先生がナカハマデンタルに応募くださった経緯について、うかがってもよろしいですか?
Dr・ドイル千穂(以下 ちほ):はい。歯科医院に非常勤で勤めているのですが、興味のある往診について調べていて、ナカハマデンタルがヒットしたんです。
あや:それで、当院に問い合わせをくれたんですよね。訪問歯科に興味を持ってくれるドクターはなかなかいなくて、私たちもうれしかったです。
ちほ:とりあえず会いましょう、ということで、スタバで初対面。
あや:ナカハマデンタルもスタートしたばかりで、まだこのオフィスもなかったんですよね。お互い東京にいた時期もあって、最初から盛り上がりましたねえ、スタバで(笑)。その時からすごく明るくていいなあ、この方、って思って。
ちほ:ははは(笑)。ありがとうございます。私、大学は福島にある大学を出て1年口腔外科を経験して、都内の個人病院を2院経験。そのあと地元の三重に戻ってきたんです。今は外来も往診も担当しております。都内でも往診に携わっていたこともあります。
あや:しっかりと往診経験がある先生は珍しいです。
ちほ:いろいろ経験してきて、訪問するスタイルが自分に合っているし、患者さんからのニーズもとても高いと思っていて。でも、訪問をやっている歯科医院って少ないんですよね。ナカハマデンタルのように、訪問専門となると、さらに珍しい。
あや:ですね。私の方は、訪問診療を経験されているドクターと話せるのが初めてだったから、ちほ先生と出会えてほんとにうれしかった。
ちほ:私もナカハマデンタルで勤務できてうれしいです。
ワークライフバランスがとりやすい
あや:ちほ先生は今、ナカハマデンタルと、別の医院でもお勤めなわけですが…。
ちほ:はい。週2日はナカハマデンタルで、あとは別の医院で外来も往診も、両方担当しています。
あや:外来も往診もやっているからわかることって、きっといっぱいあると思う。ちほ先生がきてくれて、色々な情報が聞けて、ありがたいです。
ちほ:訪問歯科がいいな、と思うのは、ワークライフバランスが取りやすいから。シフトの希望が出せるので、子育てしながらでも歯科医を続けやすい。そもそも歯科医って女性が少ないから、あや先生がいろいろ興味を持って質問してくださったのが、ありがたかったです。
あや:往診の経験が豊富だから、話が早くて。あとはナカハマデンタルのやり方や、設備のことをお伝えするだけで、もう即戦力!当たり前だけど(笑)。考え方も共通してた。
ちほ:あや先生と治療の苦労とか、「あるある」を共有できて、うれしかったし、いい出会いでした。患者さんへの接し方とか、スタンスは同じだなと思いました。
訪問歯科は、ぜんぶが「応用編」
あや:外来と、訪問診療の違いって、どう思いますか?
ちほ:そうですね、訪問ならではのやりがいもあるし、難しさもあるし。いちばんの違いは、診療の環境が毎回変わるっていうところかな。
あや:ですね。医院だとチェアーがあって、患者さんの姿勢が一定だけど、訪問の場合はそこから違いますもんね。お口を診る角度から。器具の使い方も違ってくる。
ちほ:そうなんです。言ってみれば、訪問は外来の「応用」という感じ。
あや:基本のスキルがあって、プラス、臨機応変でないとね。歯科医としてやりがいはいっぱい。でもほとんどの歯科医院は外来がメインで、訪問は時間と人材に余力がないと、なかなか難しいのかな…。
ちほ:そうだと思います。でもコロナ禍のなかで、外に出るのが怖い、っていう高齢者の方が増えて、訪問での診療のニーズは高まった気がします。わたしは元々訪問が好きで、なんなら自分で開業しようと考えたこともあったので、ナカハマデンタルとのマッチングは、時期的にも、自分のキャリアにとっても大きなプラスになりました。
あや:ちほ先生が持っている情報を共有してくれることで、私にとってもインプットが増えたなあって。堅苦しくなく情報交換できる間柄って、大切だと思います。
ちほ:10年で医療の常識って大きく変わりますもんね。やってきた治療、つかってきた薬が主流でなくなることもある。
あや:そうそう。
ちほ:そんなとき、自分とちがう道を歩んできた人とつながるって、必要なことですよね。
あや:ドクターのキャリアアップのためにも、知識をアップデートするためにも、カジュアルな情報交換の場があるといいですよね。カンファレンスとかじゃなくて。
ご家族とのコミュニケーションが大切
あや:ちほ先生は、訪問診療で何に気をつけていますか?
ちほ:うーん…、患者さんのご家族との関係づくり、ですね。医院では患者さんご本人が意思決定をするけど、訪問診療では、治療方針とか金額について、ご家族にも納得していただかないといけない。
あや:確かに。ご家族とのコミュニケーションが取れないと。
ちほ:高齢の方の介護をされているご家族の方、障がいのある方の親御さんが、訪問だとプラス料金が発生するんじゃないか、とか、不安に思われていることがまだまだ多い。治療方針に納得していただくためにも、時間をかけた説明が必要です。
あや:言葉遣いはとにかく丁寧に。自分より年上の方が多いですしね。
ちほ:言葉を選んで丁寧に、かつ、できることはできる、できないことはできないって、はっきりと事実をお伝えします。たとえば、患者様とご家族は抜歯してほしいと思っていても、いま並行して飲んでいるお薬によって、その場で抜くことができない、ということも。
あや:「言った」「言わない」にならないように、ですよね。患者さんやご家族のニーズと、今できる治療が異なることは、実際、あるから。
ちほ:そうなんです。だけど根気よくご説明します。私は「うちらがあきらめたら、終わる」って思ってるから。
あや:ですよね。どこかの医院で治療を断られて、私たちに問い合わせてくださる、そういう患者さんも少なくない。あきらめずに、患者さんや、ご家族と向き合うしかないですよね。
ちほ:ほんとに。人のお家に入って、お口の中を見せていただくって、すごく深いコミュニケーションだと思うし、自分の真価が問われるような気がしています。
歯は、ひとつの臓器だから
ちほ:歯科って、他の診療科とは別だって思う人が多いかも。でも「歯」はひとつの臓器なんですよね。
あや:そう。全身とつながってる、ひとつの臓器。だから、今まで、歯の治療ができなかった方が、訪問で歯科の治療を受けて、全身がみるみる元気になられていく…。
ちほ:それを見られるのが、訪問歯科医の、いちばんのやりがいですよね。
あや:ほんとに。あと、例えば、高齢者施設とかに来られている内科の先生に、患者さんのことを相談できたり。
ちほ:それも訪問歯科ならではかも。施設でお会いした時、「あの患者さん、ちょっと点滴お願いできますか?」なんて。医院で勤めていたら、お口のことしかわからないけど…。
あや:チーム医療が自然にできている、っていう感じ。
ちほ:同じ「訪問」を行う医療者同士とか、Co-Medicalの方とももっとネットワークを広げたいですね。
あや:訪問歯科から、チーム医療の情報をもっと発信していけるといいかもしれない。訪問歯科がチーム医療の中心になれるかも。
ちほ:いいですね!ほんとにそう思います。
あや:ナカハマデンタルnote第1回は、真面目な話になりました(笑)。本日は、ありがとうございました!
ちほ:ありがとうございました!