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青空散髪2💈

青空散髪から、3ヶ月。

ギリコは、スランプに陥っていた。
楽しく騎乗していた夏が懐かしい。
ライセンスを取ると決めて、レッスンもこん詰めて通っている。

インストラクターの、指導も段々と熱が入り、メガホンで大きな声をされながらも必死にくらいついて行くが、なかなかうまくいかない。
ギリコは完全にスランプだと思い込んでいるが、実は細かな指導で、ギリコは夏から比べ物にならないぐらい上達していた。

インストラクターとオーナーと3人で、談笑をしている時、インストラクターが、ギリコを見て、『ギリコさん、丸坊主伸びたね。』ちょっと意地悪そうな顔で言ってきた。
オーナーは、レッスン後の汗だくのギリコを見て、『あら、本当によく伸びたわね。ライセンスの試験も近いし、気合いの散髪してあげようか?』と聞かれた。

それを答えたのは、まさかのインストラクターだった。
『スランプみたいだし、スッキリ刈ってもらい。気合いが入るよ。』と言われてしまった。
そのニコッとした顔に悪意を感じながらも、オーナーが、『えっ、ギリちゃんスランプなの?そりゃあ、打破するために刈らないと。スッキリとした気持ちで、また騎乗するといいよ!』

用意してくるね!と言い残しオーナーはそそくさとその場を離れた。インストラクターも良かったですね!と言う。
その間に私は、何か言葉を発しただろうか?
丸坊主になる事をお願いもしていないのに、話はドンドンとすすんでいった。ギリコの気持ちは置き去りのまま、進んでいった。
 ギリコは自分と道具を片付けながら、また夏に行われた青空散髪がされる事にドキドキしていた
。オーナーは、箱を持ってこちらに近づいてきた。インストラクターは、パイプ椅子を持って来た。
その瞬間、オーナーから声が掛かった。
『ギリちゃん、こっちにタオル持って来て!髪を濡らすからー』と言われた。
ギリコは、重い足取りでトボトボと歩いた。
水道でホースを持って待つ、オーナーの所に行くと、頭をグイッと抑えられ、本当伸びたねー。
今日は、気合い入れようね。
と言いながら、頭をジャブジャブと強めに洗われた。
タオルで拭きながら、いよいよ散髪台に着席する時がきた。
ギリコはそっと散髪台に座り、タオルを首に巻き、オーナーからケープを巻かれた。

オーナーは、バリカンセットについているだろう安っぽいくしで、髪をとかしながら、本当伸びたね〜。
耳にも髪がかかり、お猿さんの様なベリショのギリコを見ながら、気合いが入るくらい短くしようね。これから、試験までレッスンも増えるしね。と言われ、ギリコはもう逃げることも出来ない状況を受け入れ、オーナーに、『はい。お願いします。』と言った。
バリカンのアタッチメントを合わせて、ふとバリカンを見たら、アタッチメントも小さい。
やはりか、短くなる。気合いを入れる為に、また丸坊主になるんだから、と、思いながらドキドキして、その時を待っていた。
インストラクターが、鏡がないから携帯貸してと、動画を撮影しといてあげる。と言って携帯を構えた。
オーナーが、インストラクターに、短く刈るって言うから6ぐらいでいいかなぁと言っている。
ギリコは、びっくりした。
6ミリ?えっ
いやいやそこまで短くなくてもと内心思いながらも、やはり前回よりも短いので攻めて来た。
じゃあ、ギリちゃんと髪を最後櫛でとかしながら、刈って行くねと言って、バリカンを待ち、ギリコのおでこに、6ミリのバリカンが近づいてきた。あまりの怖さから目を閉じたが、バリカンは容赦なく、ガーっと、バリカンがおでこの真ん中から入り、一本の青々とした道ができた。
オーナーが、刈った所をおー短いね。と言いながら触った。触った感触が短さを感じた。
すぐに、横を刈りドンドン頭頂部が短くなって来た。
頭をグイッと抑えながら、耳の横からバリカンが走り、前回の青空散髪からやっと伸びた4センチぐらいの髪が、ゴミになり落ちていく。
その長さを見た時に、ギリコはショックで言葉が出て来なかった。残っている髪の短さを想像するだけで、怖くなっていた。
オーナーは容赦なくバリカンを動かして、ドンドンかっている。グイッと下を向かされ、襟足からつむじまでバリカンが、走る。この瞬間ギリコはなんとも言えない気持ちよさを感じる。
そして、ついにギリコの丸坊主が完成した。
もう一度バリカンで、綺麗に仕上げ刈りをして、6ミリの丸坊主は完成した。
インストラクターも、ギリコの頭を撫で回し、短くなってよかったね‼️と笑顔で言いながら、またレッスン頑張って行こう。といわれた。

ギリコは自分の頭から刈り取られた、髪の毛をほうきとちりとりで掃除しながら、そっと頭を触ってみた。びっくりするほどの手触りに、髪がない。このジョリジョリは、なんだ!と思いながら掃除を終わらせて、トイレに駆け込み、鏡で自分の姿を見て、絶句した。

オーナーが、スッキリしたね。良かった。
気持ちも軽くなったね。よく似合うよ!と言って、また水道で頭をゴシゴシと洗ってくれた。

ギリコはこんな事になるとは、とおもいながら、髪を触りながら帰っていった。

















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